Azure UbuntuによるWeb放送システム構築例

動画配信システムとしては多種多様なものがあります。
動画配信システムとまでいかないとしても各種動画の再生画面を単純にスマホから視聴できるようにしたWeb放送システムの構築例をご紹介致します。
Azure Ubuntuを利用した今回のWeb放送システムの構成の概要は次の通りです。
簡単に言うと、スマホに入っている動画をAzure仮想マシン側にて再生し、その再生画面をスマホからAnyDesk接続して視聴するというものです。
視聴者側が使用するAnyDeskとして無償ライセンスを想定すると無償版のライセンス制約から10分程の動画再生にする必要があります。


  1. 今回のWeb放送システムの構成


  2. AnyDeskの放送用権限プロファイルの作成について
    放送サーバに視聴スマホからAnyDesk接続する際、一般的な「無人アクセス」権限プロフィールでログインできるようにしておくと視聴スマホ側から放送サーバのデスクトップを自由自在に操作できてしまいます。
    そこで放送サーバに視聴スマホからAnyDesk接続した場合に視聴スマホ側には動画再生の画面と音声の視聴以外は何も操作できないようにする必要があります。
    例えば視聴しかできない「放送」という権限プロフィールを放送サーバ側で作成する手順は以下の通りです。
    実際の操作は放送局側のPC(Windows)から行っています。


  3. 放送サーバでのAnyDeskサービスの停止と開始


  4. 視聴の様子
    視聴者はスマホのAnyDeskから放送サーバのエイリアスと「放送」プロファイル用パスワードを指定してスマホで視聴できます。

  5. 運用上のポイントについて


  6. iPhoneとのファイル転送について
    AirDroid Personalのファイル転送はiPhoneに対しても利用できます。
    但し、Androidの場合とは違ってローカルネットワーク内でのファイル転送に限定されます。
    下記はPCとiPhoneとのファイル転送例です。

    Androidスマホについてもローカルネットワーク環境では上記のようなiPhoneの手順と同じ要領でhttp://AndroidスマホのIPアドレス:8888指定でファイルアクセス等が行えます。



  7. AirDroid CastのWeb機能を使用したWeb放送システムの構築例
    上記ではAirDroid PersonalのWeb機能を使用してAzure UbuntuによるWeb放送システム構築する例をご紹介致しました。
    実はAzure Ubuntu側でAirDroid CastのWeb機能(webcast.airdroid.comへのアクセス)を利用してもAzure UbuntuによるWeb放送システムを簡単に構築することができます。
    例えばiPhoneの写真にある動画をAirDroid Castアプリを使用してAzure Ubuntu側のWeb版AirDroid Castに送信しながら視聴者の方がAnyDeskを使用して視聴できるようにするWeb放送システムも構築できるわけです。
    AirDroid Castを使用する大きな利点はキャストする側のマイクを使っての動画解説も視聴者が同時に聴けるということです。
    更にAirDroid Castの機能で放送映像のフルスクリーン表示も可能です。

    (1)AirDroid Castにはよく知られているように「双方向音声通話」機能があります。
    ※ 下記は「双方向音声通話」が有効になっている状態での受信側でのツールバーの表示例です。

    (2)キャストする側はスマホですのでマイク入力ができますがAzure Ubuntu側にはマイクが無いためキャストする側からの片方向の音声通話となります。
    ※ キャストする側のAirDroid Castでは[マイク(オフ)]をタップして緑色の[マイク(オン)]にする必要があります(これはキャスト先の承認を必要としません)。

    (3)片方向の音声通話でも視聴者側のデバイスによっては鮮明な解説音声を聴くことが可能となります(AnyDesk経由となりますが)。
    (4)視聴者側のデバイスとしてGalaxy S22, iPhone, Windows から同時視聴するテストをした結果、Galaxy S22が最も鮮明に解説音声を聴くことができました(しかもAnyDeskを介しているためS22 DeX環境でのモバイルモニターから解説音声が聴けました)。
    (5)下記はS22のDeX環境のAnyDeskで解説音声を聴きながら放送動画を視聴している様子です。
    ※ 視聴者側の画面に縦に並べて表示されるツールバー(回転、サウンド、マイク、フルスクリーンモード、切断)でのサウンドアイコンが緑色になっているのはキャスト側でマイクをオンにしたためです。

    (6)キャストする側のアイコンとキャストを受信する側のアイコンの補足
    話を簡単にするためにiPhoneをAirDroid Castでのキャストする側とし、S22 DeXをAirDroid Castでのキャストを受信する側として、かつ両方のデバイスを同一ネットワーク内で直結させた状態とします。
    (7)キャストリクエスト表示について
    キャストする側から接続IDを指定して[キャストを開始]をタップした場合の受信側で表示される「キャストリクエスト」ダイアログは受信側の環境によって文面や応答用語が変わってきます。
    (8)iPhoneとS22を直結する場合の留意点について
    ここではiPhoneからS22に直接AirDroid Cast接続する際の留意点をご紹介致します。
    上記の放送システムでの使い方とは関係なく発信側をiPhoneとし、スクリーンキャストの受信側をS22単体(またはS22 DeX)とします。
    (9)Galaxy S22とS8のDeX同士でのAirDroid Cast接続例
    ここでではGalaxy S22とS8のDeX同士でのAirDroid Cast接続例をご紹介致します。
    尚、ここでのGalaxy S22とS8のAirDroid Castは共にサインインなしでの無料版のものです。
    (10)AirDroid CastでPC側からスマホを操作できます。


  8. 補足1(AirDroid Personal)
    今回はAirDroid PersonalのWeb版に着目した利用例をご紹介致しました。
    そのWeb機能はAirDroid Personalの一部の機能であって、やはりメイン機能はリモート操作(スマホ制御)やスマホからのミラーリング機能かと思います。
    ※ AirDroid Personal同士での接続では無人アクセスでのリモート操作も可能となります。
    下記はAirDroid Personalの無料版でPCからAndroidスマホをワイヤレスでリモート操作している様子です(タスク切り替え操作例)。
    ※ PCの代わりにスマホからAndroidスマホをワイヤレスでリモート操作するためにはリモート操作する側のスマホ側ではAirMirrorアプリを使用します。

    更にAirDroid Personalのデスクトップ版にはスマホへの通知をPCのデスクトップに表示する機能もあります。


    Androidスマホとの接続では「ミラーリング」というアイコンが表示されて利用できます。
    下記はローカルネットワーク環境でのAirDroid PersonalのWeb版におけるS22のWebミラーリングの例です(ミラーリングは「基本モード」で行うといいかと思います)。


  9. 補足2(LinuxからのAndroidスマホ制御)
    Linux用のAirDroidアプリはありませんが、LinuxでもAirDroid PersonalのWeb版が利用できます。
    AirDroid PersonalのWeb版のサイト(https://web.airdroid.com)でAndroidスマホを選択するとWebからAndroidスマホを遠隔操作できるようになります。
    【WebからのAndroidスマホの遠隔操作手順例】
    ここではAzure上のUbuntu 24.04のデスクトップのChromeからAndroidスマホを遠隔操作する手順を簡単にご紹介致します。


  10. 補足3(AirDroid Remote Support)
    AirDroid Remote SupportはPCからスマホを遠隔操作する機能を主眼とした製品です。
    遠隔操作するPC側にはAirDroid Businessというアプリをインストールします。
    (遠隔操作される側がPCの場合はPC用のAirDroid Remote Supportをインストールします)
    AnyDeskの無人アクセスのように遠隔操作される側の使用者の承認を得ずして遠隔操作を可能とする機能(無人端末の制御)もあります。
    遠隔操作するにあたっては画面共有、音声メッセージ、音声通話等の機能が使用可能となっています。
    遠隔操作されるスマホ側がDeX画面の場合の画面共有ではDeX画面自体が共有されることになりますが実際には縦長画面を前提としているため黒の余白部分が広いDeX画面の共有となります。
    画面を共有しながらサポートする側は音声通話にて遠隔操作されるスマホ側の利用者に操作依頼をしたりできます。

    ちなみにAirDroid Remote Supportでは14日間無料トライアル版を使用することができます。
    【14日間無料トライアル版の制約等】
    (1)接続時間は10時間に制限されます。
    10時間のうちの残りの使用可能時間についてはhttps://biz.airdroid.com/#/remote-support/dashboard にサインインしてからのダッシュボードで確認できます(下記はその表示例です)。

    尚、14日間無料トライアル期間中に残りの時間があっても、「今月ご利用可能な接続時間は終了しました。」と表示されることがあります。
    その場合は接続自体はできますがPC側からサポートを受けるデバイスの画面操作を行うことはできなくなります(テキストメッセージの送信等はできますが...)。

    (2)14日間の無料トライアル後に有料サブスクに自動切り替えされることはありません。
    これについては「AirDroid Remote Support (Business) should be manually purchased after the free trial. 」と明言されています。
    (3)無料トライアル版でもS22側AirDroid Remote SupportとPC側AirDroid Bisinessとの間での双方向音声通話を体験することが可能です。


  11. 補足4(AirMirror)
    AirMirrorアプリはAndroidスマホ/iPhoneから他のAndroidスマホをリモート操作するアプリです(ここでのWeb放送システム構築例という主題とは関係ありません)。
    iPhoneにはサポートを受けるためのAirDroid Remote Supportアプリはありませんが、iPhoneのAirMirrorでAndroidスマホをリモート操作することは可能です。
    例えばGalaxy S22を新たに使い始めた友人(クライアント)からGalaxy S8を使い慣れたエキスパートへの対応要請によって画面共有や双方向の音声通話等でクライアント側のトラブルシュートや質問対応を行うこともできます。
    詳細な手順説明は省略させて戴きますが大雑把に言うと次のようになります。


  12. 補足5(PCからPCへのサポート接続)
    PCからPCへのサポート接続は至って簡単です。


  13. 補足6(トライアル時間を使い果たした場合の暫定対策)
    (1)AirDroid Remote Supportでは14日間無料トライアル版を使用することができます。
    この場合、PC側のAirDroid Businessが14日間無料トライアル版の有効期間内でかつトータルで10時間使用していなくても、「今月ご利用可能な接続時間は終了しました。」と表示されることがあります。
    (2)またAirMirrorアプリについては毎日9時に残り10分にリセットされた直後に10分も経過しないうちに残り00分となってしまうことがあります。
    (3)AirDroid Businessが「今月ご利用可能な接続時間は終了しました。」と表示された場合にはサポータPC側に表示されたサポートを受ける側の画面のデスクトップ操作はできなくなり、AirDroid Remote Supportのメニューの操作しかできなくなります。
    (4)しかしスマホ側のAirMirror Membershipサブスクリプションの購入(約300円/月)によってAirDroid Businessでの「今月ご利用可能な接続時間は終了しました。」表示もされなくなります。
    つまりPC用には存在しないAirMirrorアプリのスマホによるサブスク購入によって、何故かPC側のAirDroid Businessの制約も解除されるようです。
    (5)AirMirrorアプリのサブスク購入によってAirMirrorの残り時間制約表示はなくなりますがAirMirror接続がOKとなる保証はありません。
    AirMirrorアプリのサブスク購入は必ずしもAirMirrorの時間制約を無くすためのものだけではなく、PC側のAirDroid Businessの制約を解除するためのものでもあるようです。
    (6)下記はスマホ側のAirMirrorのサブスク購入によってPC側のAirDroid Businessの時間制約が解除されて、サポートを受ける側のデスクトップの右クリック操作もサポータ側からできるようになった様子です。

    (7)同一LAN内ではライセンス不要で接続できるものについては当然ながらトライアル期間や正規のライセンス期間切れの影響は受けません。