VMware Fusion 1.0(Boot Camp Vista編)

2007年8月6日にIntel Mac用のVMware Fusion 1.0製品版(Build 51348)が正式リリースされました。
正式ライセンスキー取得してVMware Fuisionに登録すればライセンス期限表示部分が「Thank you for licensing ...」となります。



その2日後の2007年8月8日にはBoot Camp Public Beta 1.4(期間限定版)がリリースされました。

そこでVMware Fusion 1.0とBoot Camp Public Beta 1.4を導入し、32ビット版Windows Vista(Ultimate)をインストールしたBoot Campパーティションを実行させてみました。
尚、VMware Fusion 1.0製品版のリリースノートによればWindows Vista用Boot Campパーティションサポートは実験的サポート扱いとなっています(Windows XP用は正式サポート)。
※Parallels Desktop 2.5 for Mac 日本語版ではWindows Vista用Boot Campパーティションは未サポートです(Windows XP用は正式サポート)。

VMware Fusionの仮想マシンにWindows Vistaをインストールして使用するのと
Boot CampパーティションにインストールしたWindows VistaをVMware Fusionで使用するのとでは両者の使い勝手にそれほど大差はありませんが、
(1)Boot Campパーティションの特性
(2)Boot CampパーティションのVMware Fusionでの使用方法
(3)Boot CampパーティションのWindows Vistaをネーティブ実行とVMware Fusionで実行するためのハイブリッド実行環境の作成方法 等
を中心にご紹介してみます。
更に、2007年8月1日にリリースされたRDC(Remote Desktop Connection) Client for Mac 2.0 Beta 1でVMware Fusion上のWindows Vistaに接続する方法も紹介します。



1.マシン環境




2.Boot CampパーティションにWindows Vistaをインストールする手順の流れ




3.Boot Campの導入

Apple社のサイトからBoot Camp Public Beta 1.4(BootCamp1.4.dmg)をダウンロードしてマウントします。
マウントして表示されるBoot Camp Assistantフォルダ中のInstall Boot Camp Assistant.mpkgをインストールします。
このインストールでアプリケーションフォルダの「ユーティリティ」中に「Boot Camp アシスタント」が作成されます。



4.Mac Windows Driversディスクの作成

Boot Camp アシスタントを起動し、画面のガイドに従ってMac Windows Driversディスク(CD-R)を作成します。
このMac Windows Driversディスクにはディスプレイドライバやサウンドドライバ等が格納されます。



5.Windows用パーティションの作成

Boot Camp Public Beta版ではWindowsをインストールするためのBoot Campパーティションを一つしか作成できないという制限があります。
このBoot Campパーティションはプライマリパーティション3固定になります。

Boot Camp アシスタントを起動し、画面のガイドに従ってWindows用パーティション(Boot Campパーティション)を作成します。
具体的にはMac OS Xのパーティション(ボリューム)の後方から作成するWindows用パーティションサイズをGUIで指定します(境界点をスライドさせて指定)。
今回は24GBをWindows用パーティションにしました。



Windows用パーティションを作成するとBoot Campを利用して起動したOSからはディスク全体が以下の構成として認識されます。
(1)ディスク0 パーティション 1 (/dev/sda1):200MB
(2)ディスク0 パーティション 2 (/dev/sda2):Mac OS Xのパーティション
(3)ディスク0 未割り当て領域 :xxxMB
(4)ディスク0 パーティション 3 (/dev/sda3):Windows用に作成したパーティション



6.Windows Vistaのインストール

Boot Camp アシスタントを起動します。
Windows VistaのインストールDVDをドライブにセットし、「Windowsのインストールを開始」画面で<インストールを開始>ボタンを押します。
これによってMac OS Xが自動終了し、Windows Vistaのインストーラが自動起動されます。

Windows Vistaのインストールは、言語設定後に<今すぐインストール>をクリックして進めます。
ここでの注意点はWindows Vistaのインストール中にパーティション変更操作(パーティションの削除・追加等)を行わないということです。
パーティション変更操作を実施してもWindows Vistaをインストールして実行することはできますがMac OS Xの「起動ディスク」画面に「Windows(Untitled)」というボリュームが表示されなくなります。
このためMac OS Xの「起動ディスク」画面からは起動ディスクの変更設定を行うことはできなくなります。
更に、VMware FusionにおいてWindows用パーティション(Boot Campパーティション)からのゲストOSブートもできなくなります。

このような制約があるためWindows Vistaのインストール先は常にデフォルト表示される「ディスク0 パーティション 3」のままとする必要があります。

Windows Vistaをインストールした結果は以下のようになります。
(1)内蔵Ethernet(有線)でのネットワーク利用は可能です。
(2)AirMacについてはWindows Vista標準の「ワイヤレスネットワークの管理」からWEP等の設定をして利用可能となります。
(3)サウンド再生はできません(Windows Vistaには対応するサウンドドライバが無いようです)。
(4)ディスプレイアダプタは「Mobile Intel 945GM Express Chipset Controller 0」用ドライバが自動インストールされ1600x1200の解像度でもAero対応となります。



(5)Windows Vistaのディスクの管理でのパーティション構成は次のように表示されます。



(6)Mac OS X側の起動ディスクには「Windows(Untitled)」が追加されます。
(7)Mac OS X側のディスクユーティリティにもUntitledボリュームのマウント先やフォーマットが表示されます。



(8)ターミナルからのdiskutilコマンドでもディスク構成が確認できます。






7.Windows VistaへのMac Windows Driversの導入(目的:サウンド再生他)

事前に作成しておいたMac Windows Driversディスク(CD-R)をセットし、setup.exeを起動してMacマシンに対応したドライバをインストールします(ドライバ選択はできません)。
このMac Windows Driversの導入結果は以下のようになります。
(1)内蔵Ethernet(有線)でのネットワークは利用可能のままです。
(2)AirMacでのネットワークも利用可能のままです。
(3)サウンド再生ができるようになります(SigmaTel High Definition Audio CODECがインストールされるため)。
※SigmaTel Audioサービスが自動起動されるようになります。
(4)ディスプレイアダプタは「Mobile Intel 945 Express Chipset Family」対応ドライバが自動インストールされ1600x1200の解像度ではAero対応でなくなります。



尚、解像度を1280x1024等にすればAero対応となります。



(5)コントロールパネルに「Boot Camp」が追加され起動ディスクの変更ができるようになります。



(6)タスクバーのシステムトレイの「Boot Camp」アイコンの右クリックメニューの<Mac OS Xで再起動>も使用できます。



(7)Boot CampパーティションにWindows Vistaをインストールした後のデフォルト起動OSはWindows Vistaになります。
※単に電源ボタンを押すとWindows Vistaが起動します。
(7-1)一時的にMac OS Xを起動したい場合はOptionキーを押しながら電源ボタンを押してディスク選択画面でMac側を選択します。
(7-2)デフォルトの起動OSをMac OS Xに戻す場合はWindows Vista側のBoot Campパネルの起動ディスクまたはMac OS X側起動ディスクで設定変更します。
(8)Boot Campヘルプ(C:\Program Files\Boot Camp\Boot Camp.Resources\ja.lproj\Boot Camp Help.chm)がインストールされます。
※そのヘルプにはPCキーボードとAppleキーボードの対応表(Alt+PrintScreen = Option + F14等)も記載されています。



8.Windows VistaへのMacディスク読み書きツールの導入(任意)

Boot CampパーティションのWindows VistaにMac Windows DriversをインストールしてもWindows VistaからMacディスクのアクセスはできません。
そこで必要に応じてWindows VistaにMacディスクの読み書きツールを導入します。





9.VMware FusionによるBoot CampパーティションのWindows Vistaの実行(日本語キーボード化含む)

VMware FusionによるBoot CampパーティションのWindows実行方法についてはVMware Fusion付属のGetting_Started.pdfの
「Creating a Virtual Machine from the Boot Camp Partition」に記載されていますが次のように行います(補足含む)。




10.Windowsライセンス認証

Boot CampパーティションにインストールしたWindows Vistaについては2回のWindowsライセンス認証が必要となります。
1回目はネーティブ起動した状態での「オンラインライセンス認証」で、2回目はVMware Fusionで起動した状態での「電話によるライセンス認証」です。
Windowsのライセンス認証機構の特性により各々の起動状態でそれぞれWindows認証を1回ずつ済ませておくことで
それ以降はWindows Vistaのネーティブ起動とVMware Fusionでの起動を交互に実施しても常にライセンス認証済み状態として扱われます。




11.ハイブリッド実行環境

Boot CampパーティションにインストールしたWindows Vistaのハイブリッド実行環境(ネーティブ実行とVMware Fusionでの実行)構築は上述のように以下の手順で行いました。

このハイブリッド実行環境が揃っていれば同じWindows Vistaをネーティブ実行とVMware Fusion実行で併用することができます。

但し、ネーティブ実行とVMware Fusionでの実行では認識されるハード構成に大きな差が生じます。
しかしMac Windows DriversとVMware Toolsによって実行環境別にハード構成が正しく認識されますので手動による環境設定をその都度行う必要はありません。

実行環境別に認識されるハードウェアの違いを以下の表に纏めます。

項目ネーティブ実行環境VMware Fusionでの実行環境
CPUMac本体のCPUプロセッサ全体VMware Fusionで設定したCPUプロセッサ数
(通常は1)
メモリMac本体の搭載メモリ全体VMware Fusionで設定したメモリ
(実メモリ未満)
Bluetooth無線Apple Built-in Bluetooth
Microsoft Bluetooth Enumerator
なし
キーボードHID キーボードデバイス日本語 PS/2キーボード
(106/109キー)
サウンドアダプタSigmaTel High Definition Audio CODECCreative AudioPCI(ES1371,ES1373)
(WDM)
ディスクドライブMac本体のディスクドライブVMware Virtual IDE HardDrive ATA Device
ディスプレイアダプタMobile Intel 945 Express Chipset FamilyVMware SVGA II
ネットワークアダプタAtheros AR5006EXS Wireless Network Adapter
Bluetooth デバイス (RFCOMM プロトコル)
Bluetooth デバイス (パーソナルエリア ネットワーク)
Marvell Yukon 88E8053 PCI-E Gigabit Ethernet Controller
Intel PRO/1000 MT Network Connection

[補足]
(1)実行環境の切り替えで不明なデバイス扱いになるものは基本的にありません。
(2)稀にVMware Fusion実行からネーティブ実行に切り替えた場合、ディスプレイアダプタが標準VGAグラフィックアダプタとして認識される場合があります(画面解像度は維持されますがAeroは利用不可)。
その場合はデバイスマネージャの<ドライバソフトウェアの更新>で「Mobile Intel 945 Express Chipset Family」として認識させることができます(画面解像度は維持されてAeroも利用可能)。
(3)ネーティブ実行環境とVMware Fusionでの実行環境では認識されるハードウェアに大きな差がありますが、
VMware Fusionでの実行環境でVMware Toolsをインストールしている場合はWindowsの再認証はVMware Fusionでの初回起動時だけで済むようです。
※出典:「Getting Started with VMware Fusion」



12.VMware FusionによるBoot CampパーティションのWindows VistaからMac周辺機器の利用

Boot CampパーティションにインストールしたWindows VistaをVMware Fusion環境で実行する場合、種々のMac周辺機器を利用できます。
いくつかの例を紹介します。




13.64ビット版KNOPPIXのネーティブ実行

Boot CampパーティションにインストールしたWindows VistaのパーティションはMac OS Xのデスクトップには「Untitled」というボリュームでマウントされます。
Mac OS XからWindows Vistaのパーティション(Untitled)は読み込み専用モードでアクセスできます。



ここでは64ビット版KNOPPIX(Ver 5.1.1)をネーティブ実行し、KNOPPIXからMacマシンのパーティション構成やWindows Vistaのパーティション内容を確認してみます。




14.KNOPPIXでのXen(HVM:完全仮想化)実行

32ビット版のKNOPPIX 5.1.1 Xen 3.0.4(CD版)をネーティブ実行してXenのHVM(完全仮想化)を試してみました。
更にKNOPPIX側からMacマシンのパーティション構成も確認してみました。




15.KNOPPIXでのOpenGL動作確認

Berylが使用できる32ビット版のKNOPPIX 5.1.1(CD版)をネーティブ実行してそのOpenGLを試してみました。




16.Mac OS XのRDCによるWindows Vista接続

RDC Client for Mac 1.0.3まではWindows Vista接続を正式サポートしていませんでした。
しかしRDC Client for Mac 2.0ではIntel Mac対応かつWindows Vista接続が主たる追加サポート項目になっています。
RDC Client for Mac 2.0のBeta 1(英語版)が2007年8月1日にリリースされましたのでそれを利用して、
VMware Fusion上で実行しているWindows Vista(Boot CampパーティションのWindows Vista)に接続してみました。





17.その他