USBメモリへのWindows 8.1のインストールと起動

通常、WindowsをUSB接続デバイスにインストールすることはできません(インストール先としてUSBディスクを選択した場合のエラー表示例)。
(但し、USBディスクをHyper-V仮想マシンへのパススルーディスクとして割り当てればそのUSBディスクにWindowsをインストールできますがUSBメモリはパススルーできません)
しかしLinuxの場合はMac OS Xの場合と同様にLinuxをUSBメモリにインストールして利用することが簡単にできます。
例えばUbuntu 9.04を以下の手順でインストールして起動することができます。
(1)MacBook Proに一般の8GBのUSBメモリを接続。
(2)Ubuntu 9.04インストールCDからCキーでブート。
(3)/dev/sdb1にUbuntuをインストール。
(4)Ubuntu 9.04のブートローダを/dev/sdbにインストール。
(5)USBメモリからブートできるマシンでUbuntu 9.04をインストールしたUSBメモリからブート
(6)8GBのUSBメモリからブートされたUbuntu 9.04のデスクトップ例

さてWindows 8/8.1 Enterprise版にはWindows To Go機能がありそれを使用するとUSBメモリを含めたUSB接続デバイスにWindows 8/8.1 Enterpriseをインストールすることができます。
インストールと言ってもインストール先USB接続デバイスのパーティション分割を自動で行ってOSイメージを書き込むだけですので、その後にWindowsセットアップが必要となります。
そのWindowsセットアップはUSBデバイスからのブートのできるPC環境ならIntel Mac含めてどのPC(Hyper-VやVMware等の仮想マシン環境含む)でも行なえます。
ただしWindows To Go機能でのインストール対象OSはEnterprise版に限定されるというのが大きな制約になっています。
Windows To Go機能でWindows To GoワークスペースへのインストールOSとしてWindows 8.1 Pro(今回はDSP版を使用)を選択すると「Windows To Go ワークスペースの作成に使用できるのは、Windows 8.1 Enterpriseのイメージだけです。」エラーとなります。
尚、Windows 8.1 Enterprise用Windows To GoワークスペースをUSBメモリに作成するにはWindows To Go対応(Certified for Windows To Go)と明記されたUSBメモリが必要となります。

Windows To Go対応のUSBメモリの大きな特徴は以下の通りです。


下記はWindows To Go対応USBメモリにWindows To Go ワークスペースとしてインストール(15分程度で完了)したWindows 8.1 Enterprise 評価版(64ビット)をi5-4590のCPUのDOS/V環境で実行している様子です。
※Windowsセットアップの詳細説明は省略しますが最初の「地域と言語」で日本(デフォルト)を選択しても日本語キーボードレイアウトにならないためWindowsセットアップが終了してからデバイスマネジャで日本語キーボードレイアウトに変更します。



・実寸画像はこちらです。

下記はWindows To Go対応USBメモリにWindows To Go ワークスペースとしてインストールしたWindows 8.1 Enterprise 評価版(64ビット)をIntel Macで実行している様子です。
Hyper-Vマネジャをインストールして別マシンのクライアントHyper-Vに接続して仮想マシンを実行してみました。
尚、BootCampサポートソフトウェアをインストールすることで9時間の時刻のずれの防止、サウンド再生、Wi-Fi接続等ができるようになります。
更にiTunesをインストールしておけばiPhoneと接続してiPhone経由でのインターネット接続もできるようになります。



・実寸画像はこちらです。

下記はWindows To Go対応USBメモリにWindows To Go ワークスペースとしてインストールしたWindows 8.1 Enterprise 評価版(64ビット)をIntel Macで実行していてiPhoneからVPN経由でiFreeRDPで操作している様子です。



・iPhoneのRD ClientからのVPN経由でのRDP接続画面はこちらです。

下記はWindows To Go対応USBメモリにWindows To Go ワークスペースとしてインストールしたWindows 8.1 Enterprise 評価版(64ビット)をHyper-Vパススルーディスクとして割り当てて仮想マシン(第1世代の仮想マシン)で実行している様子です。



・実寸画像はこちらです。

下記はWindows 8.1 Enterprise環境でWindows To Go対応USBメモリにWindows 10 Technical Preview for Enterprise用Windows To Go ワークスペースを作成する際の画面です。
(尚、Windows 7 Enterprise版にもsources\install.wimは存在しますがWindows To Go ワークスペースの作成対象OSとは認識されません)



[補足]
Windows To Go機能に近いことは以下の二つの無償ツールでもできます。
・Windows 7用 Windows自動インストールキット(AIK)
・Windows 8用 Windowsアセスメント & デプロイメント キット(Windows ADK)
※Windows ADKではMakewinPEMedia /UFDコマンドを使用してUSBメモリにWindows PEをインストールできますがそのWindows PEを使用してWindowsセットアップ(Windows 8.1 Enterpriseの例)する場合のインストール先としてUSBメモリは使用できません。
尚、Windows PEをインストールしたUSBメモリはIntel MacでEFI Bootができます(こちらはDOS/VマシンでのUEFIブート例)。
Windows PEをインストールしたUSBメモリ中のexeファイル一覧

[AIKのimageXツールの使用例:USBメモリへの32ビット版Windows 8 Proのインストール例]
(1)Windows 8系(32ビット)マシンへのAIKのインストール
(2)Windows To Go対応でない普通のUSBメモリをNTFSでクイックフォーマット(ここではEドライブとします)
(3)Windows 8 Pro(32ビット)版のインストールDVDをDVDドライブにセット(ここではDドライブとします)
(4)管理者コマンドプロンプトで以下のコマンドを実行
>"C:\Program Files\Windows AIK\Tools\x86\imagex.exe" /apply D:\sources\install.wim 1 E:\
>bcdboot E:\Windows /s E: /l ja-jp /f ALL ※Windows 7のbcdbootコマンドには/fオプションはありません
(このbcdbootコマンドによってUSBメモリ中にBootフォルダとEFIフォルダが作成されます)
コマンド実行例
(5)USBメモリからブートできるPCに上記USBメモリをセット
(6)PCの電源オン
(7)ブートデバイスの選択でUSBメモリからのブートを選択
(8)Windowsセットアップの開始
※キーボードはWindows To Go同様に英語キーボードレイアウトになっています。
・プロダクトキーを入力してください
・ライセンス条項
・まずは基本項目を確認しましょう
パーソナル設定
・設定
・PCへのサインイン
・Microsoftアカウントを確認しています
・Microsoftアカウントへのサインイン
以下省略...
(9)USBメモリから起動したWindows 8 Pro(32ビット)のスタート画面の表示
(10)USBメモリから起動したWindows 8 Pro(32ビット)のデスクトップ例

[ADKのimageXツールの使用例:USBメモリへの32ビット版Windows 8 Proのインストール例]
(1)Windows 8系(32ビット)マシンにADKをインストールした後の手順はAIKのimageXツールの使用の場合とimagex.exeのパスが違っていること以外は同じです。
ADKでのimagex.exeのパスは"C:\Program Files\Windows Kits\8.1\Assessment and Deployment Kit\Deployment Tools\x86\DISM\imagex.exe"となります(ADKのimagexの実行例)。
(2)USBメモリからブートできるPCに上記のWindows 8 Pro(32ビット)をインストールしたUSBメモリをセットしてWindowsセットアップを実行
※キーボードはWindows To Go同様に英語キーボードレイアウトになっています。
(3)USBメモリから起動したWindows 8 Pro(32ビット)のデスクトップ例

[留意事項]
Windows 8.1 Update用のADKにはimagex.exeが含まれていますがそのimageXツールは廃止扱いとなっています。
上記のADKのimageXツールによるWindows 8 Pro(32ビット)はたまたまWindowsセットアップまで動作しただけで正式には未サポートです。
Windows 8.1 Enterprise(64ビット)にADKをインストールしてそのADKのimageXツールを使ってUSBメモリにWindows 8.1 Enterprise(64ビット)をインストールし、そのUSBメモリからのUEFIブートを試してみましたがブートから30分経過しても回転アイコンが表示された画面のままで「デバイス準備中」の表示には至りませんでした。
尚、ADKの「dism /Apply-Image /Image-File:"D:\sources\install.wim" /Index:1 /ApplyDir:P:\」と「bcdboot P:\Windows /s P: /f ALL」を実行してWindows 8.1 Enterprise(64ビット)/Windows 8.1 Pro(64ビット)をインストールしたUSBメモリからのUEFIブートもできませんでした。
しかしながらWindows 8.0 Pro(64ビット)についてはADKの「dism /Apply-Image /Image-File:"D:\sources\install.wim" /Index:1 /ApplyDir:P:\」と「bcdboot P:\Windows /s P: /f ALL」を実行してUSBメモリからのUEFIブートによる起動ができました(初回起動はプロダクトキー入力から始まるWindowsセットアップで英語キーボードレイアウトになります)。
USBメモリからUEFIモードで起動したWindows 8 Pro(64ビット)のデスクトップ例
(こちらはUEFIモードでないBIOSブートしたケース)

さて、一般に市販されている普通のUSBメモリはWindows To Go実行時、「これはリムーバルドライブで、Windows To Goに対応していません。」エラーとなります。
これらの制約はWindows 10 Technical Preview for Enterprise版でも変わっていません。
せめてWindows To Go機能でのインストール対象OSとしてWindows 8.1 Proも追加してくれると一般ユーザにとっては大変助かると思います。
しかし次の代替え策があります。
(1)Windows To Go機能を使用せずにWindows To Go対応USBメモリにWindows 8.1 Proをインストールする方法(Hyper-Vの利用でのOSインストール)
(2)Windows To Go対応でない通常のUSBメモリにWindows 8.1 Proをインストールする方法
※今回使用したツールは「BOOT革命/USB ver.5 Professional(Windows 8対応)版」です(エクスターナルインストール機能を使用)。

以下にこれらの代替え策について紹介します。



■ Windows To Go機能を使用せずにWindows To Go対応USBメモリにWindows 8.1 Proをインストールする方法

実機環境ではレガシーBIOSモードはもとよりUEFIモードでWindows 8.1 ProのインストールDVDを起動してもUSB接続デバイスにはWindowsをインストールできません
しかしWindows To Go対応USBメモリはディスク管理でオフライン状態にしておくことでHyper-V仮想マシンにパススルーディスクとして割り当てることができます。
Hyper-V仮想マシンにパススルーディスクとして割り当ててWindows 8.1 Proをインストールする場合のHyper-V仮想マシンとしては第1世代と第2世代の両方が使用可能ですが第2世代にしておくとそのWindows To Go対応USBメモリからのUEFIブートが可能となるためIntel Macでもブートができて使用範囲が広がるためIntel Mac利用者にはお勧めです。
  1. 第2世代のHyper-V仮想マシンの利用

  2. 第1世代のHyper-V仮想マシンの利用

  3. VMware WorkstationのEFI仮想マシンの利用(今回はファームウェアタイプ選択が正式サポートされたVer.11を使用)
  4. 補足:VMware WorkstationでWindows 8.1 Pro(64ビット)用インストールUSBメモリを使用する方法
    マイクロソフトはUSBメモリ及びDVDをWindows 8.1用のインストールメディアとして作成するツール(Windowsインストールメディア作成ツール)をhttp://windows.microsoft.com/ja-jp/windows-8/create-reset-refresh-mediaで公開しています(ダウントードファイル:mediacreationtool.exe)。
    このツールを使用することで通常のUSBメモリをWindows 8.1 Pro(64ビット)のインストーラにすることが可能となります。
    Windowsインストールメディア作成ツールの利用手順は以下の通り非常に簡単です。
    (1)mediacreationtool.exeを起動します。
    (2)「作成するインストールファイルを選んでください」画面で以下を指定します。
    ・言語:日本語
    ・エディション:Windows 8.1 Pro ※他にWindows 8.1があります
    ・アーキテクチャ:64 ビット (x64) ※32 ビット (x86)もあります
    (3)「インストールファイルの保存場所を選んでください」画面で以下を指定します。
    ・[USBフラッシュドライブ]を選択します。
    ※ここで[ISOファイル]を選択するとWindows.isoファイル(3.5GB)がダウンロードされ、Windows ディスクイメージ書き込みツールが自動起動されてDVDへの書き込みもできます。
    (4)「USBフラッシュドライブを選んでください」画面では今回はSONY製の8GBのUSBメモリ(Eドライブ)を選択しました。
    (5)「E:のUSBドライブにあるファイルは削除されます。」という警告ダイアログで<OK>ボタンをクリックします。
    (6)インストールファイルがダウンロードされます。



    (7)ダウンロード終了後、「ファイルを準備しています」、「USBフラッシュドライブを作成しています」と表示されてUSBメモリに書き込まれて「USBフラッシュドライブの準備がでました」画面が表示されます(USBメモリはFAT32でフォーマットされてボリューム名は「ESD-USB」となります)。

    (8)上記の手順で作成されたUSBメモリはWindows 8.1 Pro(64ビット)のインストールに使用できます(プロダクトキーはDSP版のものが利用可能)。


以下はWindows To Go対応でない通常のUSBメモリにWindows 8.1 Proをインストールする方法の説明です。

■ Windows To Go対応でない通常のUSBメモリにWindows 8.1 Proをインストールする方法で今回利用したPC環境



■ USBメモリへのWindows 8.1 Proのインストール
「BOOT革命/USB ver.5 Professional(Windows 8対応)版」のエクスターナルインストール機能を使用してUSBメモリにWindows 8.1 Proをインストールする流れは以下の通りです。


■ USBメモリにインストールしたWindows 8.1 ProのWindowsセットアップ


■ USBメモリにインストールしたWindows 8.1 Proのデスクトップ操作


■ Windows 8.1 ProをインストールしたUSBメモリでのデュアルブート環境構築
Windows 8.1 ProをインストールしたUSBメモリにWindows 8.1 EnterpriseのVHDファイルを格納してUSBメモリでのデュアルブート環境を構築してみました。
構築手順は以下の通りです。