オープンギャラリー：Xen 3.1.0(64ビットHVM編)

Xen 3.1.0(64ビットHVM編)

2007年3月にXen 3.0.4がリリースされました。
2007年5月18日には当初Xen 3.0.5という名称になるものがXen 3.1.0という名称でリリースされました。
2007年5月31日に正式リリースされたFedora 7にはそのXen 3.1.0が付属しています。
Xen 3.1.0の主要機能はドメイン構成ファイルのXMLサポートや32-on-64 PVゲストと呼ばれる機能等です。
ドメイン構成ファイルのXMLサポートはXen 3.0.4で既にプレビュー版としてリリースされていました。
また64ビットXenでの32ビットゲストや64ビットゲストサポートもXen 3.0.4で既にプレビュー版としてリリースされていました。

尚、XenExpress 3.2版では64ビットHVMドメインには対応していません。
またVirtual Iron 3.6では一部のOS(Red Hat Enterprise Linux 4 Update 2, 3, 4 x64等)限定で64ビットHVMドメインをサポートしています。

ここではFedora 7(正式版)の64ビットXenに着目して主に64ビットゲスト(64ビットHVMドメイン)サポートを中心に紹介します。

今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU：Core 2 Duo E6600
・チップセット：Intel P965
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD：S-ATA 250GB
・LANカード：Intel PRO/100 S

１．Fedora 7 Xen x64でのHVM利用(Xen 3.1.0)

Fedora Core 6 x64版の実行
Fedora Core 6(FC6) x64版は以下の手順で動作検証してみました。

既存FC6 x64への仮想フレームバッファの導入とVNCサーバの設定
VNCクライアントから実ビデオカードを持たないDomainUやビデオカードがエミュレートされるHVMドメインのFC6 x64にXDMCP接続して
GUI操作できるように仮想フレームバッファを導入し、かつVNCサーバを設定します。
その詳細手順は「仮想フレームバッファ(Fedora Core 6 x64編)」を参照して下さい(手順変更は不要です)。
FC6 x64のHDDイメージの取り込み
ddコマンドでFC6 x64のHDDイメージを作成してFedora 7 x64側に転送します。
ここではFC6 x64のHDDイメージファイルを/root/fc6x64share.imgとします。

HVMドメイン構成ファイルの作成
以下の内容をもつHVMドメイン構成ファイル(/etc/xen/xmfc6x64.hvm)を作成します。

name = "FC6x64HVM"
builder = "hvm"
memory = 512
disk = [ 'file:/root/fc6x64share.img,hda,w', 'phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r' ]
vif = [ 'type=ioemu, mac=00:16:3e:4c:99:3d, bridge=xenbr0', ]
device_model = "/usr/lib64/xen/bin/qemu-dm"
kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader"
vnc=1
vncunused=1
apic=1
acpi=1
pae=1
vcpus=1
serial = "pty"
on_reboot   = 'restart'
on_crash    = 'restart'

【補足事項】
(1)既存FC6 x64の実HDDがS-ATAであってもHVMドメイン構成ファイルではsdaではなくhdaを指定します。

HVMドメインの起動
# xm create xmfc6x64.hvm
※構成ファイルは/etc/xenから探索されます。
仮想マシンマネージャにFC6x64HVM行が表示されますので＜開く＞を実行すると仮想マシンコンソールにブート画面が表示されます。

尚、FC6 x64のHDDイメージの起動でネットワークが動作しない場合はHVMドメインを停止させて以下の設定をします。
# mount -o loop,offset=32256 /root/fc6x64share.img /mnt
# vi /mnt/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
[変更前の例]
# Realtek Semiconductor Co., Ltd. RTL-8139/8139C/8139C+
DEVICE=eth0
ONBOOT=yes
BOOTPROTO=dhcp
HWADDR=00:16:3e:4c:99:3d

[変更後の例]
# Realtek Semiconductor Co., Ltd. RTL-8139/8139C/8139C+
DEVICE=eth0
ONBOOT=yes
BOOTPROTO=static
BROADCAST=192.168.0.255
HWADDR=00:16:3e:4c:99:3d
IPADDR=192.168.0.6
NETMASK=255.255.255.0
NETWORK=192.168.0.0

# umount /mnt
# xm create xmfc6x64.hvm
テキストコンソール
本来ならテキストコンソールはloginプロンプトが出て停止します。
しかし場合によってはテキストログインプロンプト部分にゴミが表示される場合がありますがそのままにしておきます。
vncviewerによる接続
vncviewerを起動して「ゲストIPアドレス:1」を指定するとGDM画面が表示されます。
ログイン後、デスクトップ操作ができます。
デスクトップ

下の画像はバージョン表示部分を少し拡大したものです。

KNOPPIX 5.1.1 x64の実行
KNOPPIX 5.1.1 x64のCD-ROMをセットし、上記と同様のHVMドメイン構成ファイルを用意して以下のコマンドで起動できます。
# xm create xmknp511x64.hvm boot=d
この組み合わせでの実行画像は「Xen 3.0.4(Core 2 Duo編[Linux])」中のこちらです。
KNOPPIX 5.1.1 x86の実行
KNOPPIX 5.1.1 x86のDVDをセットし、上記と同様のHVMドメイン構成ファイルを用意して以下のコマンドで起動できます。
# xm create xmknp511x86.hvm boot=d

以下の画面はFedora 7 x64のHVMドメインで動作しているKNOPPIX 5.1.1 x86の様子です。

下の画像はバージョン表示部分を少し拡大したものです。

２．Fedora 7 Test 1 Xen x64でのHVM利用(Xen 3.0.4)

時系列的には逆になりますがFedora 7 Test 1 Xen x64での手順もFedora 7 Xen x64の場合と同様です。

Fedora Core 6 x64版の実行
既存FC6 x64に仮想フレームバッファを導入してVNCサーバの設定をしたFC6 x64のHDDイメージを取り込んで利用してみました。
尚、Fedora 7 Test 1 x64のインストールDVDにはvncパッケージが含まれていません。
このためFedora 7 Test 1で動作するx64用パッケージ(vnc-libsとvnc)を追加導入しました。

そのvncviewerでHVMドメインのFC6 x64に接続してデスクトップ操作できます。

尚、Fedora 7 Test 1 Xen x64の場合、HVMドメインでのFC6 x64のテキストログイン表示のところで「mtrr: MTRR 6 not used」エラーが出ることがありました。
これはグラフィックドライバのメモリアクセス問題かも知れませんがHVMドメインでネットワーク利用ができるようになっていれば無視して構いません(vncviewer使用可)。
ちなみにこのエラーはFedora 7(正式版) Xen x64では発生しません。
KNOPPIX 5.1.1 x64の実行
KNOPPIX 5.1.1 x64のCD-ROMを使用してHVMドメインで問題なくKNOPPIX 5.1.1 x64のデスクトップ操作、ネットワーク利用ができます。
KNOPPIX 5.1.1 x86の実行
KNOPPIX 5.1.1 x86のDVDを使用してHVMドメインで問題なくKNOPPIX 5.1.1 x86のデスクトップ操作、ネットワーク利用ができます。

３．ご参考：CentOS 5 Xen x64でのHVM利用(Xen 3.0.3)

Fedora Core 6 x64版の実行
既存FC6 x64に仮想フレームバッファを導入してVNCサーバの設定をしたFC6 x64のHDDイメージを取り込んで64ビットHVMドメインでの起動テストをしてみました。
HVMドメイン構成ファイルは/etc/xen/xmexample.hvmを流用しました(sdlを使用)。
結果的にはGRUBで通常カーネルをブートすると32ビットHVMドメイン上で64ビットOSを起動する場合と同様の結果となります。
即ち、「Your CPU does not support long mode. Use a 32bit distribution.」エラーとなります。
KNOPPIX 5.1.1 x64の実行
KNOPPIX 5.1.1 x64のCD-ROMを使用して64ビットHVMドメインでの起動テストをしてみました。
この場合も「Your CPU does not support long mode. Use a 32bit distribution.」エラーとなります。
KNOPPIX 5.1.1 x86の実行
KNOPPIX 5.1.1 x86の場合はそのDVDを使用して64ビットHVMドメインでも問題なくKNOPPIX 5.1.1 x86のデスクトップ操作、ネットワーク利用ができます。