オープンギャラリー：Xen 3.0.4(XenExpress:HVM編[OpenSolaris他])

Xen 3.0.4(XenExpress:HVM編[OpenSolaris他])

ここではXenExpressのHVMドメインでのOpenSolaris, Windows XP, CentOS 5の実行について特集します。
尚、ここでのXenExpress(XenServer)はパーティション再配置が完了済みでCentOS 5にアップグレードしたものを使用しています。

今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU：Core 2 Duo E6600
・チップセット：Intel P965
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・LANカード：Intel PRO/100 S
・HDD：S-ATA 250GB ・CD-ROM装置：内蔵CD-ROM/DVDドライブ

１．OpenSolarisの実行

ここでのOpenSolarisは「Solaris Express Developer Edition snv_64a」を指しています。

仮想環境でのOpenSolarisのインストールについて
XenExpress環境を使用してのOpenSolarisをインストールすることはできませんでした。
またCentOS 5のHVM環境やFedora 7のHVM及びKVM環境でもOpenSolarisをインストールできませんでした。
Linux版QEMUでもOpenSolarisのインストーラが完走せず、止むを得ずOpenSolarisにQEMUを導入してそのQEMU環境にOpenSolarisをインストールしました。
OpenSolarisをインストールしたQEMU仮想ディスク(rawタイプ推奨)はXenExpress環境やFedora 7のKVMドメインでも利用できます。
OpenSolarisへのQEMU導入とそのQEMU環境へのOpenSolarisのインストール
まずXenExpressのXenServer側に確保するOpenSolaris用仮想ディスク(実体は論理ボリューム)と同じサイズのQEMU仮想ディスク(rawタイプ推奨)を用意します。
次にそのQEMU仮想ディスクにOpenSolarisをインストールします。
※今回はXenServer側に確保するOpenSolaris用仮想ディスク(論理ボリューム)サイズは16GB(16384MB)とします。

OpenSolarisへのQEMU導入とそのQEMU環境へのOpenSolarisのインストール手順詳細は「QEMU on OpenSolaris(OpenSolarisの実行)」を参照して下さい。
OpenSolaris用XenVM定義
XenExpressの管理コンソールの[Server]－[Install XenVM]でOpenSolarisのためのXenVMを定義します。
- Install From欄:プルダウンメニューからWindows XP Service Pack 2を選択 ※仮想ディスクをIDEタイプとするための選択です
- Name欄:OpenSolarisを指定
- Description欄:OpenSolaris Devxを指定
- Initial Memory欄:1024を指定します
- Disk0のSize欄：16384 MBを指定します
- その他の項目：デフォルトのままとします。
ここで一旦OpenSolarisのインストールDVDをCD-ROM/DVDドライブにセットして、XenVMの定義画面右下にある＜Install＞ボタンをクリックします。
これによって16384MB(16GB)の論理ボリュームが作成されます。
OpenSolarisのインストールDVDからのインストールは失敗しますが構わずそのOpenSolarisを＜Power Off＞します。

その後、OpenSolarisのXenVM定義のCD-ROM 1のDisk欄として<No disk>を選択して＜Apply＞ボタンを押します。
QEMU仮想ディスク内容のOpenSolaris用仮想ディスク(論理ボリューム)へのコピー
ここではOpenSolaris実機で作成したQEMU仮想ディスクファイル名をopensolaris.imgとします。
OpenSolaris用XenVM定義で指定した16384MB(16GB)サイズの論理ボリューム名はlvsコマンドで確認できます。
以下のように表示される行がｘｘに該当します。
LV-vvvvvvvv.hda VG_XenStorage-gggggggg -wi-ao 16.00G ※vvvvvvvv及びgggggggg部分は実際にはもっと長い名称です
そこで以下のコマンドでQEMU仮想ディスクの内容をOpenSolaris用仮想ディスク(論理ボリューム)にコピーします。

# dd if=opensolaris.img of=/dev/mapper/VG_XenStorage--gggggggg-LV--vvvvvvvv.hda
XenVM(OpenSolaris)の起動
管理コンソールのOpenSolarisの行を右クリックして＜Power On＞を選択します。
これで管理コンソールの中でOpenSolarisが起動します。
- GRUBメニュー画面
- グラフィカルログイン画面
- デスクトップ画面
  ネットワークの利用も可能です。
  
  どうしてもインターネットのWebサイトに接続できないような場合はプロキシ経由でアクセスしてみて下さい。
  ※squidなら簡単にhttpプロキシサーバを構築できます。
  
  尚、管理コンソールの中のOpenSolarisではStarSuite 8等で日本語入力ができないようです。
  ※管理コンソール側を日本語変換モードにしようとするとXenExpress側が日本語変換モードになってしまい管理コンソール内のOpenSolarisの方を日本語変換モードにできません。
OpenSolaris仮想ディスクのFedora 7 KVMドメインでの利用例
OpenSolarisのQEMUを利用してインストールした仮想ディスクはいろいろな仮想環境で結構使い回しができそうです。
今回はFedora 7のKVMドメインとしてその仮想ディスクを利用してみました。
StarSuite 8での日本語変換入力も問題なくできます。

※Fedora 7のHVMドメインではOpenSolarisのグラフィカルログイン表示まで至ることはできませんでした。

２．Windows XP (SP2)のインストールと実行

Windows XP用XenVMの定義
管理コンソールの[Server]－[Install XenVM]でWindows XP用のXenVMを定義します。
- Install From欄:プルダウンメニューからWindows XP Service Pack 2を選択
- Name欄:Windows XPを指定
- Description欄:XE 3.2 Windows XPを指定
- その他の項目：デフォルトのままとします。
インストールの開始
Windows XPのインストールCDをCDドライブにセットして、XenVMの定義画面右下にある＜Install＞ボタンをクリックします。

Windowsのセットアップの開始画面が表示され、通常のWindows XPと同様のインストールとなります。
インストール中の途中の自動リブートでも人手を介す必要はありません。
但し、半/全キーを押すところでそのキーを押すとAnthyツールバーが出てきてしまうため、sキーを押して次の画面で＜106 Japanese Keyboard (Include USB)＞を選択します。
インストール中の様子

プロセス確認
Windows XPのインストールプロセスのコマンドは次のようになっていました(実際には1行コマンドです)。

/usr/lib/xen/bin/qemu-dm -d 1 -m 256 -vcpus 1 -serial pty -acpi -usb -usbdevice tablet
 -domain-name ae3993c2-ff5b-47d6-88ef-9aae21ebc4cb
 -net nic,vlan=1,macaddr=00:16:3E:C1:BB:78,model=rtl8139 -net tap,vlan=1,bridge=xenbr0
 -vnc 1 -vnclisten 127.0.0.1

インストール後のデスクトップ操作
ネットワークも問題なく利用できます(サウンド再生はできません)。

３．CentOS 5のインストールと実行

XenExpress 3.2ではRed Hat Enterprise Linux 5は標準サポートしていますがCentOS 5は標準サポート対象にはなっていません。
しかしCentOS 5もインストールして利用できます。

CentOS 5用XenVMの定義
管理コンソールの[Server]－[Install XenVM]でCentOS 5のためのXenVMを定義します。
- Install From欄:プルダウンメニューからWindows XP Service Pack 2を選択
- Name欄:CentOS 5を指定
- Description欄:XE 3.2 CentOS 5を指定
- Initial Memory欄:256を512に変更
- Disk0のSize欄：8192MBを20480MBに変更
- その他の項目：デフォルトのままとします。
インストールの開始
CentOS 5のインストールDVDをCD-ROM/DVDドライブにセットして、XenVMの定義画面右下にある＜Install＞ボタンをクリックします。

ここから先は通常のCentOS 5と同様のインストール操作となります。
ネットワークはブリッジ型になるためホストOSと同じネットワーク体系のIPアドレスを指定できます。
インストールするソフトウェアセット
今回は「仮想化」も含めてほぼフルインストールしてみました。
インストール中の様子(グラフィカルインストール)
インストール後の動作確認
XenServerのHVMドメインとしてインストールされたCentOS 5はネットワーク含めて問題なく動作します。
HVM-CentOS 5
XenServerのHVMドメインとしてインストールされたCentOS 5を以下では「HVM-CentOS 5」と表現することにします。
HVM-CentOS 5へのVMware Serverの導入
HVM-CentOS 5にkernel-develパッケージを追加インストールしてVMware Server 1.0.3を導入しました。
更にHVM-CentOS 5のVMware ServerにCentOS 5をインストールしてみました。
このVMware Server上のCentOS 5を以下では「VMware-CentOS 5」と表現することにします。
紛らわしいですが、
・親：CentOS 5化されたXenServer
・子：HVM-CentOS 5
・孫：VMware-CentOS 5
という関係になります。
VMware-CentOS 5のインストール
HVM-CentOS 5上のVMware Serverではグラフィカルインストールは使用できません。
そこでVMware-CentOS 5のインストールはテキストインストールという形態となります。
具体的には最初のboot:プロンプトで「linux text」を指定します。
インストール中の様子(テキストインストール)
インストール完了後の動作確認
VMware-CentOS 5でもネットワークは問題なく利用できます。
またCPUも「Intel(R) Core(TM) 2 CPU 6600 @ 2.40GHz」として正しく認識されています。

HVM-CentOS 5のDomainUでのVine Linux 4の実行
XenServer, HVM-CentOS 5, Vine Linux 4のXenカーネルがすべて異なる組み合わせでのXenのネスト動作を試してみました。

HVM-CentOS 5へのxensourceで公開されているXen 3.0.3用tarボールの取得と展開
HVM-CentOS 5にてxensource(http://www.xensource.com/)で公開されているxen-3.0.3_0-install-x86_32p.tgzをダウンロードします。
ここでは/root直下にダウンロードして展開するものとします。
# tar zxvf xen-3.0.3_0-install-x86_32p.tgz
[補足説明]
(1)/root/dist直下に展開(解凍)されたinstall.shは実行しません。
Xenツールのインストールを含むinstall.shを実行してしまうとHVM-CentOS 5側の元々のXen機能がまともに動作しなくなります。
(2)DomainUとして使用するカーネルは/root/dist/install/boot/vmlinuz-2.6.16.29-xenです。
(3)またVine Linux 4側で使用するカーネルモジュールは/root/dist/install/lib/modules/2.6.16.29-xenです。
Vine Linux 4用DomainUへのGUIログイン環境の構築(VNCサーバと仮想フレームバッファの導入)
VNCクライアントから実ビデオカードを持たないDomainU(Vine Linux 4)にXDMCP接続してGUI操作できるように仮想フレームバッファを導入します。
その詳細手順は「仮想フレームバッファ(Vine Linux 4.0編)」を参照して下さい(手順変更は不要です)。
Vine Linux 4(DomainU)側へのカーネルモジュールのコピーとネットワーク設定の一部変更
まずVine Linux 4のHDDをイメージファイル化してHVM-CentOS 5側に取り込みます。
尚、Vine Linux 4のイメージファイルをここでは/root/vine40domu.imgとします。
次に以下のコマンドでVine Linux 4のイメージファイルにDomainU用カーネルモジュールをコピーします。
更に、Vine Linux 4側の/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0の内容も一部変更します。
# mount -o loop,offset=32256 /root/vine40domu.img /mnt
# cp -Ra /root/dist/install/lib/modules/2.6.16.29-xen /mnt/lib/modules
# vi /mnt/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
HWADDR行を削除します。
# umount /mnt

Vine Linux 4用ドメイン構成ファイルの作成
以下の内容をもつVine Linux 4用ドメイン構成ファイル(/etc/xen/xmvine40u)を用意します。
HVM-CentOS 5側(Domain0)のカーネルは/boot/vmlinuz-2.6.18-8.el5xenですが、
Vine Linux 4側(DomainU)のカーネルは/root/dist/install/boot/vmlinuz-2.6.16.29-xenを使用します。

kernel = "/root/dist/install/boot/vmlinuz-2.6.16.29-xen"
memory = 256
name = "XenNestVine40U"
vif = [ 'mac=00:16:3e:00:00:11, bridge=xenbr0' ]
disk = [ 'file:/root/vine40domu.img,hda,w' ]
root = "/dev/hda1 ro"
extra = "5"

DomainUの起動
# xm create -c xmvine40u
※構成ファイルは/etc/xenから探索されます。
Kudzu画面での操作
DomainUでは実際のネットワークカードが存在しないため実際のネットワークカードの設定をどうするかの問合せ画面が表示されます。
まず「Welcome to Kudzu」画面が表示されたらEnterキーを押し、次の「Hardware Removed」(ネットワークカードの取り外し)画面でF3キー(Ignore/Keep All)を押します。
この操作によって次回からは本画面は表示されません。
ログインプロンプト
DomainUのブートプロセスのメッセージが流れてテキストログインプロンプトが表示されます。
テキストログインプロンプトはそのまま放置しておいて構いません。
HVM-CentOS 5側(Domain0)からのVNC接続
VNCクライアントのvncviewerを起動します。
接続先に「vine40share:1」を指定して＜接続＞ボタンで接続します。
※vine40shareはVine Linux 4のホスト名です。

管理コンソールの中でのマウスの動作は不安定のようです。