オープンギャラリー：Red Hat 7.3環境におけるOracleオープンソースODBCドライバの利用

Red Hat 7.3環境におけるOracleオープンソースODBCドライバの利用

Oracle用の商用ODBCドライバとして「Easysoft ODBC-Oracle Driver」というものがあります。
この「Easysoft ODBC-Oracle Driver」は次のプラットフォームに対応しておりバイナリまたはソースで提供されています。

AIX
HP-UX(IA64)
Linux(x86)
Solaris(Sparc/x86)
TRU-64(Alpha)
Windows(x86)

この商用Oracle ODBCドライバのオープンソース版Oracle ODBCドライバが「Oracle Open Source ODBC Driver Project」により公開されています。
このオープンソース版の正式名称は「Easysoft Open Source ODBC Driver for Oracle」となっています。
尚、2003年1月時点の「Easysoft Open Source ODBC Driver for Oracle」はODBCのレベル3.5サポートという観点ではまだ完全なものにはなっていないとのことです。

今回このオープンソース版Oracle ODBCドライバをRed Hat 7.3環境でビルドして利用してみましたので簡単に紹介します。
オープンソース版のOracle ODBCドライバがサポート対象にしているのはOracle8i(8.1.6)以降のようですが、今回はOracle8 Workgroup Server(8.0.5) for Linux環境でビルド＆動作確認してみました。

（１）オープンソース版Oracle ODBCドライバ(以下Oracle ODBCドライバと略)導入の前提条件

「Oracle Open Source ODBC Driver Project」のWebサイトには以下の前提条件が明記されています。

OCI(Oracle Call Interface)ヘッダファイルが存在すること。
Oracleクライアントライブラリ(libclntsh.so)が存在すること。
これは通常$ORACLE_HOME/libに存在します。
推奨ODBCドライバマネジャ：unixODBC

（２）Oracle ODBCドライバソースとそのビルド(インストール)手順

「Oracle Open Source ODBC Driver Project」で公開されているOracle ODBCドライバのソースファイルはoracle.odbc.driver.0.5.1.tar.gzというものです。

以下にOracle ODBCドライバのソースからのインストール手順を説明します。

rootユーザの環境変数としてORACLE_HOME及びLD_LIBRARY_PATHを設定します。
oracle.odbc.driver.0.5.1.tar.gzを適当なディレクトリに解凍します。
解凍先に「oracle_odbc_driver」というディレクトリが作成されます。
cd oracle_odbc_driver
./configure
make
make install

上記の操作により/usr/local/libにliboraodbc.so等のファイルがインストールされます。
尚、ODBCデータソースのセットアッププログラムは提供されません。

次に/etc/ld.so.confに次の２行を追加してldconfigを実行します。
/usr/local/lib
$ORACLE_HOMEの実際のパス/lib

（３）ODBCドライバの登録とODBCデータソースの登録

ODBCドライバの登録
/etc/odbcinst.iniにOracle ODBCドライバを登録します。

【登録例】

[Oracle8]
Description = Oracle8
Driver = /usr/local/lib/liboraodbc.so
FileUsage = 1
CPTimeout =
CPReuse =
ODBCデータソースの登録
/etc/odbc.iniにODBCデータソースを登録します(システムデータソース定義)。
(ユーザデータソースとして登録する場合はユーザのホームディレクトリ直下の「.odbc.ini」に定義します)

【登録例(tnsnames.oraにtestというサービス名が定義されていると仮定しています)】

[oracle8odbc]
DRIVER = Oracle8
DSN = oracle8odbc
DB = test
USER = scott
PASSWORD = tiger
Trace = No
TraceFile =

（４）/etc/tnsnames.oraの用意

通常tnsnames.oraファイルは$ORACLE_HOME/network/adminにありますがApache環境でphp-odbcを使用する場合にそのtnsnames.oraファイルが探し出せないケースがあります。
そのような事態を避けるために$ORACLE_HOME/network/admin/tnsnames.oraと同じものが/etc/tnsnames.oraとして参照できるようにしておきます。

DB2の場合と違って/etc/sysconfig/apacheを用意してそこにRDBMS用の特別な環境変数を設定するような必要はありません。

（５）odbctestツールによるODBCドライバの動作確認

odbctestはunixODBCソースに含まれるツールで、ODBCドライバのAPI関数(SQLAllocEnv,SQLFetch等)をGUIベースで動作検証するためのプログラムです。
Red Hat 7.3のバイナリパッケージには含まれていないようですので別途インストールする必要があります。
（無理にodbctestを導入する必要はありません）

今回は次のシーケンスでODBC API関数の動作検証をしてみました。

SQLAllocEnv関数
これはodbctestの[Env]メニューの[SQLAllocEnv]を使用します。
SQLAllocConnect関数
これはodbctestの[Conn]メニューの[SQLAllocConnect]を使用します。
SQLDriverConnect関数
これはodbctestの[Conn]メニューの[SQLAllocConnect]を使用しますが、
InConnectionStrで「dsn=oracle8odbc;uid=scott;pwd=tiger」を指定しています。

SQLAllocEnv,SQLAllocConnect,SQLDriverConnectの実行結果
SQLAllocStmt関数
これはodbctestの[Stmt]メニューの[SQLAllocStmt]を使用します。
SQLExecDirect関数
まずodbctestのSQL入力欄に「select * from dept」を入力します。
次にodbctestの[Stmt]メニューの[SQLExecDirect]で「SQL Text:<Input Window>」を選択してSQLExecDirect関数を実行します。
SQLFetch関数
これはodbctestの[Results]メニューの[SQLFetch]を使用します。
SQLGetData関数
これはodbctestの[Results]メニューの[SQLGetData]を使用します。
Column Numberとして「2」を指定すると２番目のカラム値が表示されます。

下記の画面はSQLAllocStmt,SQLExecDirect,SQLFetch,SQLGetDataの実行例です。

必要に応じてSQLGetData関数を繰り返します。
SQLFreeStmnt関数(SQL_CLOSE指定)
これはodbctestの[Stmt]メニューの[SQLFreeStmnt]でSQL_CLOSEを選択します。
SQLFreeStmnt関数(SQL_DROP指定)
これはodbctestの[Stmt]メニューの[SQLFreeStmnt]でSQL_DROPを選択します。
SQLDisconnect関数
これはodbctestの[Conn]メニューの[SQLDisconnect]を使用します。

SQLFreeStmt,SQLDisconnectの実行結果

（６）DataManager

unixODBCのDataManagerはデータエクスプローラとも言われ、データベース中のテーブル一覧表示、テーブル定義表示の他に簡単なクエリー実行等も行えます。

DataManagerによるクエリー実行例

（７）isqlツールによるODBCデータソースアクセス

unixODBCにはisqlという対話式SQL実行ツールが付属しています。
通常コマンドラインから次のようにisqlを起動します。

isql ODBCデータソース名ユーザ名パスワード
isql -v ODBCデータソース名

下記の画像はisqlの実行例です。

（８）PHPでのOracle ODBCの利用

Red Hat 7.3にはPHPでODBCを利用するためのphp-odbcパッケージが含まれています(バージョンは4.1.2)。

コマンドラインからのPHPスクリプト実行例

Apache環境におけるPHPスクリプトの実行

PHPスクリプト例(oracle8odbctest.phpファイル)

<title>Oracle Open Source ODBC Driver テスト</title>
<?php
$Myconnect = odbc_connect("oracle8odbc","scott","tiger");
$Mysql ="select dname,loc from dept";
print $Mysql." の実行テスト；<br><br>";
$Myrset = odbc_exec($Myconnect, $Mysql);
if($Myrset){
  $colno = odbc_num_fields($Myrset);         
  print "<table>";  
  while(odbc_fetch_row($Myrset)){
    print "<tr>";
    for($cwk=1;$cwk<=$colno;$cwk++)
      print "<td>".odbc_result($Myrset, $cwk)."</td>";
      print "</tr>";
  }
  print "</table>";
}
$Myclose = odbc_close($Myconnect);
?>

上記のPHPスクリプトファイルを/var/www/htmlに置いておくことによりWebブラウザによる表示が可能となります。

MozillaによるPHP動作確認
Windows Internet ExplorerによるPHP動作確認