オープンギャラリー：Xen 3.0.3(Xen on VMware編)

Xen 3.0.3(Xen on VMware編)

Xen本体はマシン環境に大きく依存しますが、Xenの管理/支援ツールは実機で使用する前に仮想マシン環境で事前に試しておきたいというニーズもあります。
ここではCentOS 5に付属の仮想マシンマネージャをVMware環境上で実行する手順を紹介します。
※CentOS 5は2007年4月12日にリリースされています(Xen 3.0.3付属)

今回使用したPCのハードウェア/ソフトウェア構成は以下の通りです。
・CPU：Core 2 Duo E6600
・チップセット：Intel P965
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD：S-ATA 250GB
・LANカード：Intel PRO/100 S
・ホストOS：Fedora Core 6(FC6)
・VMware：VMware Workstation 6 RC(2007年4月19日リリース版)
・VMware上のOS：CentOS 5
・VMware上のCentOS 5のDomainUで動作させるOS：Fedora Core 6(FC6)

１．ホストマシン(FC6)へのVMwareの導入

今回使用したLinux版VMware WorkstationのファイルはVMware-workstation-6.0.0-44426.i386.rpmです。
FC6へのVMwareのインストール手順は以下の通りです。
# rpm -ivh VMware-workstation-6.0.0-44426.i386.rpm
# vmware-config.pl
これはテキストベースのインストーラでありインストール時の質問事項にはすべてEnter(デフォルト応答)でOKです。
尚、インストールの過程でvmmonカーネルモジュールがビルドされます。
インストールが完了するとGNOMEの[アプリケーション]－[システムツール]にVMware WorkstationとVMware Playerが表示されます。

VMwareの起動はGNOMEのメニュー、または「vmware &」で行えます。

２．VMware環境へのCentOS 5のインストール

仮想マシン定義
VMwareの「New Virtual Machine Wizard」を使用してCentOS 5用の仮想マシン環境を定義します。
今回は以下の仮想マシン定義としました。
(1)Hardware compatibility：Workstation 5(VMware Workstation 5への環境移行の考慮)
(2)Guest Operating System：Linux
(3)Guest OSのVersion：Red Hat Enterprise Linux 5
(4)仮想マシン名：CentOS5
(5)仮想マシン環境設定ファイル群の格納先ディレクトリ：/root/vmguest/CentOS5/
(6)CPU数：1
(7)メモリ：1024MB
(8)ネットワーク接続方法：ブリッジ型
(9)仮想ディスクタイプ：IDE
(10)仮想ディスクサイズ：40GB
Allocate all disk space now：off
Split disk into 2GB files：off
(11)仮想ディスクファイル：/root/vmguest/CentOS5/CentOS5.vmdk
仮想マシンへのCentOS 5のインストール
- CentOS 5のインストールメディアをセット(今回はDVD使用)
- 仮想マシン「CentOS5」のPower On
- CD Found以降
  実機にCentOS 5をインストールする流れと同様です。
  尚、ソフトウェアセットには「仮想化」を含めます。
- インストール後の再起動
  「ようこそ」画面が表示されますので環境に合わせて設定・確認します(サウンド再生テスト含む)。
- /boot/grub/grub.confの編集
  Xenカーネルのエントリのkernel行にはdom0_mem指定がされないため値を設定します(例：dom0_mem=512m)。

３．VMware環境のCentOS 5のDomainUへのFC6インストール

VMware環境のCentOS 5のDomainUへのFC6インストールは仮想マシンマネージャで簡単に行えます。

仮想マシンマネージャの起動
GNOMEの[アプリケーション]－[システムツール]－[Virtual Machine Manager]で仮想マシンマネージャを起動します。
ローカルXenホストへの接続
「接続を開く」画面の接続先としてローカルXenホストを選択して＜接続＞ボタンを押します。
仮想システムの作成開始
仮想マシンマネージャの＜新規＞ボタンを押して「新規の仮想システムを作成」ウィザードを起動します。
仮想システムの定義
今回は以下の仮想システム定義としました。
(1)仮想システム名：sys01U
※/etc/xen/sys01Uという構成ファイルが作成されます。
(2)仮想化の方法：準仮想化しか選択できません(完全仮想化はVMwareではグレー表示となります)
(3)メディアのURL：ftp://ftp.iij.ad.jp/pub/.0b/linux/fedora/core/6/i386/os/ ※repodataの存在するディレクトリ名までを指定。
※ローカルのWebサーバのDocumentRoot(/var/www/html)配下にFC6のインストールDVDをマウントしてそのURLを指定する方法もあります(但し、localhost指定は利用不可)。
(4)ストレージ領域のタイプ：シンプルファイル
(5)ストレージファイル：/root/sys01U.img
(6)ストレージファイルサイズ：6000MB
Allocate entire virtual disk now：off
(7)メモリとCPUの割り当て
VM Max Memory(MB)：500
VM Startup Memory(MB)：500
VCPU：1
インストール準備完了画面で＜完了＞ボタンを押すと「仮想マシンを作成中」と表示されます。

仮想マシンコンソール操作
仮想マシンコンソールは実際のFC6インストールを操作するツールです。
仮想マシンコンソールでの操作の流れは以下のようになります。

Choose a Language
デフォルトはEnglishです。
Japanesesを選択するとテキストモードでは日本語表示はされない旨の警告が表示されます。
Keyboard Type
デフォルトのusをjp106に変更します。
Configure TCP/IP
DHCP使用有無、IPv4使用有無、IPv6使用有無を選択します。
Manual TCP/IP Configuration
IPアドレス、ゲートウェイアドレス、DNSサーバアドレスを指定します。
anacondaの起動
GUIインストーラのanacondaが自動起動されます。
この時、画面に「Probing for video card: Xen Virtual Framebuffer」と表示されます。
日本語GUIインストール画面
仮想マシンコンソールにはxen-vncfboによってGUI画面が表示されます(FC6の見慣れたGUIインストール画面です)。
※ ここから先は通常のFC6インストールと同じです(すべて日本語表示となります)。
但し、パーティション設定画面でのデバイス名は/dev/xvdaで、パーティション名は/dev/xvda1と表示されます。

ネットワーク関連のアドレスは先に指定した値がプリセットされて表示されます。
実マシンにインストールする場合に比べて多くの時間を要しますがインストールは無事完了します。
インストール後の再起動
「おめでとう」表示の画面で＜再起動＞ボタンを押すとDomainUが終了します。
再起動
仮想マシンマネージャからのDomainU起動はできませんので次のようにします。
# cd /etc/xen ※DomainU構成ファイルは/etc/xenから自動検索されるためこのcdは必須ではありません。
# xm create sys01U
これで仮想マシンマネージャ画面に「sys01U」の行が表示されます。
「sys01U」の行を選択して＜開く＞ボタンを押してしばらくすると「ようこそ」画面が表示されます。

「ようこそ」画面では環境に合わせて設定・確認します。
「ようこそ」画面での設定・確認が完了して＜再起動＞ボタンを押します。
やはりDomainUが終了します。
DomainU(FC6)の手動起動
DomainUの手動起動は常に「xm create sys01U」で行います。
DomainUを仮想マシンコンソールで操作する場合は仮想マシンマネージャ画面の「sys01U」の行を選択して＜開く＞ボタンを押します。
DomainU(FC6)へのテキストログイン後にgdm-restartコマンドを実行するとgdm(GUIログイン画面)が表示されます。
尚、DomainUの起動後は仮想マシンコンソールを開かなくてもDomainU(FC6)にssh接続、VNC/XDMCP接続(後述)して操作することが可能です。

DomainU(FC6)の主な内部構成

uname -a結果

Linux fc6u.mydomain.net 2.6.18-1.2798.fc6xen #1 SMP Mon Oct 16 15:11:19 EDT 2006 i686 i686 i386 GNU/Linux

/bootの構成
/bootにはXen関連のものしかインストールされません。
※Domain0のカーネル(2.6.18-8.el5xen)とDomainUのカーネル(2.6.18-1.2798.fc6xen)のバージョンは一致していません。

System.map-2.6.18-1.2798.fc6xen
config-2.6.18-1.2798.fc6xen
grub/
initrd-2.6.18-1.2798.fc6xen.img
symvers-2.6.18-1.2798.fc6xen.gz
vmlinuz-2.6.18-1.2798.fc6xen
xen-syms-2.6.18-1.2798.fc6*
xen.gz-2.6.18-1.2798.fc6

/boot/grub/grub.confの内容

# grub.conf generated by anaconda
#
# Note that you do not have to rerun grub after making changes to this file
# NOTICE:  You do not have a /boot partition.  This means that
#          all kernel and initrd paths are relative to /, eg.
#          root (hd0,0)
#          kernel /boot/vmlinuz-version ro root=/dev/xvda1
#          initrd /boot/initrd-version.img
#boot=/dev/xvda
default=0
timeout=5
splashimage=(hd0,0)/boot/grub/splash.xpm.gz
hiddenmenu
title Fedora Core (2.6.18-1.2798.fc6xen)
        root (hd0,0)
        kernel /boot/vmlinuz-2.6.18-1.2798.fc6xen ro root=LABEL=/ rhgb quiet
        initrd /boot/initrd-2.6.18-1.2798.fc6xen.img

/lib/modulesの中
2.6.18-1.2798.fc6xen だけです。
/lib/tls
/lib/tlsは空のままです。

ls -F /devの表示内容

MAKEDEV@  loop2     ptmx   ram9      tty15  tty31  tty48  tty7     vcsa1
X0R@      loop3     pts/   ramdisk@  tty16  tty32  tty49  tty8     vcsa2
console   loop4     ram@   random    tty17  tty33  tty5   tty9     vcsa3
core@     loop5     ram0   root      tty18  tty34  tty50  ttyS0    vcsa4
cpu/      loop6     ram1   rtc       tty19  tty35  tty51  ttyS1    vcsa5
disk/     loop7     ram10  shm/      tty2   tty36  tty52  ttyS2    vcsa6
evtchn    mapper/   ram11  stderr@   tty20  tty37  tty53  ttyS3    vcsa7
fb@       md0       ram12  stdin@    tty21  tty38  tty54  urandom  vcsa8
fb0       mem       ram13  stdout@   tty22  tty39  tty55  vcs      xvc0
fd@       net/      ram14  systty    tty23  tty4   tty56  vcs1     xvda
full      null      ram15  tty       tty24  tty40  tty57  vcs2     xvda1
gpmctl=   nvram     ram2   tty0      tty25  tty41  tty58  vcs3     zero
initctl|  parport0  ram3   tty1      tty26  tty42  tty59  vcs4
input/    parport1  ram4   tty10     tty27  tty43  tty6   vcs5
kmsg      parport2  ram5   tty11     tty28  tty44  tty60  vcs6
log=      parport3  ram6   tty12     tty29  tty45  tty61  vcs7
loop0     port      ram7   tty13     tty3   tty46  tty62  vcs8
loop1     ppp       ram8   tty14     tty30  tty47  tty63  vcsa

fdisk -lu /dev/xvdaの表示内容


Disk /dev/xvda: 6291 MB, 6291456000 bytes
255 heads, 63 sectors/track, 764 cylinders, total 12288000 sectors
Units = sectors of 1 * 512 = 512 bytes

    Device Boot      Start         End      Blocks   Id  System
/dev/xvda1   *          63    12273659     6136798+  83  Linux

DomainU(FC6)構成ファイルの内容
自動生成されたDomainU構成ファイル(/etc/xen/sys01U)は以下の内容になっています(kernel行はありません)。

# Automatically generated xen config file
name = "sys01U"
memory = "500"
disk = [ 'tap:aio:/root/sys01U.img,xvda,w', ]
vif = [ 'mac=00:16:3e:3c:f4:83, bridge=xenbr0', ]
vfb = ["type=vnc,vncunused=1"]
uuid = "9530a2c8-32dd-294b-de4b-3e4767b515c9"
bootloader="/usr/bin/pygrub"
vcpus=1
on_reboot   = 'restart'
on_crash    = 'restart'

DomainU(FC6)の仮想ハードウェア構成
DomainU(FC6)にhwbrowserパッケージをインストールして仮想ハードウェア構成を確認してみました。
【確認結果】
(1)キーボード：Xen Virtual Keyboard/Mouse
(2)ネットワークデバイス：Xen Virtual Ethernet(ドライバはxennet)
(3)ハードドライブ：/dev/xvda
(4)ビデオカード：Xen Virtual Framebuffer(ドライバはxenfb)

４．VMware環境上のDomainU(FC6)のカスタマイズ利用

VMware環境上のDomainU(FC6)のGUI画面ではDomainUとホストOS側のマウスポインタが同時に表示されて戸惑いがちです。
またVMware環境ということもあってDomainU側でキー入力できない文字もあります。
しかも通常操作でそのDomainUの画面解像度を変更することもできません。
そこでDomainUはVNC接続して使えるようにカスタマイズします。
具体的には実機のホストOS(FC6)からVMware環境上のDomainU(FC6)にVNC接続してGUIログインできるようにします(XDMCP利用)。

vnc-serverパッケージのインストール
# yum install vnc-server
vncserverの手動起動テストは不要です。
xinetdパッケージのインストール
# yum install xinetd
/etc/servicesの編集
「vncserver1 5901/tcp # vncserver :1」という行を追加します。

/etc/xinetd.d/vncserver1の作成
以下の内容でvncserver1ファイルを作成します。

service vncserver1
{
        disable = no
        socket_type = stream
        wait = no
        user = nobody
        server = /usr/bin/Xvnc
        server_args = -inetd -query localhost -once -geometry 1024x768 -depth 24 securitytypes=none
}

ログイン画面の設定変更
GNOMEメニューの[システム]－[管理]－[ログイン画面]での「ログイン画面の設定」画面で以下の変更を行います。
(a)「リモート」タブ
スタイルを＜リモート・ログインを無効にする＞から＜ローカルと同じにする＞に変更します。
これでXDMCP接続ができるようになります。
(b)「セキュリティ」タブ
＜システム管理者(リモート)のログインを許可する＞をonに変更します(これは任意です)。
上記の設定変更は/etc/gdm/custom.confに反映されます。
ちなみにgdmのデフォルト設定ファイルは/usr/share/gdm/defaults.confです。
フォントサーバの設定変更
フォントサーバ(xfs)は自動起動される設定になっています。
# vi /etc/X11/fs/config
リモートからのフォントサーバアクセスを許可するために「no-listen = tcp」を「#no-listen = tcp」に変更します(コメント化)。
# /etc/rc.d/init.d/xfs restart
gdmの再起動
gdmの設定を変更したため確認テスト用にgdmを手動で再起動します。
# /usr/sbin/gdm-restart
VNC接続例
ホストOS(FC6)からDomainU(FC6)にVNC接続してGUI操作してみました(画面右側のウィンドウが1024x768サイズのVNCウィンドウです)。
XDMCP接続例
VMware環境には他のOS(Vine Linux 4.0)も導入しています。
VMware環境のVine Linux 4.0のgdm画面からDomainU(FC6)にXDMCP接続してGUI操作してみました。
※Vine Linux 4.0のgdm画面にあるシステムメニューから＜XDMCP Chooseの実行＞を選択して接続先を選択する操作を行います。

XDMCP接続方式ならDomainU(FC6)を操作するXウィンドウの画面解像度を自由に設定可能となります。
しかし今回使用したLinux版VMwareでは「 _ 」(アンダースコア)のキー入力ができませんでした。
(Windows用VMware Workstation 5.5環境のVine Linux 4.0からの本DomainU(FC6)へのXDMCP接続ではアンダースコア入力も可能)

画面右側のウィンドウがXDMCP接続したDomainU(FC6)のVMwareウィンドウです(ウィンドウサイズが1280x1024なので表示し切れていません)。

５．VMware環境のCentOS 5のDomainUへのCentOS 5インストール

VMware環境のCentOS 5の仮想マシンマネージャによるCentOS 5のインストール手順はFC6をインストールする手順と同様です。
今回はCentOS 5のメディアのURLとしてftp://ftp.iij.ad.jp/pub/linux/centos/5/os/i386/を指定しました。
※CentOS 4.4については仮想マシンマネージャからのインストールはできません。

６．VMware環境のCentOS 5のDomainUでのVine Linux 4.0の実行

VMware環境にインストールしたVine Linux 4.0の仮想ディスクにXenカーネルを導入しVMware環境のCentOS 5のDomainUで実行させてみました。
DomainU(Vine Linux 4.0)でのネットワーク利用もOKです。
尚、Vine Linux 4.0用のXenカーネルはkernel-xenU-2.6.9-55.EL.i686.rpmを使用しました。
※kernel-xenU-2.6.9-55.EL.i686.rpmはhttp://people.redhat.com/~jbaron/rhel4/から入手できます。

DomainUで動作しているVine Linux 4.0の仮想ディスクに対するfdiskでディスクの構成確認も行えます。