オープンギャラリー：Xen 3.0.3(CentOS 4.4編)

Xen 3.0.3(CentOS 4.4編)

2006年8月31日、Red Hat Enterprise Linux 4 Update 4(RHEL 4.4)をベースにしたCentOS 4.4がリリースされました(RHEL 4.4クローン)。
RHEL 4.4自体は2006年8月10日にリリースされています。

CentOS 4.4は標準ではXenが付属していませんが、RHEL 4.4互換であるためhttp://www.xensource.comで公開されているRHEL 4.4用Xen3.0.3用パッケージがそのまま利用できます。
ここではCentOS 4.4へのXen環境の導入とそのDomainUでのVine Linux 4.0ディスクイメージの実行手順を紹介します。

１．前提条件

前提条件は以下の通りです。

CentOS 4.4側実メモリ：1024MB
OSがインストールされているディスク：SCSI HDD
Vine Linux 4.0側(Xen環境への移行前)
- 用途：デスクトップ利用
- OSがインストールされているディスク：SCSI HDD
- パーティション構成
  /dev/sda1：/パーティション
  /dev/sda2：swapパーティション
Xen利用環境
- CentOS 4.4：Domain0として動作
- CentOS 4.4側のDomain0カーネル：vmlinuz-2.6.16.29-xen_3.0.3.0
- Vine Linux 4.0ディスクイメージ：CentOS 4.4に取り込んでDomainUとして動作
- Vine Linux 4.0側のDomain0カーネル：vmlinuz-2.6.16.29-xen_3.0.3.0 ※CentOS 4.4側のDomain0カーネルと同じ。
- DomainUへの接続：VNC接続にてgdmログイン画面を表示させる(XサーバによるXDMCP接続も可能)。

２．CentOS 4.4の導入とXen 3.0.3環境の構築

CentOS 4.4のインストール
CentOS 4.4のインストールでのパッケージグループの選択は＜すべて＞を選択します(インストール合計容量：6,443MB)。
尚、SELinuxは＜無効＞にしておきます。
・インストールされたCentOS 4.4のパッケージ一覧

Xen環境の構築

Xen用rpmパッケージの導入
まずhttp://www.xensource.com/download/dl_303rhel4.htmlからRHEL 4.4用の下記パッケージを取得します。
xen-3.0.3.0-1.i386.rpm
kernel-xen-2.6.16.29-3.0.3.0.i386.rpm

# yum erase lksctp-tools ※Xenカーネルとコンフリクトするパッケージのアンインストール。
# rpm -ivh xen-3.0.3.0-1.i386.rpm
※xendとxendomainsは自動起動される設定になります。
# rpm -ivh kernel-xen-2.6.16.29-3.0.3.0.i386.rpm
# mv /lib/tls /lib/tls.disabled

GRUBメニューへのXenエントリの追加
kernel-xen-2.6.16.29-3.0.3.0.i386.rpmをインストールしても/boot/grub/grub.confへのXenエントリは自動追加されません。
そのため/boot/grub/grub.confに以下のXenエントリを追加します(Xenエントリ追加後のgrub.conf)。

title CentOS-4 Xen
      root (hd0,0)
      kernel /boot/xen-3.0.3.0.gz dom0_mem=512m
      module /boot/vmlinuz-2.6.16.29-xen_3.0.3.0 ro root=/dev/sda1
      module /boot/initrd-2.6.16.29-xen_3.0.3.0.img

reboot
再起動時、GRUBメニューで「CentOS-4 Xen」を選択して起動します。

３．Vine Linux 4.0への仮想フレームバッファ/vncserverの導入とXDMCP接続設定

DomainUでVine Linux 4.0を稼動させてGUI操作するにはVine Linux 4.0への仮想フレームバッファ/vncserverの導入とXDMCP接続設定が必要となります。
具体的手順は仮想フレームバッファ(Vine Linux 4.0編)を参照して下さい。

４．Vine Linux 4.0ディスクイメージファイルの準備

Vine Linux 4.0ディスクイメージファイルの作成
仮想フレームバッファ/vncserverの導入とXDMCP接続設定済みVine Linux 4.0のSCSI HDD全体をイメージファイル化してCentOS 4.4側に取り込みます。
※ddコマンドでのイメージファイル化が楽だと思います。
ここではVine Linux 4.0ディスクイメージファイルの名称をvine40scsi.imgとします。

ディスクイメージファイル(vine40scsi.img)のパーティション構成確認は以下のコマンドで行えます。
# fdisk -lu vine40scsi.img
Vine Linux 4.0ディスクイメージファイルの内容更新
Vine Linux 4.0の物理SCSI HDDから作成したイメージファイルはXen環境で動作する構成にはなっていません。
そこでVine Linux 4.0ディスクイメージファイルの内容を更新します。

(1)まず、Xen用カーネルモジュールのコピーを行います。
# mount -o loop,offset=32256 vine40scsi.img /mnt
※32256は開始セクタ番号(63)にセクタ長(512bytes)を乗じた値です。
マウント後の確認；
```
# ls /mnt
bin   dev  home    lib    lost+found  misc  opt   root  selinux  sys  usr
boot  etc  initrd  lib64  media       mnt   proc  sbin  srv      tmp  var
```
# cp -a /lib/modules/2.6.16.29-xen_3.0.3.0 /mnt/lib/modules

(2)次に、Vine Linux 4.0側のネットワーク設定ファイルの一部を変更します。
# vi /mnt/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
HWADDRの行を削除します。
# :wq!

(3)最後に下記を実行します。
# mv /mnt/lib/tls /mnt/lib/tls.disabled ※/mnt/lib/tlsの中は空ですが念のため実行します。
# umount /mnt

５．ドメイン構成ファイルの作成

DomainU上でVine Linux 4.0ディスクイメージファイルを実行させるためのドメイン構成ファイル(仮想マシン環境設定ファイル)を作成します。
そのファイルは/etc/xen/xmvine40uとします(CentOS 4.4側に用意します)。
xmvine40uの内容は以下の通りです。

kernel = "/boot/vmlinuz-2.6.16.29-xen_3.0.3.0"
memory = 256
name = "xmvine40"
vif = [ 'mac=00:16:3e:00:00:11, bridge=xenbr0' ]
disk = [ 'file:/root/vine40scsi.img,sda,w' ]
root = "/dev/sda1 ro"

６．Vine Linux 4.0(DomainU)の実行

CentOS 4.4のXenモード起動
GRUBメニューから「CentOS-4 Xen」を選択してブートします。
DomainUの起動
# cd /etc/xen
# xm create -c xmvine40u
※createはDomainUの作成と起動を指します。
※-cは現在のターミナルをDomainUの仮想コンソールとして使用するオプションです。

DomainUを起動するとブートメッセージが表示されます。
Kudzu画面での操作
DomainUでは実際のネットワークカードが存在しないため実際のネットワークカードの設定をどうするかの問合せ画面が表示されます。
まず「Welcome to Kudzu」画面が表示されたらEnterキーを押し、次の「Hardware Removed」(ネットワークカードの取り外し)画面でF3キー(Ignore/Keep All)を押します。
この操作によって次回からは本画面は表示されません。
ログインプロンプト
DomainUのブートプロセスのメッセージが流れてテキストログインプロンプトが表示されます。

通常通りログインするかプロンプトのままにしておきます。
※ログインプロンプトのまま放置しておいてもVNC接続やXDMCP接続は使用できます。
Domain0からのVNC接続
VNCクライアントのvncviewerを起動します。
接続先に「vine40share:1」を指定して＜OK＞ボタンで接続します。
※vine40shareはVine Linux 4.0のホスト名です。
GDMログイン画面
VNC接続できるとGDMログイン画面が表示されます。

通常通りログインします。
デスクトップ操作
VNCクライアントからDomainU側のGUI操作が行えます(日本語入力も行えます)。

実寸画像はこちらです。

尚、Cygwin/XやXming(フリーのXサーバ)等でDomainUのVine Linux 4.0へのXDMCP接続も可能です。
- Cygwin/XでのXDMCP接続操作例
- XmingでのXDMCP接続操作例