オープンギャラリー：Xen 3.1.3(Oracle VM編)

Xen 3.1.3(Oracle VM編)

Oracle VMはOracle社が無償で公開しているXenベースのサーバ仮想化ソフトウェアです。
Oracle VMは「VM Server」と「VM Manager」から構成されています(32ビット版と64ビット版は同じもので区別はありません)。

(1)VM Server
VM ServerはOEL(Oracle Enterprise Linux)のサブセットにXen本体とエージェント機能(VM Managerからの要求受付機能)を加えたLinux OSです。
VM Serverはそれ自体がXen機能に特化したLinux OSですがXen対応のGUI管理ツールは持ちません(デスクトップなし)。
仮想マシン(DomainU/HVMドメイン)はこのVM Server上で実行されます。
DomainUだけを使用するのであればIntel VT/AMD-Vに対応していないマシンにも導入して利用できます(VMware環境にインストールして試験的利用も可能)。
Oracle VM Server 2.1.1(Xen 3.1.3対応版)は2008年3月にリリースされましたが、そのベースとなるOELはOEL 5.1(Release 5 Update 1)ではなくOEL 5のようです。
尚、OEL 5にOracle VM Server 2.1.1付属のrpmパッケージのいくつかをインストールするとデスクトップ付きのVM Serverになります。

(2)VM Manager
Xenの仮想マシン(DomainU/HVMドメイン)全体のライフサイクル(生成から削除まで)をOracleデータベースで一括管理するWebベースのリモート管理ツールです。
ここでのOracleデータベースは無償のOracle XE(Oracle Database 10g Express Edition)です。
(Oracle XEは単独利用も可能)
VM ManagerはOC4J(J2EEアプリケーション実行環境)で動作するOracle Webアプリケーションとして実装されています。
Oracle VM Manager 2.1.1はOEL 4.5(Release 4 Update 5)以降のOS上での動作が保証されています。

Oracle VMの特徴は以下の通りです。
(1)仮想マシンの実行OSと管理OSが完全に分離しています(XenServer/XenExpressライクな動作環境)。
但し、Xenネーティブ機能を利用するだけならVM Serverだけでも仮想マシンを作成して実行させることができます。
(2)一つのVM Managerで複数のVM Server群を管理できます。
あるまとまりをもったVM Serverのグループをサーバプールと呼びます。
(3)仮想マシンの情報はすべてOracleデータベースで管理されているためアドホックな管理・稼働レポートも作成することができます。
しかもOC4JベースのアプリケーションもVM Managerマシンに追加して利用することができます。
(4)VM Serverは準仮想化と完全仮想化をサポートしていますが完全仮想化に対応していないマシンにもVM Serverを導入できます。
(5)VM Managerの仮想マシンコンソールを使用してVNC経由でゲストOSをインストール/実行操作することができます。
(6)Oracle VM用にいくつかのゲストOSインストール用テンプレートが公開されています。
(7)VM Manager自体はLinux専用ですが、WindowsからWebブラウザを介してVM Managerの機能を使用できます。
(8)VM Serverや仮想マシンを管理・監視するOVS Agent(VM Server側)とVM Managerの間はsslを利用したXML-RPCプロトコル通信が行われます。
(9)その他、盛り沢山の機能・特徴を備えていますがOSインストールメディアもサーバに登録しないと使用できない等の煩雑さもあります。

ここではVM Serverの構築、VM Managerの導入、仮想マシンの作成・実行例を中心にVM Serverのデスクトップ化方法も紹介します。
尚、今回は実メモリ8GB、Core 2 Quad搭載マシンで32ビット版VM Server/VM Managerを使用しました。

１．Oracle VMの環境構築に最低限必要なソフトウェア

VM Serverソフトウェア
VM Serverソフトウェアはhttp://edelivery.oracle.com/oraclevmから入手できます。
V12499-01.zipをダウンロードし、解凍されたOracleVM-Server-2.1.1.isoからインストールCDを作成します。
VM Managerソフトウェア
VM Managerソフトウェアもhttp://edelivery.oracle.com/oraclevmから入手できます。
V12540-01.zipをダウンロードし、解凍されたOracleVM-Manager-2.1.1.isoを利用します(CD化しなくてもループバックマウントして利用可能)。
本VM Serverソフトウェアの中にOracle XEもrpmパッケージとして含まれています。
VM Managerソフトウェアにはテキストベースのインストーラが付属しています。
VM Managerを導入するOEL 5.1
OEL 5.1用の6個のISOイメージファイル(Enterprise-R5-U1-Server-i386-disc1.iso他)からインストールCDを作成します。
※OEL 5.1より前のバージョンでも構いません。
仮想マシンのリモート操作ツール
Webブラウザで仮想マシンのリモート操作を実行する際に必要となる下記ツールを入手します。
※http://oss.oracle.com/oraclevm/manager/RPMS/から入手できます。
(1)Firefoxプラグインとしての仮想マシンコンソール(VNCビューア相当ツール)
VM Manager環境にovm-console-1.0.0-2.i386.rpmをインストールすることでVM Manager環境のFirefoxで仮想マシンを操作できます。
※64ビット版はovm-console-1.0.0-2.x86_64.rpmです。
(2)JavaベースのVNCビューア
VM Manager環境にtightvnc-java-1.3.9-3.noarch.rpmをインストールすることでJavaアプレット対応Webブラウザ(IE等)で仮想マシン画面を操作できます。

２．VM Serverのインストール

VM ServerのインストールはOELをテキストベースでインストールする手順とほぼ同様です。
VM ServerのインストールではアップグレードインストールはありますがOEL5からのアップグレードなるものはありません。
Xの設定やパッケージの選択機能はありませんが、Oracle VM Agentへの接続用パスワードの入力が求められます(rootパスワードとは別もの)。

VM Serverのインストールの流れは以下の通りです。

VM Server本体のブータブルCDからのブート
インストーラは英語です。
「CD Found」画面
「Keyboard Selection」画面
jp106を選択します。
パーティション設定
「Boot Loader Configuration」画面
「Oracle VM Management Interface」画面
ネットワークインタフェース(通常はeth0)の選択を行います。
複数のネットワークインタフェース(eth0, eth1,..)がある場合、1個だけOracle VM Management Interfaceとして利用します。
ネットワーク設定とホスト名設定
「Time Zone Selection」画面
Asia/Tokyoを選択します。
「Oracle VM Agent password」画面
VM ManagerからVM Severに直接接続する際のパスワードを指定します。
「Root Password」画面
rootユーザのパスワードをここで指定します。
「Installation to begin」画面
ここで＜OK＞を応答するとインストールが開始されます。
「Complete」画面
インストールの完了です。
ここで＜Reboot＞を応答すると再起動されます。
/boot/grub/grub.confのkernel行には実メモリ容量に応じてdom0_memの値が自動設定されます。
インストールされたパッケージ一覧
インストールされるカーネル関連パッケージは以下の3個です。
(1)kernel-ovs-2.6.18-8.1.15.0.16.el5
(2)kernel-BOOT-2.6.18-8.1.15.0.16.el5
(3)xen-3.1.3-0.0.5.el5
(4)xen-64-3.1.3-0.0.5.el5
ブート確認
デフォルトのXenカーネル(xen-64bit.gz)が起動することを確認します。
尚、初回起動時は「End User License Agreement」画面が表示されますので＜Agree＞を応答します。
テキストログインプロンプト

通常はログインプロンプトのままで構いません。
※通常はここで操作することは特にはありません(バックアップ関連操作等はあり得ます)。
利用する場合はrootユーザでログインします。
ポート8899の開放
ポート8899はOracle VM Agent Serverとの通信ポートです。
このポートはsystem-config-securitylevel-tuiを使用して開放しておく必要があります。
/opt/ovs-agent-2.2/utils/do_rpc.py https://oracle:Oracle VM Agentパスワード@127.0.0.1:8899 get_free_spaceを実行して、
「socket error! code=111, msg=Connection refused」エラーとなればポート8899は塞がっています。
ポート8899が開放されていると「success:free_space=数値」が表示されます。
Oracle VM Agentのパスワード変更方法
Oracle VM Agent(ovs-agent)のパスワード変更は以下のコマンドのプロンプトで行えます。
# /etc/rc.d/init.d/ovs-agent configure
```
...
would you like to modify password to communicate with agent?[y/N]y
password:ここにパスワードを指定
again:同様
```
注意事項
(1)/OVSは仮想マシンを格納するリポジトリですが、その構成を手作業で変更してはいけません。
※/OVSを管理している構成情報との不整合が発生するとOVSファイルシステムのマウントができなくなります。

３．VM Manager用OS(OEL 5.1)のインストール

通常のOEL 5.1のインストール方法で構いませんが以下の注意事項があります。
(1)最低限1024MBのswap領域が無いとVM Managerのインストールでエラー停止しますのでswap領域は必ず割り当てます。
(2)VM Managerのインストールでは各種WebインタフェースのツールがインストールされますがApacheは必要ありません。
但し、仮想マシンにOSをインストールする場合にそのインストールメディアロケーションをhttpのURLで指定する場合はApacheを導入しておきます。
(3)「仮想化」機能はインストール不要です。
(4)FirefoxでゲストOSのインストール操作ができるためデスクトップ環境(GNOME)もインストールします(必須ではありません)。
(5)8888及び8899ポートは開いた状態にしておく必要があります。
(6)libaioパッケージはVM Managerインストールに必要なため削除しないで下さい。

４．OEL 5.1へのVM Managerの導入

環境変数設定
VM Managerのインストーラを起動する際、LC_CTYPE環境変数を設定していない場合「oc4jadmin」のパスワード指定後に
インストーラが異常終了します。
※その際には環境変数を設定してインストーラを再起動すればインストールの続行イメージで進められます。
/root/.bash_profileに「export LC_CTYPE=en_US.UTF-8」を追加してそれを有効にしてからVM Managerのインストーラを起動します。
VM Managerソフトウェアのインストール(CUIインストーラ利用)
VM ManagerソフトウェアのisoイメージまたはCDを/mntにマウントした前提で導入手順を示します。
# cd /mnt
# ls
```
EULA  LICENSE  readme.txt  runInstaller.sh  scripts  source
```
# sh runInstaller.sh
下記メニューで「1」を指定してインストールを進めます。
本インストーラの表示内容はこちらですがデフォルト以外で指定するものを以下に示します。
(1)Oracleデータベースの管理者ユーザ「SYS」と「SYSTEM」の共通パスワード
(2)OracleデータベースのVM Manager用スキーマ/ユーザ「OVS」のパスワード
(3)WebブラウザでOracle Application Serverを開く時のユーザ「oc4jadmin」のパスワード
(4)WebブラウザでVM Managerを開く時の標準ユーザ「admin」のパスワード
(5)VM Managerからの自動配信用SMTPメールサーバアドレス(ホスト名)
(6)上記「admin」のメールアドレス

# cd
# umount /mnt
VM Managerインストール後、"OVM Administrator" から以下の内容のメールが届きます。
```
Subject: Thanks for choosing Oracle VM

To access the Oracle VM Manager home page go to: 
http://127.0.0.1:8888/OVS
The default account is 'admin' with the password '********'.

To access the Oracle VM Manager help page go to:
http://127.0.0.1:8888/help/help
```
尚、VM ManagerのインストールでOracle XEも自動インストールされますがその際に「oracle」というユーザアカウントも作成されます。
仮想マシンのリモート操作ツールのインストール
http://oss.oracle.com/oraclevm/manager/RPMS/から入手したツールを以下のようにしてインストールします。
※ここでのリモート操作ツールとはWebブラウザのプラグインとして動作するVNCビューアです。
# rpm -ivh ovm-console-1.0.0-2.i386.rpm ※またはovm-console-1.0.0-2.x86_64.rpm
# rpm -ivh tightvnc-java-1.3.9-3.noarch.rpm
Oracle用環境変数の設定
Oracle XEをネーティブ利用する場合にはOracle用の環境設定をしておく必要があります。
その設定はシェル(/usr/lib/oracle/xe/app/oracle/product/10.2.0/server/bin/oracle_env.sh)として用意されています。
/root/.bash_profileに「. /usr/lib/oracle/xe/app/oracle/product/10.2.0/server/bin/oracle_env.sh」行を追加しておきます。
OC4Jの手動起動方法
OC4Jを長時間実行させておくとOC4Jが停止しOracle Application Server(http://127.0.0.1:8888/em)に接続できなくなることがあるようです。
その場合はVM Manager自体が使えなくなりますので「/etc/rc.d/init.d/oc4j start」で手動起動します。
※oc4jについてはchkconfigで自動起動設定する仕組みにはなっていませんがブート時に自動起動されます。
Oracle XEの単独利用
Oracle XEのインストールによってサンプルユーザ/データベースが自動作成されます。
サンプルユーザはHRというユーザ(即ちHRスキーマ)ですが初期状態ではロックされたステータスになっています。
このサンプルユーザHRのロック解除とパスワード設定は以下の手順で行います。
(1)GNOMEの[アプリケーション]－[Oracle Database 10g Express Edition]－[データベースホームページに移動]の実行。
(2)それによってApplication Expressページ(http://127.0.0.1:8080/apex/)が開きます(apexはApplication Expressを指します)。
※Application Expressページは別マシンからもhttp://Oracle XEホスト:8080/apex/指定で開けます。
※Application ExpressはOracle Enterprise Manager(通称em)の簡易版です。
(3)Application Expressページでsystemユーザでログインします(そのパスワードはVM Managerインストール時に指定した値)。
「/etc/init.d/oracle-xe configure」でもパスワード設定可能。
(4)ホーム画面から、「管理」画面、「データベースユーザ」画面の順に遷移させます。
(5)HRユーザのアイコンが表示されますのでそのアイコンをクリックしてHRユーザの設定画面に遷移します。
(6)HRユーザの設定画面ではHRユーザのパスワードを設定し、更にアカウントステータスを「ロック済」から「ロック解除済」に変更します。
(7)＜ユーザの変更＞ボタンを押すと変更設定が有効になります。
(8)Application Expressからログアウトします。
(9)sqlplus等でHRユーザを使用してHRユーザがアクセスできるテーブル(REGIONS等)を検索してみます。

尚、Oracle XEにはscott(パスワード：tiger)というサンプルユーザとそのサンプルテーブルを生成するSQLファイル(utlsampl.sql)が付属しています。
以下の手順でそのSQLファイルを実行してみます。
# sqlplus system/パスワード
SQL> @/usr/lib/oracle/xe/app/oracle/product/10.2.0/server/rdbms/admin/utlsampl.sql
```
Oracle Database 10g Express Edition Release 10.2.0.1.0 - Productionとの接続が切断されました。
```
# sqlplus scott/tiger
SQL> select * from dept;
```
    DEPTNO DNAME          LOC
---------- -------------- -------------
        10 ACCOUNTING     NEW YORK
        20 RESEARCH       DALLAS
        30 SALES          CHICAGO
        40 OPERATIONS     BOSTON
```
SQL> exit
#

５．VM Managerによる仮想マシンの作成から実行までの手順例

ここではOEL 5用DomainU(準仮想化ドメイン)の仮想マシン作成からインストール・実行までの手順を紹介します。

VM Managerへの接続
VM ManagerマシンのFirefoxを起動し、http://localhost:8888/OVSを開きます。
※Windows等の別マシンからhttp://VM Managerマシン:8888/OVSを開いても構いません。
adminユーザでログインします。
サーバプールの定義(VM Serverマシンが1台でもサーバプール定義は必須)
「Server Pools」タブを開き＜Create Pool＞ボタンをクリックします。
まず下記を指定します。
(1)Server Host/IP：VM Serverのアドレスを指定します。
※同じVM Serverを複数のサーバプールに属させることはできません。
(2)Sever Name：通常はVM Serverのホスト名を指定します。
(3)Agent Password：VM ServerのOracle VM Agent(ovs-agent)のパスワードを指定します。
(4)Server Type：とりあえず下記をすべて選択します。
・Server Pool Master
・Utility Server
これを選択した場合はそのVM Serverのリソースを操作できる権限をもつユーザ(root)とパスワードも指定します。
・Virtual Machine Server
(5)Server Location：サーバ位置を示すコメントです。
(6)Description：本サーバプールのコメントです。
＜Test Connection＞を押して「Server agent is active.」と表示されれば問題ありません。

ここで＜Add＞ボタンを押して次のページ(Server Pool一覧画面)に進みます。
このServer Pool一覧画面に今登録した上記VM Server情報が表示されます。
User Informationページの情報(通常はadmin情報)確認後、General Informationページでサーバプールの正式名(xxx)を指定します。
＜Confirm＞ボタンで「Server Pool created successfully - Server pool name is "xxx"」と表示されます。

上記操作によってVM Server側の/OVSディレクトリにiso_pool, publish_pool, running_pool, seed_poolディレクトリが生成されます。
仮想マシンの定義
「Virtual Machines」タブを開き＜Create Virtual Machine＞ボタンをクリックします。
Creation Methodページでは＜Create from installation media＞を選択して＜Next＞で先に進みます。
Server Poolページで仮想マシンを格納するサーバプールを選択します。
SourceページでVirtualization Methodとして＜Paravirtualized＞を選択します。
＜Paravirtualized＞を選択するとResource Location指定欄が自動表示されます。
今回はVM Manager側のCD-ROMドライブにインストールメディアをセットしてインストールするために以下の操作を行います。
(1)Apacheが動作していることの確認。
(2)httpでメディアをアクセスできるように以下の操作を行います。
# mkdir /var/www/html/iso
# mount /dev/cdrom /var/www/html/iso
Resource Location指定欄に「http://VM Managerアドレス/iso」を入力します。
VM Managerアドレスの値はゲストOSのインストーラからアクセスできるアドレス(またはホスト名)を指定します。
OSインストールの初期段階はVM Manager側からメディアをアクセスしますが、途中からVM Server側からアクセスされます。
(http://localhost/iso指定ではそのlocahostはVM Managerを指すためゲストOSのインストーラからそのメディアをアクセスできなくなります)

続いてVirtual Machine Informationページで下記を指定します。
(1)Virtual Machine Name：仮想マシン名を指定します。
(使用できない記号を名称に含めると仮想マシン定義が完了しても仮想マシンの実体がVM Server側に作成されません)
(2)Operating System：Oracle Enterprise Linux 5を選択します。
(3)Number of Cores：コア数を指定します。
(4)Memory Size(MB)：DomainUに割り当てるメモリを指定します。
(5)Virtual Disk Size(MB)：仮想ディスクのサイズを指定します。
VM Server側の/OVSディレクトリ配下のサブディレクトリにSystem.imgという仮想ディスクファイルが作成されます。
(6)Console Password：VNCを使用して仮想マシンに接続するためのVNCパスワードを指定します。
このVNCパスワードはVM Server側の当該仮想マシン構成ファイル(vm.cfg)に平文でそのまま反映されます。
尚、自動割り当てされたMACアドレスも表示されます。
インタフェース名のデフォルトはxenbr0になっています。

＜Next＞ボタンで先に進みます。
Confirm Informationページで＜Confirm＞ボタンを押します。
仮想マシンへのOS(OEL 5)のインストール
当該仮想マシンに対して＜Power On＞をクリックします。
ステータス欄がRunningに変わって＜Console＞をクリックすると既定のWebブラウザにVNCビューアが表示されます。
VNCビューアにVNCパスワードを指定してそのVNCビューアでインストール操作を実行します。
「Choose a Language」、「Kewyboard Type」、「Configure TCP/IP」まではテキストベースのインストールです。

その後はGUIベースのインストール操作となります。
仮想マシンの実行
仮想マシンを＜Power On＞し、Runningステータスになってから＜Console＞をクリックするとブラウザプラグインのVNCビューアが自動起動します。
VNCビューアでは英記号の入力に難があり反応も遅い感じがします。
※VNCビューアはインストール時にだけ使用し、通常はXサーバ利用の方がいいようです。
Windows環境からの仮想マシン操作
- Windows Vistaからの仮想マシンステータス確認
- Windows VistaからのVNCによる仮想マシンス操作
  JavaベースのVNCビューアはマウスポインタのずれがひどく操作性に難があります。
- Windows XPからのXサーバによる仮想マシンス操作

６．VM ServerとVM Manager兼用サーバの構築とHVMドメインの実行例

Oracle VM構成の要件はVM ServerマシンとVM Manager導入マシンの別マシン化ですが、
VM ServerマシンにVM Managerを導入して一台で手軽に使用することもできます(DomainU・HVMドメイン共に動作可能)。
※この構成はOracle VMのハードウェア構成要件から外れるためあくまでもテスト的な利用形態です。

VM ServerマシンへのVM Manager導入手順
- パッケージの事前追加
  VM ServerマシンにVM Managerを導入する前に下記rpmパッケージをVM Serverマシンにインストールします。
  ※rpmファイルはOEL 5.0付属のものを使用します。
  (1)libaio ※VM ManagerのrunInstaller実行に必要です。
  (2)仮想マシンに準仮想化OSをインストールするためのメディアロケーションをhttpのURLで指定する場合はApacheも導入しておきます。
  以下の順序でrpmパッケージをインストールします。
  ・apr
  ・postgresql-libs
  ・apr-util
  ・httpd
  Apacheインストール後は自動起動の設定をしておきます。
  # chkconfig --level 345 httpd on
  # /etc/rc.d/init.d/httpd start
  
  (3)m4 ※ovm-console-1.0.0-2.i386.rpmのインストールに必要です。
- ファイアウォールの設定変更
  8888ポートと8899ポートを解放します。
  具体的には/usr/bin/system-config-securitylevel-tuiを起動して設定します。
  テスト用途などで個別設定を省きたい場合はSecurity LevelのEnabledをDisabledに変更するだけでも構いません。
- 再起動
  ファイアウォール設定変更後は再起動(reboot)します。
VM Managerのインストール
VM ManagerソフトウェアのisoイメージまたはCDを/mntにマウントしてrunInstaller.shを起動してインストールを実行します。
OEL 5.1にVM Managerをインストールする手順と全く同様です。
仮想マシンのリモート操作ツールのインストール及びOracle XE利用についてもOEL 5.1にVM Managerをインストール場合と同様です。
(Oracle XEはXen環境でも動作します)
サーバプールの定義
VM Managerのインストール後はまず別マシンのWebブラウザからhttp://サーバ:8888/OVSにログインしてサーバプールを定義します。
定義方法はVM ServerとVM Managerが別マシンにある場合と同様です。
HVMドメインでのOSインストールメディアの登録
HVM(完全仮想化)ドメインにOSをインストールする場合のインストールメディアはあらかじめサーバプールに登録しておく必要があります。
例えばWindows XPのisoイメージファイル(仮称：winxpsp2.iso)を登録する手順の流れは以下のようになります。
※この手順もVM ServerとVM Managerが別マシンにある場合と同様です。
(1)VM Serverへのisoイメージファイルの格納
# mkdir /OVS/iso_pool/install_media ※/OVS/iso_pool直下のディレクトリ(ここではinstall_media)をISOグループと呼びます。
# cp winxpsp2.iso /OVS/iso_pool/install_media/
※ISOファイル名(ここではwinxpsp2.iso)はISOラベルと呼ばれます。
(2)http://サーバ:8888/OVSにログインして「Resources」タブを開きます。
(3)＜Import＞ボタンを押します。
(4)Sourceページの「ISO Files」メニューをクリックします。
(5)オプション欄で[Select from Server Pool (Discover and register)]を選択します。
(6)サーバプールへのisoイメージファイル登録設定；
・Server Pool Name: 当該サーバプールを選択
・ISO Group: install_mediaを選択
・ISO Label:winxpsp2.isoを選択
(7)OSインストールメディア(ISOファイル)の承認
サーバプールにインポートしたISOファイルは承認するまで使用できません。
承認は[Approve]メニューから行います(＜Approve＞ボタンを押すだけです)。
HVMドメイン用仮想マシン定義
DomainUドメイン用仮想マシン定義とほぼ同様ですが以下の点が異なります。
(1)Virtualization Methodは＜Fully Virtualized＞を選択します。
(2)インストールメディアは承認されたISOファイルを選択します。
(3)Operating Systemの選択リストにないLinux(例：Vine Linux)の場合はOtherではなく「Oracle Enterprise Linux 5」を選択します。
※Other選択では仮想マシンが動作しないことがあるようです。
HVMドメイン用仮想マシンへのOSインストール
HVMドメイン用仮想マシンへのOSインストール操作自体はDomainU用仮想マシンへのOSインストールと同様にVNCビューアを利用します。
OSインストール時の推奨ブラウザ(http://サーバ:8888/OVSをアクセスするブラウザ)はOSを問わずFirefoxです。
(IE利用の場合、インストールOSによってはキーボード入力できない場合があります)
下記はIE使用でのWindows XPのインストールの様子です。
HVMドメイン用仮想マシンの実行
これもDomainU用仮想マシンの実行方法と同じです。
下記はWindows XP実行の様子ですがWindows XPの場合はVNCビューアよりもリモートデスクトップでの接続利用が快適です。
HVMドメインでのVine Linux 4.2の利用
HVMドメイン用Vine Linux 4.2の仮想マシン定義でコア数を4指定とし、メモリは4096MBを指定してみました。

(1)Vine Linux 4.2の仮想マシン定義確認画面
Operating SystemをOtherにすると動作しないため「Oracle Enterprise Linux 5」を指定しています。

(2)Vine Linux 4.2のインストール画面

(3)Vine Linux 4.2の実行画面(画面右下の端末は当該VM Serverにssh接続した端末です)
VNCビューアよりもXサーバ接続利用が快適です。

７．デスクトップ付きVM Server環境の構築(VM Serverのデスクトップ化)

通常VM Serverマシンはログインプロンプトのままで問題ありません。
しかしGUI系の運用支援ツールを使用したい場合はデスクトップが必要となります。
またXenをVMware Workstationのように手軽に使用してみたいというニーズもあるかも知れません。
(Xenの準仮想化ではVMware Workstationよりも高速にゲストOSが動作するようです)

デスクトップ付きVM Server環境の構築方法には次の二通りあります。
(1)OEL 5にVM Server固有のrpmパッケージを追加(またはアップグレード)インストールする方式
OEL 5にVM Server固有のrpmパッケージを追加(またはアップグレード)インストールして設定ファイルを変更する方式です。
これは比較的無難な方式ですが少し手操作が多くなるのが難点です。

(2)OEL 5環境にVM Serverをアップグレードインストールする方式
本方式では、まずOEL 5環境にVM Server付属のenterprise-linux-ovs-5-0.10.i386.rpmだけを強制インストールします。
次にVM Serverのインストーラを起動するとそのOEL 5環境は「VM Serverインストール済み」と解釈されます。
これによってVM Serverはアップグレードインストールを実施することになります。
しかし本方式ではVM Serverインストーラが一部のパッケージのインストールをスキップします。
また日本語入力環境に不整合が生じたりすることもあります。

ここではOEL 5にVM Server固有のrpmパッケージを追加(またはアップグレード)インストールする方式の手順を紹介します。
尚、以下のコマンドはOEL 5のインストールで追加のソフトとして「ウェブサーバ」だけを選択しているものとしています。

VM Serverのダミーインストール
まずVM Serverのダミーインストールを行ってインストール後の/bootをvs.boot.tar.gz(名称は任意)として保存しておきます。
これはrpmパッケージで作成したデスクトップ付きVM Server環境の/bootを置き換えるものです(特にinitrd)。
この置き換えをしないとOVS Agentが正しく動作しません。
特に仮想マシン定義時に「Error: The largest virtual disk that can be allocated is: 0 MB.」エラーが発生します。
これは/OVS用の空き容量取得の失敗が原因です(OVSAgentServerへのget_free_space発行でのエラー発生)。

# cd /
# tar czvf /root/vs.boot.tar.gz
# ftpでvs.boot.tar.gzを別マシンに転送
OEL 5のインストール
「仮想化」機能はインストールしないようにします。
OEL 5へのVM Server固有rpmパッケージのインストール
VM Server 2.1.1インストールCDをCD-ROMドライブにセットして下記コマンドを実行します。
まず最初に/OVS作成を含むfilesystem-2.4.0-1.0.1.i386.rpmをアップグレードインストールします。
filesystemパッケージはマウントした状態ではインストールできないため以下のようにします。

# mount /dev/cdrom /mnt
# cp /mnt/Server/filesystem-2.4.0-1.0.1.i386.rpm /tmp/
# umount /mnt
# rpm -Uvh /tmp/filesystem-2.4.0-1.0.1.i386.rpm

次にfilesystem以外のパッケージをインストールします。
# mount /dev/cdrom /mnt
# ls -F /mnt
```
EULA                   RPM-GPG-KEY         TRANS.TBL   eula.py    supportinfo
GPL                    RPM-GPG-KEY-oracle  VT/         images/
RELEASE-NOTES-en.html
```
# ls -F /mnt/VT
```
TRANS.TBL
libvirt-0.1.8-15.el5.1.1.2.i386.rpm
libvirt-python-0.1.8-15.el5.1.1.2.i386.rpm
python-virtinst-0.99.0-3.el5.1.7.noarch.rpm
repodata/
xen-devel-3.1.3-0.0.5.el5.i386.rpm
```
# cd /mnt/Server/
# rpm -Uvh anaconda-11.1.2.36-1.1.54.i386.rpm anaconda-runtime-11.1.2.36-1.1.54.i386.rpm
# rpm -Uvh autofs-5.0.1-0.rc2.43.0.2.i386.rpm
# rpm -Uvh bind-libs-9.3.3-8.el5.i386.rpm bind-utils-9.3.3-8.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh booty-0.80.4-1.1.24.noarch.rpm
# rpm -Uvh crash-4.0-4.13.i386.rpm
# rpm -Uvh elinks-0.11.1-5.1.0.1.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh file-4.17-9.0.1.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh firstboot-1.4.27.2-1.el5.1.11.noarch.rpm
# rpm -ivh liblockfile-1.06.1-3.i386.rpm
# rpm -ivh ovs-utils-1.0-13.i386.rpm
# rpm -Uvh firstboot-tui-1.4.27.2-1.el5.1.11.noarch.rpm
# rpm -Uvh gnupg-1.4.5-13.i386.rpm
# rpm -Uvh grub-0.97-13.1.1.i386.rpm
# rpm -Uvh hwdata-0.211-1.1.1.noarch.rpm
# rpm -Uvh initscripts-8.45.16.EL-1.1.9.i386.rpm
# rpm -Uvh ipsec-tools-0.6.5-8.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh --nodeps krb5-libs-1.5-29.i386.rpm krb5-workstation-1.5-29.i386.rpm
# rpm -Uvh libX11-1.0.3-8.0.1.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh libgcc-4.1.1-52.el5.2.i386.rpm
# rpm -Uvh libpng-1.2.10-7.1.el5_0.1.i386.rpm
# rpm -Uvh --nodeps libstdc++-4.1.1-52.el5.2.i386.rpm
# rpm -Uvh module-init-tools-3.3-0.pre3.1.16.0.1.el5.0.1.i386.rpm
# rpm -Uvh net-snmp-libs-5.3.1-14.0.1.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh nfs-utils-lib-1.0.8-7.2.z2.i386.rpm
# rpm -Uvh openssl-0.9.8b-8.3.el5_0.2.i686.rpm
# rpm -Uvh pcre-6.6-2.el5_0.1.i386.rpm
# rpm -Uvh perl-5.8.8-10.0.1.el5_0.2.i386.rpm
# rpm -Uvh pykickstart-0.43-1.1.1.el5.noarch.rpm
# rpm -Uvh setup-2.5.58-1.el5.1.1.noarch.rpm
# rpm -Uvh system-config-date-1.8.12-1.el5.1.0.noarch.rpm
# rpm -Uvh system-config-keyboard-1.2.11-1.el5.1.0.noarch.rpm
# rpm -Uvh system-config-language-1.1.18-1.el5.1.0.noarch.rpm
# rpm -Uvh system-config-rootpassword-1.1.9.1-1.1.0.noarch.rpm
# rpm -Uvh system-config-securitylevel-1.6.29.1-1.el5.1.10.i386.rpm system-config-securitylevel-tui-1.6.29.1-1.el5.1.10.i386.rpm
# rpm -Uvh tar-1.15.1-23.0.1.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh up2date-5.10.1-42.8.el5.i386.rpm
# rpm -Uvh util-linux-2.13-0.45.el5.i386.rpm

# rpm -ivh bridge-utils-1.1-2.i386.rpm
# rpm -ivh --force enterprise-linux-ovs-5-0.10.i386.rpm
# rpm -ivh iscsi-initiator-utils-6.2.0.742-0.6.el5.i386.rpm
# rpm -ivh kernel-BOOT-2.6.18-8.1.15.0.16.el5.i686.rpm
# rpm -ivh libvncserver-0.9.1-2.i386.rpm
# rpm -ivh ocfs2-tools-1.2.7-1.el5.i386.rpm
# rpm -ivh --force ovs-release-2.1-0.10.i386.rpm
# rpm -ivh ovs-utils-1.0-13.i386.rpm
# rpm -ivh pexpect-2.1-3.noarch.rpm
# rpm -ivh tftp-0.42-3.1.i386.rpm
# rpm -ivh udhcp-0.9.8-3.i386.rpm
# rpm -ivh pypxeboot-0.0.2-6.noarch.rpm
# rpm -ivh vnc-4.1.2-9.el5.0.1.i386.rpm
# rpm -ivh xen-pvhvm-devel-3.1.3-0.0.5.el5.i386.rpm
# rpm -ivh SDL-1.2.10-8.el5.i386.rpm
# rpm -ivh xen-tools-3.1.3-0.0.5.el5.i386.rpm ../VT/xen-devel-3.1.3-0.0.5.el5.i386.rpm
# rpm -ivh ../VT/libvirt-0.1.8-15.el5.1.1.2.i386.rpm ../VT/libvirt-python-0.1.8-15.el5.1.1.2.i386.rpm ../VT/python-virtinst-0.99.0-3.el5.1.7.noarch.rpm xen-3.1.3-0.0.5.el5.i386.rpm
# rpm -ivh xen-64-3.1.3-0.0.5.el5.noarch.rpm
# rpm -ivh kernel-ovs-2.6.18-8.1.15.0.16.el5.i686.rpm
# rpm -ivh ovs-agent-2.2-27.noarch.rpm
# cd
# umount /mnt
# /etc/rc.d/init.d/ovs-agent configure ※Oracle VM Server Agentのパスワードを設定します。

# vi /etc/ovs-config ※新規作成
下記内容で作成します。

# The MGMNT_IF controls which network interface is used to
# manage this machine.
MGMNT_IF=eth0

# vi /etc/sysconfig/kernel
「DEFAULTKERNEL=kernel」行を「DEFAULTKERNEL=kernel-ovs」に変更します。

# system-config-securitylevel-tuiによるポート8899の開放。

# vs.boot.tar.gzの/rootへの取得
# cd /
# tar /root/zxvf vs.boot.tar.gz ※/bootへの上書き展開
# cd

# reboot

VM Serverがデスクトップ付きで表示されます。
VM Managerの導入
Xen上でのOracle XE動作確認の意味も含めてVM Managerを導入してみました。
Oracle XE付属のサンプルDB作成SQLの実行も問題なく行えることが確認できました。
サーバプールの定義と仮想マシンの作成・実行
デスクトップのFirefoxを利用してhttp://127.0.0.1:8888/OVSを開きadminでログインします。
ローカル上のサーバプールを定義し、そこへ「localoel5」という仮想マシン(DomainU)を作成しOEL5をインストールします。
下記はデスクトップ上の仮想マシンへのOEL 5インストールの様子です。

実寸画像はこちらです。

VM Manager経由で起動したOEL 5の実行画面はこちらです。
virt-installコマンドによるDomainUの作成
上記手順で構築した環境のVM Managerで仮想マシンを作成・実行することができるようになりました。
しかしVM Serverではvirt-installコマンドでゲストOSをインストールすることもできるようになっています。
(virt-installコマンドはpython-virtinstパッケージに含まれています)
但し、VM Manager経由ではないためVM Managerによる管理はされません。

ここではvirt-installコマンドによる準仮想化のドメイン作成とゲストOSのインストール及びそのゲストOSの実行方法を紹介します。
尚、ここでのゲストOSは32ビット版のCentOS 5としています。
- インストールDVDのhttpアクセス準備化
  Apacheが起動されていることを確認して以下の操作を実行します。
  まずCentOS 5のインストールDVDをCD/DVDドライブにセットします。
  # mkdir /var/www/html/iso
  # mount /dev/cdrom /var/www/html/iso
  これでhttp://ホストIPアドレス/isoでインストールメディアが参照可能となります。
  ※ここでのホストIPアドレスとはデスクトップ付きVM Server自体のIPアドレスを指します。
- virt-installコマンドによるCentOS 5のインストール
  以下のvirt-installコマンドの実行でDomainU(ドメイン名：DomUCentOS5)の構成ファイル(/etc/xen/DomUCentOS5)が自動生成されます。
  更にCentOS 5のインストーラも自動起動されます。
  
  # virt-install -p -n DomUCentOS5 -r 512 -f /root/domucentos5.img -s 4 -b xenbr0 --vnc -l http://ホストIPアドレス/iso
- インストール過程
  最初の「Choose a Language」、「Keyboard Type」、「Configure TCP/IP」画面はテキストベースの表示となります。
  その後、Xen Virtual FrameBufferが起動されVNCビューアによるGUI操作画面になります。
  ※この時のVNCサーバはデスクトップ付きのVM Serverです(ゲストOSではありません)。
  パーティション設定はデフォルトのままとします。
  またインストールするソウトウェアのセットもデフォルトのままとしました(追加のパッケージ指定なし)。
  ・パッケージインストールの様子
- grub.confについて
  virt-installコマンドでインストールしたゲストOS(CentOS 5)の/boot/grub/grub.confの「CentOS」エントリは以下のようになります。
```
title CentOS (2.6.18-8.el5xen)
	root (hd0,0)
	kernel /vmlinuz-2.6.18-8.el5xen ro root=/dev/VolGroup00/LogVol00 rhgb quiet
	initrd /initrd-2.6.18-8.el5xen.img
```
  この「CentOS」エントリの内容は特に変更は要りません。
- 最初の再起動
  インストール完了後はDomainUが終了し、DomainUは自動再起動されません。
  ※xm listでDomUCentOS5ドメインが完全に終了されずに残っていることが確認できた場合は「xm destroy ドメイン番号」を実行します。
  以下のコマンドでDomainUを手動で再起動します。
  # xm create DomUCentOS5
  VNCビューアの起動は「vncviewer ホストIPアドレス」コマンドで行えます。
  これでインストール後の最初のセットアップ用「ようこそ」画面が表示されます。
- DomainU(ゲストOS)の起動・操作
  以下のコマンドでDomainUを起動します。
  # xm create DomUCentOS5
  VNCビューアの起動は「vncviewer ホストIPアドレス」コマンドで行えます。
  後はGDMでログインしてデスクトップ操作が可能となります。
- DomainU構成ファイルの内容
  virt-installで自動生成されたDomainU構成ファイル(/etc/xen/DomUCentOS5)の内容は以下のようになっています。
```
# Automatically generated xen config file
name = "DomUCentOS5"
memory = "512"
disk = [ 'file:/root/domucentos5.img,xvda,w', ]
vif = [ 'mac=00:16:3e:15:df:c2, bridge=xenbr0', ]
vfb = ["type=vnc,vncunused=1"]
uuid = "5092846f-a075-3fc7-3bbb-9bbac9f6f6a9"
bootloader="/usr/bin/pygrub"
vcpus=1
on_reboot   = 'restart'
on_crash    = 'restart'
```
virt-managerによる64ビットDomainUの作成
上記手順ではvirt-manager(Vitual Machine Manager)をまだ導入していません。
そこで仮想マシン作成がGUIのウィザード形式で行えるようにvirt-managerパッケージを導入してみます。
但し、VM Manager経由ではないためVM Managerによる管理はされません。

ここではvirt-managerによる準仮想化のドメイン作成とゲストOSのインストール及びそのゲストOSの実行方法を紹介します。
尚、ここでのゲストOSは64ビット版のFedora 8としています。
- virt-managerパッケージの導入
  OEL 5付属のパッケージを以下の手順でインストールします。
  # rpm -ivh ../Server/gnome-python2-gnomekeyring-2.16.0-1.fc6.i386.rpm
  # rpm -ivh virt-manager-0.2.6-7.el5.i386.rpm
  (これによって[アプリケーション]メニューの[システムツール]に[Virtual Machine Manager]が登録されます)
  # rpm -ivh gnome-applet-vm-0.1.2-1.el5.i386.rpm
- インストールDVDのhttpアクセス準備化
  Apacheが起動されていることを確認して以下の操作を実行します。
  まずFedora 8のインストールDVDをCD/DVDドライブにセットします。
  # mkdir /var/www/html/iso ※もしなければ作成します
  # mount /dev/cdrom /var/www/html/iso
  これでhttp://ホストIPアドレス/isoでインストールメディアが参照可能となります。
  ※ここでのホストIPアドレスとはデスクトップ付きVM Server自体のIPアドレスを指します。
- virt-manager(Vitual Machine Manager)によるFedora 8のインストール
  - [アプリケーション]－[システムツール]－[Virtual Machine Manager]で仮想マシンマネージャを起動。
  - [接続を開く]ダイアログで＜ローカル Xen ホスト＞を選択して＜接続＞ボタンをクリック。
  - 「仮想マシンマネージャ」の＜新規＞ボタンをクリック。
  - 「新規の仮想システムを作成」画面でそのまま＜進む＞ボタンをクリック。
  - 「仮想システムの名前を指定中」画面でシステム名(ドメイン名)として「：DomUF8x64」を指定。
  - 「仮想化の方法を選択中」画面で＜準仮想化＞を選択。
  - 「インストールメディアの検索中」画面でメディアのURLとしてhttp://ホストIPアドレス/isoを指定。
  - 「ストレージ領域を割り当て中」画面で以下を指定。
    (1)＜シンプルファイル＞オプションの有効化
    (2)ファイルの場所：/root/domuf8x64.iso
    (3)ファイルサイズ：8200MB
    (4)＜Allocate entire virtual disk now?＞オプションの無効化
  - 「メモリとCPUの割り当て」画面で以下を指定。
    (1)VM Max memory：500MB
    (2)VM Startup Memory:500MB
    (3)VCPU：1
  - 「インストール準備完了」画面での要約確認
    本画面でインストールソース(メディア)のURLなどを確認します。
    ここで＜完了＞ボタンを押します。
  - 「Choose a Language」画面
    テキストモードの「Choose a Language」画面でJapaneseを選択します。
  - 「Language Unavailable」画面
    テキストモードでは日本語表示ができない旨の警告が出ますので＜OK＞で先に進みます。
  - 「Keyboard Type」画面：jp106の選択
  - 「Configure TCP/IP」と「Manual TCP/IP Configuraion」画面
    ネットワーク構成を指定します。
  - インストーラの最初のGUI画面表示
    ここでインストーラの最初のGUI画面が表示されますが、ここから日本語表示となります。
    ＜次＞ボタンで先に進みます。
  - パーティションの設定：デフォルトのまま
  - ネットワークの設定：ホスト名だけを追加指定
  - タイムゾーン
  - rootのパスワード設定
  - ソフトウェアセットの指定
    ここでは「オフィスとプロダクティビティ」「ソフトウェア開発」「ウェブサーバ」を選択しました。
  - インストールの実行
    パッケージがインストールされます。
  - インストール完了
    本来Fedora 8のネーティブインストールでは自動で再起動されますが、ここではドメインU(DomUF8x64)が終了し自動起動はされません。
  - ドメインU(DomUF8x64)の手動再起動
    以下のコマンドでドメインU(DomUF8x64)を起動してVNCで操作できるようにします。
    # xm create DomUF8x64
    # vncviewer ホストIP
  - 「ようこそ」画面
  - 「日付と時刻」画面
  - 「ユーザーの作成」画面
  - セットアップの終了
  - 自動再起動
    仮想マシンマネージャの一覧からDomUF8x64が一瞬消えますが1増えたID付きでDomUF8x64が再表示されます。
    仮想マシンマネージャのDomUF8x64を選択して＜開く＞を実行しても仮想マシンコンソールに「コンソールは現在使用できません」と出ます。
  - VNC表示
    以下のコマンドでドメインU(DomUF8x64)をVNC操作できるようにします。
    # vncviewer ホストIP
  - GDMでのrootでのログイン
  - 64ビットFedoar 8のデスクトップ
  - grub.confについて
    virt-managerでインストールしたゲストOS(64ビットFedora 8)の/boot/grub/grub.confの各エントリは以下のようになります。
```
default=0
timeout=5
splashimage=(hd0,0)/grub/splash.xpm.gz
hiddenmenu
title Fedora (2.6.21-2950.fc8xen)
        root (hd0,0)
        kernel /vmlinuz-2.6.21-2950.fc8xen ro root=/dev/VolGroup00/LogVol00 rhgb quiet
        initrd /initrd-2.6.21-2950.fc8xen.img
title Fedora-base (2.6.23.1-42.fc8)
        root (hd0,0)
        kernel /vmlinuz-2.6.23.1-42.fc8 ro root=/dev/VolGroup00/LogVol00 rhgb quiet
        initrd /initrd-2.6.23.1-42.fc8.img
```
  - DomainU構成ファイルの内容
    virt-managerで自動生成されたDomainU構成ファイル(/etc/xen/DomUF8x64)の内容は以下のようになっています。
```
# Automatically generated xen config file
name = "DomUF8x64"
memory = "500"
disk = [ 'file:/root/domuf8x64.iso,xvda,w', ]
vif = [ 'mac=00:16:3e:00:8e:05, bridge=xenbr0', ]
vfb = ["type=vnc,vncunused=1"]
uuid = "b910f488-f48a-2d02-14a3-c68b9a3c9215"
bootloader="/usr/bin/pygrub"
vcpus=1
on_reboot   = 'restart'
on_crash    = 'restart'
```
  - 仮想マシンマネージャの＜開く＞で仮想マシンコンソールを表示させる方法
    仮想マシンマネージャの＜開く＞で仮想マシンコンソールを表示させるにはOEL 5.1のパッケージへの一部アップグレードが必要です。
    OEL 5.1のインストールメディアから以下のようにパッケージをインストール/アップグレードします。
    # rpm -ivh dnsmasq-2.39-2.el5.i386.rpm
    # rpm -Uvh libvirt-0.2.3-9.el5.0.1.i386.rpm libvirt-python-0.2.3-9.el5.0.1.i386.rpm
    # rpm -Uvh python-virtinst-0.103.0-3.el5.noarch.rpm
    # rpm -Uvh virt-manager-0.4.0-3.el5.i386.rpm
    尚、libvirt-0.2.3付属の/etc/rc.d/init.d/libvirtdの自動起動設定は必須ではありません。
    
    これで仮想マシンマネージャの＜開く＞で仮想マシンコンソールでVNC操作できるようになります。
    (VM Managerで作成したDomainUも仮想マシンマネージャの＜開く＞でVNC操作できますがVNCパスワード要求が出ます)
    
    ・仮想マシンコンソールでのVNC操作の様子
- QEMUでのDomainU用ゲストOSのインストールとのDomainU実行
  DomainU用ゲストOSのインストールはvirt-installやvirt-managerの他にQEMUでも行えます。
  少し混乱しそうですがここでのゲストOS自体もVM Server 2.1.1とします。
  (VM Server 2.1.1のDomainUとしてVM Server 2.1.1のXenカーネルを実行させます)
  - 仮想ディスクイメージファイルの作成
    以下のコマンドで40GBの仮想ディスクイメージファイルを作成します。
    # dd if=/dev/zero of=/root/xmsubovs.img bs=1M count=40960
    ※xmsubovsという名称にはXen仮想マシンで実行させるSub OVS(子Oracle VM Server)の意味を持たせています。
  - QEMUの導入
    QEMUのサイトからQEMU 0.9.1のファイル(qemu-0.9.1-i386.tar.gz)を取得します。
    以下の操作でQEMUをインストールします。
    # cd /
    # tar zxvf /root/qemu-0.9.1-i386.tar.gz
    # cd
  - QEMUでのOSインストール
    以下のコマンドでゲストOS(VM Server 2.1.1)をインストールします。
    # qemu -m 512 -no-kqemu -boot d -cdrom /root/OracleVM-Server-2.1.1.iso -hda /root/xmsubovs.img -net nic -net user -localtime &
    ネットワークはuserモードにしていますがxenbr0を使用したDomainUでの実行を考慮してホストOSと同じネットワーク体系の設定をします。
  - QEMU仮想ディスク内のgrub.conf変更
    QEMUでインストールしたゲストOSのgrub.confは「kernel /boot/xen-32bit.gz dom0_mem=xxxM」となっています。
    ホストOS(VM Server 2.1.1)のハイパバイザカーネル上で別のハイパバイザカーネルを起動することはできません。
    そこでQEMU仮想ディスクにインストールしたゲストOSとしてのVM Server 2.1.1のgrub.conf設定を一部変更します。
    変更手順は以下の通りです。
    # mount -o loop,offset=32256 /root/xmsubovs.img /mnt
    # ls /mnt
```
OVS  boot  etc   lib         media  mnt  proc  sbin     srv  tmp  var
bin  dev   home  lost+found  misc   opt  root  selinux  sys  usr
```
    # vi /mnt/boot/grub/grub.conf
```
[変更前の部分]
hiddenmenu
title Oracle VM Server-ovs (xen-3.1.3 2.6.18-8.1.15.0.16.el5ovs)
	root (hd0,0)
	kernel /boot/xen-32bit.gz dom0_mem=512M
	module /boot/vmlinuz-2.6.18-8.1.15.0.16.el5xen ro root=LABEL=/
	module /boot/initrd-2.6.18-8.1.15.0.16.el5xen.img
[変更後：朱書き部分が変更箇所]
hiddenmenu
title Oracle VM Server-ovs (xen-3.1.3 2.6.18-8.1.15.0.16.el5ovs)
	root (hd0,0)
	kernel /boot/vmlinuz-2.6.18-8.1.15.0.16.el5xen ro root=LABEL=/
	initrd /boot/initrd-2.6.18-8.1.15.0.16.el5xen.img
```
    # umount /mnt
  - DomainU構成ファイルの作成
    /etc/xen/xmsubovsというファイルを以下の内容で作成します。
```
bootloader = '/usr/bin/pygrub'
disk = ['file:/root/xmsubovs.img,hda,w']
memory = '768'
name = 'SubOVS'
on_crash = 'restart'
on_reboot = 'restart'
vcpus = 1
vif = ['mac=00:16:3E:1D:8E:D2, bridge=xenbr0']
```
  - DomainUの起動
    # xm create -c xmsubovs
    端末内にテキストモードのGRUBメニューが表示されます。
    そのGRUBメニューでは上記で変更した「Oracle VM Server-ovs (xen-3.1.3 2.6.18-8.1.15.0.16.el5ovs)」を選択・起動します。
    やがてログインプロンプトが表示され操作可能となります。
    尚、ゲストOSの中でのxendの起動は失敗します。
    
    下記はホストOS(VM Server)のデスクトップ環境の中でDomainU(VM Server)とVM Manager付属のOracle XEを実行させている様子です。
    
    DomainUを起動した端末に「INIT: Id "co" respawning too fast: disabled for 5 minutes」と表示されることがあります。
    重要な操作をする場合は仮想マシンにssh接続してそのメッセージに邪魔されないようにするのがベターです。