Xen 3.0.3(Core 2 Duo編[openSUSE 10.2])

2006年12月7日にopenSUSE 10.2がリリースされました。



openSUSE 10.2にはXen 3.0.3が付属しています。

そのXen 3.0.3のHVM(Hardware Virtual Machine)ドメインを使用してみました。
今回使用したPCのハードウェア構成は以下の通りです。
・CPU：Core 2 Duo E6600
・チップセット：Intel P965
・メモリ：3GB
・VGAカード：nVIDIA GeForce 7600 GT(VRAM 256MB)
・HDD：S-ATA 250GB
・LANカード：Intel PRO/100 S

openSUSE 10.2(32bit版)のXen 3.0.3のHVMについて結論から言うと次の通りです(まともにWindows対応していないようです)。
(1)KNOPPIX 5.1.1は問題なく動作します。
(2)40GBのディスクイメージに対するWindows XP SP2はインストールの途中でスローダウンして1時間経過してもインストールが完了しません。
但し、8GBのディスクイメージに対するWindows XP SP2はインストールが完走します。
(3)Windows Vista RC1はインストーラがGUI画面表示前に異常終了します。
Windows Vista RC1の場合はディスクイメージサイズに関係なくインストーラがGUI画面表示前に異常終了します。
(4)Windows XPからWindows Vista RC1にアップグレードできません。

尚、2007年2月に入ってもopenSUSE 10.2のアップデータにはXen関連パッケージは含まれていません。


１．KNOPPIX 5.1.1の実行

• HVMドメイン設定ファイルの作成
  Xen付属のxmexample.hvmというサンプルファイルをベースにKNOPPIX 5.1.1実行用設定ファイルを作成します。
  
  # cp -a /etc/xen/examples/xmexample.hvm /etc/xen/xmknp511.hvm
  # cd /etc/xen
  # vi xmknp511.hvmで以下のように内容変更します。
  

  (1)memory = 128を1024に変更。 (2)name = "ExampleHVMDomain"を"KNOPPIX5.1.1HVM"に変更。 (3)disk = [ 'file:/var/lib/xen/images/disk.img,ioemu:hda,w', ',hdc:cdrom,r' ]を disk = [ 'file:/boot/xendummy.img,hda,w', 'file:/boot/knoppix511dvd.img,hdc:cdrom,r' ]に変更。 ※上記diskでcdromを定義しています。 (4)#boot="cda"はそのままにしておきます。 (5)sdl=0を1に変更。 (6)vnc=1を0に変更。 (7)#soundhw='sb16'をsoundhw='es1370'に変更。 (8)#localtime=1の#を削除。

  
  
• ドメイン0のメモリ設定
  openSUSE 10.2で「Xen仮想マシンホストサーバ」をインストールしても/boot/grub/menu.lstのkernel行にはdom0_mem=xxxは自動追加されません。
  そこで取り敢えずxmコマンドを使用して手動でドメイン0のメモリ設定を行います。
  # xm mem-set 0 1024
  
  
• HVMドメインの起動
  # xm create xmknp511.hvm boot=d
  
  
• KNOPPIX 5.1.1のデスクトップ
  
  
  
  サウンドも問題なく再生されます。
  
  

• 40GBディスクイメージの作成
  # dd if=/dev/zero of=/boot/xenwinxp.img bs=1M count=1 seek=40960
  
  
• HVMドメイン設定ファイル(xmwinxp.hvm)の作成
  ディスクイメージファイル以外はKNOPPIX 5.1.1用HVMドメイン設定ファイルとほとんど同じです。
  
  「acpi=1」の指定をするとWindows XPのインストーラはSetup is loadding files処理の過程で異常終了します。
  Windows XPのインストール時は「acpi=1」の指定はしないようにします。
  
  
• HVMドメインの起動
  # xm create xmwinxp.hvm boot=d
  
  
• ファイルロード画面
  
  
  
  
• インストール時のスローダウン
  デバイスのインストール中にスローダウンします。
  インストーラを開始して1時間30分経過してもデバイスのインストールは完了しません(HDDのI/Oが集中し、やがてそのI/Oが停止します)。
  
  
  
  
• 8GBディスクイメージの作成
  40GBのディスクイメージ使用の場合のインストール実行では上記問題が発生したため8GBのディスクイメージを使用することにしました。
  # dd if=/dev/zero of=/boot/xenwinxp8gb.img bs=1M count=1 seek=8192
  
  
• 8GBディスクイメージへのWindpws XPのインストール
  8GBディスクイメージへのWindpws XPのインストールはデバイスのインストールでスローダウンせずにインストールが行えます。
  
  
  
  
• 8GBディスクイメージにインストールしたWindpws XP
  Windows XPの起動は「acpi=1」の指定有無に関係なく行えます。
  またネットワークも問題なく使用できます。
  更にサウンド再生も問題なく行えます。
  
  
  
  

• ディスクイメージの作成
  # dd if=/dev/zero of=/boot/xenvista.img bs=1M count=1 seek=40960
  
  
• HVMドメイン設定ファイル(xmvista.hvm)の作成
  ディスクイメージファイル以外はKNOPPIX 5.1.1用HVMドメイン設定ファイルとほとんど同じです。
  但し、「acpi=1」の指定が必要となります。
  「acpi=1」の指定をしない場合、インストーラの起動で「BIOS is not ACPI compatible」エラーとなります。
  
  
• HVMドメインの起動
  # xm create xmvista.hvm boot=d
  
  
• ファイルロード画面
  Windows Vista RC1の場合、はインストーラがファイルロードを2回自動実行後にGUI画面表示前に異常終了します。
  
  
  
  

• HVMドメインの起動
  HVMドメインの起動ではディスクイメージはWindows XP用で、DVDはWindows Vista RC1のDVDを使用します。
  ※Windows XPの起動は「acpi=1」の指定有無に関係なく行えます。
  
  
• Windows Vista RC1インストーラの起動
  DVD中のsetup.exeを起動します。
  
  
  
  
• ACPI関連エラー
  Windows Vista RC1インストーラの画面で「インストール」をクリックすると「互換性のレポート」画面が表示されます。
  「acpi=1」の指定有無に関係なくその「互換性のレポート」画面では「このコンピュータはACPI標準に準拠していません」と表示されます。
  本エラーが表示される場合は＜閉じる＞ボタンしか押せませんのでアップグレードができないということになります。