オープンギャラリー：Xen 3.2(Ubuntu 8.04デスクトップ編)

Xen 3.2(Ubuntu 8.04デスクトップ編)

2008年1月16日にXen 3.2がリリースされました。
(Xen 3.2ではデスクトップユーザ向けに「HVMドメインでのVGA表示の高速化」が図られています)
2008年4月にはそのXen 3.2を搭載したUbuntu 8.04がリリースされました。
WubiでWindowsパーティションの仮想ディスクにインストールしたUbuntu 8.04でXen動作を確認してみました。

ここではubuntu-xen-desktopを利用してのXen 3.2環境構築手順を紹介します。
尚、今回使用したVGAカードはnVIDIA GeForce 7600GTです。

WindowsへのUbuntu 8.04のインストール
Ubuntu 8.04にはWubi機能が新たに追加されました。
Wubi機能とはWindowsファイルシステムに仮想ディスクを作成してそこにUbuntuをインストールしてWindowsとUbuntuのデュアルブートを実現する機能です。
Wubiでいう仮想ディスクというのは仮想マシン用の仮想ディスクという意味ではありません。
ここでの仮想ディスクはあくまでもWindows環境の中のファイルをUbuntuのインストールディスクと見なしているという意味です。
WubiにおけるUbuntuのインストールはWindows上で行います。
但し、Windows上では仮想ディスクの器の作成程度しか行われず、その後のUbuntuの最初の起動時に実インストールが行われます。
(実インストール：パッケージのインストール、システム設定、言語パッケージのインストール、ハードウェア設定、GRUB設定等)
NVIDIAカーネルドライバの組み込み
まずNVIDIAカーネルドライバ導入前のxorg.confを/etc/X11/xorg.conf.orgとして保存しておきます(Xen環境で使用するため)。
次に、[システム]－[システム管理]－[ハードウェアドライバ]メニューを選択します。
＜NVIDIAの高性能グラフィックドライバ(新しいカード向け)＞を有効にするとそのドライバがインストールされます。
/etc/X11/xorg.confは自動変更されます。
ドライバインストール後はリブートします。

Xen 3.2(Ubuntu 8.04デスクトップ編)

Domain0の環境構築と起動
- /etc/X11/xorg.confの事前バックアップ
  NVIDIAカーネルドライバ導入前のxorg.confが先述の通り/etc/X11/xorg.conf.orgとして保存されていることを確認します。
  またNVIDIAカーネルドライバ導入後のxorg.confを/etc/X11/xorg.conf.nvidiaとして保存します。
- xenmanパッケージのダウンロード
  Ubuntu 8.04のubuntu-xen-desktopをインストールするにはxenmanパッケージが必要です。
  xenmanパッケージはGUIベースのXen管理ツールで使用が必須ということではありませんがそのxenmanパッケージ自体は依存関係上必要となります。
  しかしUbuntu 8.04のリポジトリにはxenmanパッケージが入っていません。
  (ubuntu-xen-serverならxenmanは不要ですがここではubuntu-xen-desktopにこだわってみます)
  そこでUbuntu 8.04対応のhttp://launchpadlibrarian.net/11041870/xenman_0.6-5ubuntu1_all.debをダウンロードします。
  # wget http://launchpadlibrarian.net/11041870/xenman_0.6-5ubuntu1_all.deb
- ubuntu-xen-desktopのインストール
  # apt-get install python-paramiko python-rpm python-crypto xen-utils-3.2 libxen3 python-xen-3.2 xen-hypervisor-3.2
  # dpkg -i xenman_0.6-5ubuntu1_all.deb
  # apt-get install ubuntu-xen-desktop (xen-toolsも自動インストールされます)
  # mv /lib/tls /lib/tls.disabled
- NetworkManagerの無効化
  Xenデーモン側のnetwork-scriptとNetworkManager(ネットワークの常時監視プログラム)は相性がよくないようです。
  NetworkManagerが起動されるとXenのDomain0のネットワークに支障を与え特に外部ネットワークへの接続ができなくなることがあります。
  そこでNetworkManagerの自動起動を例えば次のようにして抑止します。
  # mv /usr/sbin/NetworkManager /usr/sbin/NetworkManager.disabled
- xorg.confの切り替え
  Xen環境ではUbuntu 8.04標準のNVIDIAカーネルドライバは使用できませんのでNVIDIAカーネルドライバ導入前のxorg.confに切り替えます。
  # cp /etc/X11/xorg.conf.org /etc/X11/xorg.conf
- HVMドメイン使用のためのxend設定ファイル(/etc/xen/xend-config.sxp)の変更
  # vi /etc/xen/xend-config.sxp
  「#(vnc-listen '127.0.0.1')」を「(vnc-listen '127.0.0.1')」に変更して保存します。
- Xen 3.2のDomain0ブート
  リブートしてGRUBメニューでXen 3.2を選択してDomain0をブートします。
  Xen 3.2のDomain0環境で外部ネットワークへの通信もできるようになります。
- 仮想マシンマネジャの導入(任意)
  Ubuntuでも他のディストリビューション同様に仮想マシンマネジャを導入することで仮想マシンをGUI操作で簡単に作成できるようになります。
  仮想マシンマネジャを使用するための関連パッケージ一式を次のようにインストールします。
  # apt-get install virt-manager ※libvirt0, python-virtinst等も自動インストールされます。
  このvirt-managerをインストールした時点で[アプリケーション]メニューの[システムツール]に[仮想マシンマネージャ]が追加表示されます。
  # apt-get install virt-viewer ※仮想マシンのグラフィカルコンソールです。
  # apt-get install libvirt-bin libvirt-doc ※libvirt-binパッケージは仮想マシンマネジャの接続先デーモンを含みます。
  # apt-get install kvm ※KVMはカーネルベースの仮想マシンパッケージです。
  # apt-get install qemu ※HVMドメインの仮想マシン作成・実行に必要となります。
  # vi /etc/xen/xend-config.sxp
  「#(xend-unix-server no)」行を「(xend-unix-server yes)」に変更して保存します。
  これは仮想マシンマネジャからXenハイパバイザに接続するために必要な設定変更です。
  デーモン類を追加インストールしたのでここでDomain0を再起動します。

DomainUでのttylinux-xenの動作確認(ネットワーク利用含む)
Domain0の動作確認を兼ねてttylinux-xenの動作確認を実施してみます。
DomainUでのLinux起動確認で最も手軽に使える仮想ディスクイメージはttylinux-xenです。
今回はttylinux-xen 4.2を使用してみました。
ttylinux-xenの仮想ディスクは/dev/sda1をイメージ化したもので/bootは空になっています。
またネットワークオプションは無効化されていますのでその対策も行ってみます。

ttylinux-xen用仮想ディスクの準備
# wget http://easynews.dl.sourceforge.net/sourceforge/xen/ttylinux-xen.bz2
# mkdir ttylinux
# cp ttylinux-xen.bz2 ttylinux/
# cd ttylinux
# bunzip2 -d ttylinux-xen.bz2
これでttylinux-xen用仮想ディスク(/root/ttylinux/ttylinux-xen)が準備できました。
DomainU用Xenカーネルの準備
Ubuntu 8.04のXenバージョンは3.2ですが、ここではXen 3.1版DomainU用Xenカーネルを使用してみます。
具体的にはhttp://www.xen.org/download/dl_304guest_rhel4.htmlから下記ファイルを取得してその中のDomainU用Xenカーネルを利用します。
/root/kernel-xenU-2.6.9-42.0.3.EL.xs0.4.0.263.i686.rpm
# apt-get install rpm ※rpm2cpioコマンド利用のためにrpmパッケージが必要です。
# cp kernel-xenU-2.6.9-42.0.3.EL.xs0.4.0.263.i686.rpm ttylinux/
# cd ttylinux/
# rpm2cpio kernel-xenU-2.6.9-42.0.3.EL.xs0.4.0.263.i686.rpm | cpio -id
(rpm2cpioではrpmパッケージをインストールすることなくそのパッケージに含まれるファイルを展開できます)
これで/root/ttylinux/boot/vmlinuz-2.6.9-42.0.3.EL.xs0.4.0.263xenUが利用可能となります。

ttylinux用ドメイン構成ファイルの作成
以下の内容をもつttylinux用ドメイン構成ファイル(/root/ttylinux/ttylinux.cfg)を用意します。

name = "ttylinux"
memory = "64"
kernel = "/root/ttylinux/boot/vmlinuz-2.6.9-42.0.3.EL.xs0.4.0.263xenU"
vif = [ 'mac=00:00:00:00:00:12, bridge=eth0' ]
disk = ['tap:aio:/root/ttylinux/ttylinux-xen,sda1,w']
root = "/dev/sda1 ro"

ttylinux側のネットワーク設定
# cd
# mount -o loop /root/ttylinux/ttylinux-xen /mnt
# vi /mnt/etc/network.conf
(1)NETWORKING="no"をNETWORKING="yes"に変更します。
(2)USE_GATEWAY="yes"はそのままにしておきます。
(3)#GATEWAY="1.2.3.4"をGATEWAY="実際のゲートウェイアドレス"に変更します。
# vi /mnt/etc/resolv.conf
「nameserver xx.xx.xx.xx」行を追加します。
# cp /mnt/etc/network.d/sample /mnt/etc/network.d/interface.eth0
# vi /mnt/etc/network.d/interface.eth0
/etc/network.d/interface.eth0の内容を以下のようにします。

# network device name
INTERFACE="eth0"

# set to "yes" to use DHCP instead of the settings below
DHCP="no"

# interface settings

# IP address
IPADDRESS="ttylinuxのIPアドレス" ※ホスト側の物理ネットワークアドレス体系が使用できます。

# netmask
NETMASK="255.255.255.0"

# broadcast address
BROADCAST="xx.xx.xx.255"

また、必要に応じてttylinux側のファイヤーウォール(iptables)を無効にします。

# umount /mnt

DomainUの起動
# xm mem-set 0 512
# xm create -c /root/ttylinux/ttylinux.cfg
ttylinuxでのrootユーザのパスワードはrootです。
ttylinuxからインターネットサイトへのpingも通ります。
・ttylinux-xenの実行例(Xen 3.1版カーネル)
Xen 3.1版以外のXenカーネル利用について
- Xen 3.2版Xenカーネル
  Ubuntu 8.04付属のXen 3.2版Xenカーネル(/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen)をttylinuxのDomainU用カーネルとして使用すると下記エラーとなります。
  
  No filesystem could mount root, tried: cramfs
  Kernel panic - not syncing: VFS: Unable to mount root fs on unknown-block(8,1)
- Xen 3.0.2版Xenカーネル
  http://www.xen.org/download/dl_x30tarball.htmlで公開されている32 bit SMP PAE版(xen-3.0.2-install-x86_32p.tgz)付属のXenカーネルはOKです。
  xen-3.0.2-install-x86_32p.tgz中にXen 3.0.2版Xenカーネル(xen-3.0.2-2-install/install/boot/vmlinuz-2.6.16-xen)が存在します。
  ・ttylinux-xenの実行例(Xen 3.0.2版カーネル)
  
  尚、同じhttp://www.xen.org/download/dl_x30tarball.htmlで公開されている32 bit SMP non-PAE版(xen-3.0.2-install-x86_32.tgz)付属のXenカーネルはNGです。
  xen-3.0.2-install-x86_32.tgz中のXen 3.0.2版Xenカーネル(xen-3.0.2-2-install/install/boot/vmlinuz-2.6.16-xen)使用では以下のエラーとなります。
  
  Error: (2, 'Invalid kernel', 'xc_dom_compat_check: guest type xen-3.0-x86_32 not supported by xen kernel, sorry\n')

DomainUでのVine Linux 4.0実行例(仮想マシンマネジャ未使用ケース)
Xen環境でのゲストOSとして比較的利用し易いVine Linux 4.0を実行してみます。

Vine Linux 4.0仮想ディスクの作成
今回はVMware環境の仮想ディスク(4GB固定サイズ)にVine Linux 4.0をインストールして仮想ディスクを準備しました。
仮想ディスクの構成は以下の通りです。
・/dev/hda1：/パーティション
・/dev/hda2：swapパーティション
Vine Linux 4.0用DomainUへのGUIログイン環境の構築(VNCサーバと仮想フレームバッファの導入)
VNCクライアントから実ビデオカードを持たないDomainU(Vine Linux 4.0)にXDMCP接続してGUI操作できるように仮想フレームバッファを導入します。
その詳細手順は「仮想フレームバッファ(Vine Linux 4.0編)」を参照して下さい(手順変更は不要です)。
Vine Linux 4.0(DomainU)側へのカーネルモジュールのコピーとネットワーク設定の一部変更
まずVine Linux 4.0の4GB仮想ディスクファイル(ここではvine40ideshare-flat.vmdkとします)をDomain0の/guest/に転送します。
次に以下のコマンドでVine Linux 4.0のイメージファイルにDomainU用カーネルモジュールをコピーします。
更に、Vine Linux 4.0側の/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0の内容も一部変更します。
# mount -o loop,offset=32256 /guest/vine40ideshare-flat.vmdk /mnt
# cp -Ra /lib/modules/2.6.24-19-xen /mnt/lib/modules
# vi /mnt/etc/sysconfig/network-scripts/ifcfg-eth0
HWADDR行を削除します。
# umount /mnt

Vine Linux 4.0用ドメイン構成ファイルの作成
以下の内容をもつVine Linux 4.0用ドメイン構成ファイル(/etc/xen/xmvine4.cfg)を用意します。
Vine Linux 4.0側(DomainU)のカーネルはDomain0の/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xenを使用します。

kernel = "/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen"
ramdisk = "/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen"
memory = 256
name = "Vine4U"
vif = [ 'mac=00:16:3e:00:00:11, bridge=eth0' ]
disk = [ 'tap:aio:/guest/vine40ideshare-flat.vmdk,xvda,w' ]
root = "/dev/xvda1 ro"
extra = "5 xencons=tty"

[補足]
(1)仮想ディスクはfile指定のloopデバイスではなく、Xen blktapドライバを使用するtap:aioデバイスを指定します。
Domain0自体がWubiで作成したloopデバイスのルートパーティションだからという訳ではありませんが
loopデバイスを使用するfile指定はエラーとなります。
(2)xvda1はXen仮想ディスクの第一パーティションを示します。
(3)xencons=ttyはXenコンソールにテキストログインプロンプトを表示させるのに必要です。

DomainUの起動
# xm create -c xmvine4.cfg
※構成ファイルは/etc/xenから探索されます。
Kudzu画面での操作
DomainUでは実際のネットワークカードが存在しないため実際のネットワークカードの設定をどうするかの問合せ画面が表示されます。
まず「Welcome to Kudzu」画面が表示されたらEnterキーを押し、次の「Hardware Removed」(ネットワークカードの取り外し)画面でF3キー(Ignore/Keep All)を押します。
この操作によって次回からは本画面は表示されません。
※ここでの「Hardware Removed」画面では仮想ディスクをVMwareで作成したためPCnet32の削除検出として表示されます。
テキストログインプロンプト
DomainUのブートプロセスのメッセージが流れてテキストログインプロンプトが表示されます。
テキストログインプロンプトはそのまま放置しておいて構いません。
Domain0からのVNC接続
リモートデスクトップビューワ(VNCクライアント)を起動します。
接続先ホスト名に「vine40share」を指定し、ポート番号に5901を指定して＜接続＞ボタンを押して接続します。
※vine40shareはVine Linux 4.0のホスト名です。
GDMログイン画面
VNC接続できるとGDMログイン画面が表示されますので通常通りログインします。
デスクトップ操作
リモートデスクトップビューワからDomainU側のGUI操作が行えます。
・DomainUで実行しているVine Linux 4.0のVNCデスクトップ

DomainUでのUbuntu 8.04実行例(仮想マシンマネジャ未使用ケース)
Vine Linux 4.0同様にUbuntu 8.04も簡単にDomainUで実行できます。

Ubuntu 8.04仮想ディスクの作成
今回はVMware環境の仮想ディスク(4GB固定サイズ)にUbuntu 8.04をインストールして仮想ディスクを準備しました。
(パーティション構成：/dev/sda1のみでswapパーティションなし)
ここでのUbuntu 8.04のインストールではAlternate Desktop CDを使用しました。
※Alternate Desktop CDのISOイメージはhttp://ubuntu.com/GetUbuntu/downloadからダウンロードできます。
Ubuntu 8.04用DomainUへのGUIログイン環境の構築(VNCサーバと仮想フレームバッファの導入)
VNCクライアントから実ビデオカードを持たないDomainU(Ubuntu 8.04)にXDMCP接続してGUI操作できるように仮想フレームバッファを導入します。
その詳細手順は「仮想フレームバッファ(Ubuntu 8.04編)」を参照して下さい(手順変更は不要です)。
Ubuntu 8.04(DomainU)側へのカーネルモジュールのコピーとtlsライブラリの無効化
まずUbuntu 8.04の4GB仮想ディスクファイル(ここではaltubt804-flat.vmdkとします)をDomain0の/guest/に転送します。
次に以下のコマンドでUbuntu 8.04のイメージファイルにDomainU用カーネルモジュールをコピーします。
更に、DomainU側の/lib/tlsを無効化します。
※/lib/tlsがあるとDomainUブート時に以下の警告メッセージが表示されます。
「Currently emulating unsupported memory accesses in /lib/tls glibc libraries. The emulation is slow.」
# mount -o loop,offset=32256 /guest/altubt804-flat.vmdk /mnt
# cp -Ra /lib/modules/2.6.24-19-xen /mnt/lib/modules
# mv /mnt/lib/tls /mnt/lib/tls.disabled
# umount /mnt

Ubuntu 8.04用ドメイン構成ファイルの作成
以下の内容をもつUbuntu 8.04用ドメイン構成ファイル(/etc/xen/xmubuntu804u.cfg)を用意します。
DomainU側のカーネルはDomain0の/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xenを使用します。

kernel = "/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen"
ramdisk = "/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen"
memory = 512
name = "Ubuntu804U"
vif = [ 'mac=00:0c:29:4a:5f:0d, bridge=eth0' ]
disk = [ 'tap:aio:/guest/altubt804-flat.vmdk,xvda,w' ]
root = "/dev/xvda1 ro"
extra = "xencons=tty"

[補足]
(1)xvda1はXen仮想ディスクの第一パーティションを示します。
(2)xencons=ttyはXenコンソールにテキストログインプロンプトを表示させるのに必要です。
(3)MACアドレスはVMware環境で割り当てられた値をそのまま指定してみました。

DomainUの起動
Ubuntu 8.04をDomainUで実行する場合、Domain0にはメモリを1024MB程度割当てると安定動作するようです。
# xm mem-set 0 1024
# xm create -c xmubuntu804u.cfg
※構成ファイルは/etc/xenから探索されます。
テキストログインプロンプトとコンソール操作
DomainUのブートプロセスのメッセージが流れて(いくつかエラーも発生しますが)テキストログインプロンプトが表示されます。
(sshdやproftpd等も問題なく自動起動されます)
・ログイン後のコンソール操作例
Domain0からのVNC接続
リモートデスクトップビューワ(VNCクライアント)を起動します。
接続先ホスト名に「ubt804share」を指定し、ポート番号に5901を指定して＜接続＞ボタンを押して接続します。
※ubt804shareはDomainU側Ubuntu 8.04のホスト名です。
GDMログイン画面
VNC接続できるとGDMログイン画面が表示されますので通常通りログインします。
デスクトップ操作
リモートデスクトップビューワからDomainU側のGUI操作が行えます。
・DomainUで実行しているUbuntu 8.04のVNCデスクトップ(VNCサービス設定の色深度を24bitにしてもHumanテーマにはなりません)

HVMドメインの利用例(LiveCDの実行)
HVMドメインとして例えばKNOPPIX 5.1.1を実行させる手順は以下の通りです。
(1)ダミーの仮想ディスクの作成とフォーマット
# dd if=/dev/zero of=/root/mydisk.img bs=1M seek=10240 count=1
# mkfs.ext3 -F /root/mydisk.img (LiveCDからワーク用に利用できるようにフォーマットしておきます)
(2)LiveCD対応HVMドメイン用設定ファイルの作成
/etc/xen/xmlivecd.hvmを以下の内容で作成します(SDLモードではVNCモードと違ってマウス、キーボード操作上の問題はありません)。

name = "xmLiveCDHVM"
builder = "hvm"
memory = 512
disk=['tap:aio:/root/mydisk.img,hda,w','phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r']
vif=['type=ioemu,bridge=eth0']
device_model = "/usr/lib/xen/bin/qemu-dm"
kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader"
sdl=1
pae=1
boot= 'd'

(3)XenManの利用
XenManを起動して [File]－[Open VM Config File]で/etc/xen/xmlivecd.hvmを読み込みます。
KNOPPIX 5.1.1のDVDをDVD/CD-ROMドライブにセットし、XenMan上のその仮想マシンを選択して＜Start＞ボタンを押します。
これでKNOPPIX 5.1.1が起動してネットワークも問題なく利用できます。
・HVMドメインでのKNOPPIX 5.1.1実行例
尚、上記の手順でUbuntu 8.04 LTS 日本語ローカライズド Desktop CD(ubuntu-ja-8.04-desktop-i386.iso)をライブ実行することはできません。
そのubuntu-ja-8.04-desktop-i386.isoのCDでは「Ubuntu is running in low-graphics mode」エラーが出てデスクトップ表示に至りません。
しかし、ubuntu-8.04.1-desktop-i386.isoのCDからのライブ実行は可能です。

[補足]

次期Ubuntu 8.10について
次期Ubuntu 8.10にはXen 3.3が搭載されるようです。
実際、2008年9月5日に公開されたUbuntu 8.10 alpha5版(intrepid-desktop-i386.iso)のSynapticを見るとlibxen3のバージョンが3.3.0になっています。
Eee PC 901でのUbuntu 8.10 alpha5版のライブ実行
Eee PC 901でのUbuntu 8.10 alpha5版のライブ実行では内蔵有線LANも問題なく使用できます。

HVMドメインの利用例(Ubuntu 8.04のインストール/実行)
(1)Alternate Desktop CDの準備
HVMドメインにUbuntu 8.04をインストールするにはテキストインストーラを持つAlternate Desktop CDを使用します。
このAlternate Desktop CDのISOイメージはhttp://ubuntu.com/GetUbuntu/downloadからダウンロードできます。
Alternate Desktop CDのISOイメージからAlternate Desktop CDを作成します。
(2)仮想ディスクの作成
4GBの仮想ディスクを以下のコマンドで作成します。
# mkdir /guest
# dd if=/dev/zero of=/guest/ubt804hvm.img bs=1M seek=4096 count=1

(3)Ubuntu 8.04対応HVMドメイン用設定ファイルの作成
/etc/xen/xmubt804.hvmを以下の内容で作成します(VNCではなくSDLモードを使用します)。

name = "xmubt804hvm"
builder = "hvm"
memory = 512
disk=['tap:aio:/guest/ubt804hvm.img,hda,w','phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r']
vif=['type=ioemu,bridge=eth0']
device_model = "/usr/lib/xen/bin/qemu-dm"
kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader"
sdl=1
pae=1

(4)インストーラの起動
Alternate Desktop CDをホストPCのDVD/CD-ROMドライブにセットして次のコマンドを実行します。
# xm create xmubt804.hvm boot='d'
(5)テキストベースインストーラ

最初の言語選択画面
最初の画面でLanguageとして「日本語」を選択すると日本語でのメニュー画面になります。
日本語でのメニュー画面で＜Ubuntuをインストール＞を選択してEnterキーを押して先に進みます。
CUIベースの最初の「Ubuntu インストーラメインメニュー」画面
CUIベースの最初の「Ubuntu インストーラメインメニュー」画面ではデフォルトの「Alt+Shift」を選択します。
(インストールの途中で問題が発生した場合等はインストールメニュー一覧画面に戻ることもできます)
ネットワークの設定画面
ネットワークハードウェアの検出後DHCPでの設定が行われます。
DHCPでの設定ができなかった場合はネットワークの手動設定画面が表示されます。
ホスト名の設定画面
ディスクのパーティションイング画面
ここではデフォルトの[ガイド－ディスク全体を使う]を選択して初期化を実行します。
ユーザアカウント情報(フルネーム、ユーザ名、パスワード)の設定
「ソフトウェアの選択とインストール」画面
インストールするソフトウェアを実際に選択することはできませんが各パッケージがインストールされます。
GRUBブートローダのインストール
MBRへのGRUBブートローダのインストールと日付・時刻の設定でインストールは終了です。
自動再起動されますがboot='d'指定が有効となったままですのでそのHVMドメインを強制停止(xm destroy)させます。

(6)XenManの利用
XenManを起動して [File]－[Open VM Config File]で/etc/xen/xmubt804.hvmを読み込みます。
XenMan上のその仮想マシンを選択して＜Start＞ボタンを押してHVMドメインを起動します。
(7)HVMドメインでのUbuntu 8.04操作

GDMでのログイン
インストーラで指定したユーザアカウントでログインします。
解像度変更
最初は800x600の解像度の小さなデスクトップが表示されます。
/etc/X11/xorg.confのMonitorセクションを以下のように設定します。
(本設定はhttps://help.ubuntu.com/community/FixVideoResolutionHowtoで紹介されています)
Section "Monitor" Identifier "Configured Monitor" Option "DPMS" HorizSync 30-96 VertRefresh 50-160 EndSection
再ログインして[システム]－[設定]－[画面の解像度]で例えば1024x768に変更します。
tlsライブラリの無効化
# sudo mv /lib/tls /lib/tls.disabled
ネットワーク確認と設定変更
HVMドメインを起動した時点でLAN接続はできますがゲートウェイが利用できない状態になることがあります。
以下のコマンドでネットワークを再設定することで外部ネットワークにも接続できるようになります。
(/usr/sbin/NetworkManagerは残したままの状態とします)
$ ifconfigによるethxのxの数字確認
$ sudo ifconfig ethx IPアドレス broadcast ブロードキャストアドレス netmask 255.255.255.0
$ sudo route add default gw ゲートウェイアドレス
$ cat /etc/resolv.conf(内容確認、必要なら内容変更)
HVMドメインのデスクトップ

XenMan含めたホスト・ゲスト一体のデスクトップはこちらです。

仮想マシンマネジャによるKVMドメインへのUbuntu 8.04のインストール
仮想マシンマネジャから仮想マシンを作成する機能を使用してKVMドメインにUbuntu 8.04をインストールしてみました。
ここでのUbuntu 8.04のインストールでもAlternate Desktop CDを使用しています。
- 仮想マシンマネージャからQEMUハイパバイザへの接続
  仮想マシンマネージャを起動し、[File]－[Open Connection]でHypervisorとしてQEMUを選択してLocal接続します。
  これによって仮想マシンマネージャ上のlocalhostのqemuがActiveとなります。
- 仮想マシンインストーラの起動
  localhostのqemu行を選択して＜新規＞ボタンを押すと「Create a new virtual system」ウィザードが開始されます。
  本ウィザードでの主な指定内容は以下の通りです。
  (1)System Name：virtu804
  (2)virtualization method：Fully Virtualized(KVMドメインではこれしか選択できません)
  (3)installation media：Alternate Desktop CDをセットして[CD-ROM or DVD]を選択します。
  (4)OS Type：Linux
  (5)OS Variant：Ubuntu Hardy
  (6)storage space；
  ・File Location：/guest/virtu804.img
  ・File Size：6000(MB)
  (7)ネットワークタイプ：[Shared physical device]を選択して、Deviceは[peth0(Bridge eth0)]を選択します。
  (8)メモリ：512MB、仮想CPU数：1
- インストールの開始
  ウィザードの最後の「Ready to begin installation」画面で＜Finish＞ボタンを押すとストレージファイル(仮想ディスク)が作成されます。
  尚、仮想マシン定義は/etc/libvirt/qemu/virtu804.xmlとして自動生成されます。
  続いて仮想マシンコンソール上でUbuntu 8.04自身のインストーラが開始されます。
  Ubuntu 8.04のインストールは通常通りの操作で構いません。
  ・仮想マシンコンソール上でのUbuntu 8.04のインストールの様子
- 仮想マシンの実行
  (1)Domain0のメモリを1024に設定し(xm mem-set 0 1024)、仮想マシンマネジャ上の仮想マシン(virtu804)を起動(Run)します。
  (2)VNCベースの仮想マシンコンソールにGDMログイン画面が表示されますので通常通りログインします。
  (3)仮想マシンコンソールからデスクトップ操作ができます。
  尚、リモートデスクトップビューワとは違って「\|_」入力はできません。
  (4)デスクトップはHumanテーマとなります。
  (5)必要に応じて日本語関連のパッケージを追加インストールします。
  (6)また必要に応じてXの設定(/etc/X11/xorg.conf)をカスタマイズします(画面解像度拡大用設定やマウススクロール対応化等)。
  ・仮想マシンコンソール上でのUbuntu 8.04デスクトップ操作の様子

xen-create-imageコマンドによるDomaiunU用Ubuntu 8.04のインストール
下記条件を満たすようにxen-create-imageコマンドを実行してみました。
(1)ホスト名：parau804
(2)/パーティション用ファイル：/guest/domains/parau804/disk.img[6GB]
(3)swapパーティション用ファイル：/guest/domains/parau804/swap.img[1GB]
(4)ネットワーク；
・IPアドレス：192.168.0.118
・ネットマスク：255.255.255.0
・ゲートウェイ：192.168.0.1
・DNSサーバ：192.168.0.1
・ミラーサイト：http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/
・rootパスワード：なし

[xen-create-imageコマンドの実行]
下記xen-create-imageコマンドの実行は5分程度で終了します。
またDomainU側の/bootは空のままとなります。

xen-create-image \
--install-method=debootstrap \
--dir=/guest \
--kernel=/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen \
--initrd=/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen \
--memory=512MB \
--size=6GB --swap=1GB \
--hostname=parau804 \
--ip=192.168.0.118 --netmask=255.255.255.0 --gateway=192.168.0.1 \
--mirror=http://jp.archive.ubuntu.com/ubuntu/ --dist=hardy --arch=i386

[自動生成された設定ファイル(/etc/xen/parau804.cfg)] ※コメント行は除外

kernel      = '/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen'
ramdisk     = '/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen'
memory      = '512'
root        = '/dev/xvda2 ro'
disk        = [
                  'file:/guest/domains/parau804/swap.img,xvda1,w',
                  'file:/guest/domains/parau804/disk.img,xvda2,w',
              ]
name        = 'parau804'
vif         = [ 'ip=192.168.0.118,mac=00:16:3E:AE:B1:A2' ]
on_poweroff = 'destroy'
on_reboot   = 'restart'
on_crash    = 'restart'
extra = '2 console=xvc0'

[設定ファイルの変更]
・「'file:/guest/domains/parau804/swap.img,xvda1,w'」を「'tap:aio:/guest/domains/parau804/swap.img,xvda1,w'」に変更。
・「'file:/guest/domains/parau804/disk.img,xvda2,w'」を「'tap:aio:/guest/domains/parau804/disk.img,xvda2,w'」に変更。
※fileのtap:aio化はDomainU起動直後のlosetupにおける「Error: Device 51713 (vbd) could not be connected.」の回避用です。

[DomainUの起動]
# xm create -c parau804.cfg
※構成ファイルは/etc/xenから探索されます。
・ブートメッセージ
・コンソール操作例
・自動インストールされたパッケージ一覧

[仮想ディスクのDomain0からのアクセス]
仮想ディスク(正確には/guest/domains/parau804/disk.imgという仮想パーティションファイル)はDomain0にアタッチ(接続)してマウントできます。

# xm block-attach 0 tap:aio:/guest/domains/parau804/disk.img xvda2 w ※ Domain0へのアタッチ
# mount /dev/xvda2 /mnt ※ マウント操作
# /mntの中の操作
# umount /mnt ※ アンマウント
# # xm block-detach 0 xvda2 ※ Domain0からのデタッチ(切り離し)

・実際のアタッチ・マウント例

xen-create-imageで作成したCUIベースDomaiunU(Ubuntu 8.04)の日本語GUI化
xen-create-imageコマンドで作成したDomaiunUのUbuntu 8.04は以下のようになっています。
(1)ユーザインタフェースはCUI(Command User Interface)だけです。
(2)デフォルトの言語は英語です。

CUIベースのDomaiunU(Ubuntu 8.04)にGUIパッケージを導入してVNCクライアントやXサーバからXDMCP接続して利用する手順は以下の通りです。

DomainUの起動
# xm create -c parau804.cfg
rootでログインします。
rootパスワードの設定
GDMでrootでログインする際のパスワードをまず設定します。
# passwd root
Enter new UNIX password: **********
Retype new UNIX password: **********
ubuntu-desktop-jaのインストール
# vi /etc/apt/sources.list
下記の2行を追加します。
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja hardy/
deb http://archive.ubuntulinux.jp/ubuntu-ja hardy-ja/
# apt-get update
(GPGの警告エラーが表示されますが無視して構いません)
# apt-get install ubuntu-desktop-ja
(各種日本語言語パック, 日本語フォント, 日本語入力ソフト等がインストールされます)

VNC/Xサーバ接続用グラフィカルログインへの対応化
ここでは「仮想フレームバッファ(Ubuntu 8.04編)」に記載されている操作相当のことを行います。
# apt-get install gdm
# apt-get install xinetd
# apt-get install xvfb
※/etc/X11/xorg.confの作成は不要です。
# apt-get install vnc4server

# vi /etc/gdm/gdm.conf-custom
以下のように設定します。

[daemon]
RemoteGreeter=/usr/lib/gdm/gdmgreeter
StandardXserver=/usr/X11R6/bin/Xvfb

[security]
AllowRoot=true
AllowRemoteRoot=true
DisallowTCP=false

[xdmcp]
Enable=true

[gui]

[greeter]

[server-Standard] ※このセクション自体を追加して以下の行を指定します。
command=/usr/X11R6/bin/Xvfb

# vi /etc/gdm/gdm.conf
[servers]セクションの中を以下のように変更します。
0=Standard device=/dev/console を「#0=Standard device=/dev/console」に変更。

# vi /etc/services
「vncserver1 5901/tcp」行を追加します。

# vi /etc/xinetd.d/vncserver1 ※新規作成ファイル

service vncserver1
{
  disable = no
  socket_type = stream
  wait = no
  user = nobody
  server = /usr/bin/Xvnc
  server_args = -inetd -query localhost -once -geometry 1024x768 -depth 16 securitytypes=none -extension XFIXES
}

【補足】
※1 vncサービス名は/etc/servicesに指定した値と同じにします。
※2「-query localhost」指定：VNC接続時は自動的にXDMCP接続となってグラフィカルログイン画面が表示されます。
※3「-once」指定：VNC接続が切れるごとにVNCサーバを再度自動起動するようになります。
※4「-extension XFIXES」は必ず指定します。

# apt-get install xfs
# vi /etc/X11/fs/config
「no-listen = tcp」を「# no-listen = true」に変更(コメント化)。

# shutdown -h now

DomainUの再起動
# xm create -c parau804.cfg
rootでテキストログインします。
GUI系パッケージのピックアップインストール
# apt-get install xnest ※ 必須ではありません
# apt-get install human-theme
# apt-get install ubuntu-gdm-themes
# apt-get install gtk2-engines*
# apt-get install gnome-art gnome-icon-theme gnome-themes
# apt-get install ubuntu-artwork
# apt-get install gnome-panel gnome-applets
# apt-get install gnome-accessibility-themes
# apt-get install fast-user-switch-applet
# apt-get install nautilus*
# apt-get install metacity
# apt-get install gnome-terminal
# apt-get install gedit
# apt-get install gimp # apt-get install firefox
# apt-get install openoffice.org

# vi /etc/default/locale
下記2行から成る新規ファイルとして保存します(GDMのメニューをデフォルトで日本語化できます)。
LANG="ja_JP.UTF-8"
LANGUAGE="ja_JP:ja:en_GB:en"

# shutdown -h now
VNC/Xサーバ接続の確認
DomaiunU(Ubuntu 8.04)を起動してVNC/Xサーバ接続の確認を行います。
(1)VNC接続確認
Domain0側のUbuntu 8.04のリモートデスクトップビューワ(VNCクライアント)からVNC接続してGDMログイン後にデスクトップ操作できます。
リモートデスクトップビューワでは「ホスト名：parau804, ポート番号：5901」を指定して接続します。
尚、Domain0側との時刻合わせは[システム]－[システム管理]－[時刻と日付の設定]でのタイムゾーンで[Asia/Tokyo]を選択すればOKです。
・リモートデスクトップビューワによるデスクトップ操作の様子
(2)Xサーバ接続確認
Windows上のXサーバからXDMCP接続してGDMログイン後にデスクトップ操作できます。
・Xサーバによるデスクトップ操作の様子

通常カーネルへのブート切り替え
# cp /etc/X11/xorg.conf.nvidia /etc/X11/xorg.conf
# mv /usr/sbin/NetworkManager.disabled /usr/sbin/NetworkManager
# reboot
リブートしてGRUBメニューで通常カーネルをブートします。
通常カーネルへの切り替え後、Compiz Fusion、ネットワーク等問題なく使用できます。

Ubuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDの利用
2008年7月26日にUbuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDがリリースされました。
Ubuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDはXenに関して以下の点が改善されました。
(1)XenのゲストOSとしてライブ実行できるようになりました。
(2)PYGRUBでPV(Para-Virtualized：準仮想化)ゲストを起動できるようになりました。
Ubuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CD(以下、Ubuntu 8.04.1)についてはWubiを使用せずに実パーティションにインストールしました。

Ubuntu 8.04.1へのXen導入
Ubuntu 8.04.1へのXen導入手順はUbuntu 8.04の場合と同じです。

HVMドメインのゲストOSとしてのライブ実行
KNOPPIX 5.1.1をHVMドメインでライブ実行させた手順と同じ要領でUbuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDをライブ実行できます。
※Ubuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDのisoファイル名はubuntu-ja-8.04.1-desktop-i386.isoです。
KNOPPIX 5.1.1の場合と重複した記述になりますがライブ実行手順は以下の通りです。
(1)ダミーの仮想ディスクの作成とフォーマット
# dd if=/dev/zero of=/root/mydisk.img bs=1M seek=10240 count=1
# mkfs.ext3 -F /root/mydisk.img (LiveCDからワーク用に利用できるようにフォーマットしておきます)
(2)LiveCD対応HVMドメイン用設定ファイルの作成
/etc/xen/xmlivecd.hvmを以下の内容で作成します(SDLモードではVNCモードと違ってマウス、キーボード操作上の問題はありません)。

(3)XenManの利用
XenManを起動して [File]－[Open VM Config File]で/etc/xen/xmlivecd.hvmを読み込みます。
Ubuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDをDVD/CD-ROMドライブにセットし、XenMan上のその仮想マシンを選択して＜Start＞ボタンを押します。
これでUbuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CDが起動してネットワークも問題なく利用できます。
※構成ファイルではhdaを指定していますがこのHVMドメインゲストの中ではsdaとして認識されています。
・HVMドメインでのUbuntu 8.04.1日本語ローカライズドDesktop CD実行例

KVMドメインのゲストOSとしてのライブ実行
Ubuntu 8.04.1のライブ実行はKVMドメインのゲストOSとしてUbuntu 8.04.1をインストールする過程で動作確認できます。
但し、ネットワークを問題なく使用するためにはライブ実行中にNetworkManagerを無効にする必要があります(その手順は後述)。
※Ubuntu 8.04.1のXen環境では「Create a new virtual system」ウィザードでHVMドメインゲストを作成することはできません(losetup failed発生)。
しかしそのウィザードで作成したKVMドメインゲストをHVMドメインゲストとして実行することは可能です(後述します)。
- 「Create a new virtual system」ウィザードの起動と設定
  (1)仮想マシンマネジャのlocalhost qemuに接続します。
  (2)localhost qemuを選択して＜新規＞で「Create a new virtual system」ウィザードを起動します。
  (3)「Create a new virtual system」ウィザードでは以下の設定をします。
  ・System Name：kvmubt8041
  ・Virtualization method：Fully Virtualized(これしか選択できません)
  ・installation media：Ubuntu 8.04.1のCDをセットして[CD-ROM or DVD]を選択
  ・network：Shared physical deviceとしてpeth0を選択
  ・File Location：/guest/kvmubt8041flat4gb.img(事前に用意した仮想ディスク用4GB固定サイズのファイル)
  ・memory：512MB
  ・VCPU：1
  サマリ情報はこちらです。
  ＜Finish＞ボタンを押すとUbuntu 8.04.1のメニューが表示されます。
  メニューでは[コンピュータに変更を加えないでUbuntuを使ってみる]を選択します。
  やがてプログレスバーが表示されて見慣れたLiveデスクトップが表示されます。
- Liveデスクトップでのネットワーク利用
  この時点のLiveデスクトップのネットワークアイコンには「!」マークが付いていてネットワークが利用できません。
  
  そこで以下の操作を行ってネットワークを利用可能にします。
  (1)NetworkManagerの無効化
  # sudo mv /usr/sbin/NetworkManager /usr/sbin/NetworkManager.disabled
  # ps aux|grep NetworkManager
  /usr/sbin/NetworkManagerと/usr/sbin/NetworkManagerDispatcherのプロセスIDを確認します。
  # killで/usr/sbin/NetworkManagerと/usr/sbin/NetworkManagerDispatcherのプロセスを終了させます。
  (2)ネットワークの設定
  [システム]－[システム管理]－[ネットワーク]で有線接続の設定を行います(通常はDHCPを選択)。
  インタフェースの設定変更が行われてネットワークが利用可能となります。
  下記はネットワーク利用ができるようになったLiveデスクトップの様子です。
  (NetworkManagerを無効にしているためGNOMEパネルにはネットワークアイコンは表示されません)
KVMドメイン用ゲストのインストールと設定
(1)Liveデスクトップ上の「インストール」アイコンをダブルクリックしてインストーラを起動します。
(2)インストーラでは言語選択、タイムゾーン設定、キーボードレイアウト設定に続いてパーティション設定を行います。
今回は4GBすべてを/dev/sda1パーティションとして割り当てました(swapパーティションなし)。
(3)ユーザアカウント(ubuntu)を定義してインストールの準備が完了します。
(4)＜インストール＞ボタンを押すとパッケージのインストール、システム設定、ブートローダのインストールが行われます。
(5)インストール完了後再起動します。
(6)仮想マシンマネジャに登録されたKVMドメインゲストを起動して＜開く＞でKVMドメインゲストが表示されますのでGDM画面でログインします。
KVMドメインゲストではNetworkManagerを無効にしなくてもネットワークが利用可能です。

(7)tlsライブラリの無効化
# mv /lib/tls /lib/tls.disabled
(8)sshサーバのインストール
# apt-get install openssh-server
(9)[システム]－[システム管理]－[ログイン画面]でXDMCP接続を許可する設定を行います。
必要に応じてrootで日本語デスクトップが使用できるように追加設定も行います(LANG設定等)。
(10)KVMドメインゲストはそのゲストの中でshutdownしてもそのドメインは消滅しないという不具合が残っているようです。
ps auxでqemu-dmのプロセスIDを確認してkillコマンドでそのプロセスを終了させるとそのドメインがShutoffステータスになります。

補足：KVMドメインゲストのHVMドメインゲストとしての実行
余談ですがここでは上記KVMドメインゲストをHVMドメインゲストとして実行する方法を紹介します。
(1)HVMドメインゲスト実行用構成ファイルの作成
HVMドメインゲスト実行用構成ファイル(/etc/xen/hvmubt8041)を作成します。
# vi /etc/xen/hvmubt8041
下記の内容で作成します(SDL使用を宣言します)。

name = "hvmubt8041"
builder = "hvm"
memory = 768
disk=['tap:aio:/guest/kvmubt8041flat4gb.img,hda,w','phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r']
vif=['type=ioemu,mac=00:16:3e:07:bf:fb,bridge=eth0'] # KVMでのMACアドレスに合わせます
device_model = "/usr/lib/xen/bin/qemu-dm"
kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader"
sdl=1
pae=1

(2)HVMドメインゲストの起動
# xm create hvmubt8041 ※「-c」を付けると「xenconsole: Could not read tty from store: No such file or directory」エラーとなります。
※最初に表示されるブート画面でEscキーを押すとGRUBメニュー画面を表示できます。
(3)GDM画面でログインします。
(4)デスクトップでネットワークも利用できます。
※構成ファイルではhdaを指定していますがこのHVMドメインゲストの中ではsdaとして認識されています。

KVMドメインゲストのPVゲスト化
本題のKVMドメインゲストのPVゲスト化の話に戻します。
KVMドメインゲストのPVゲスト化はKVMドメインゲストにXenカーネルを導入してPYGRUBでそのXenカーネルがブートされるように設定すればOKです。
具体的にはKVMドメインゲストを起動して以下の操作でXenカーネルを導入します。
# apt-get install linux-image-xen
# vi /boot/grub/menu.lst
以下の内容を先頭エントリに追加してデフォルト起動するようにします。

title		Ubuntu 8.04.1, kernel 2.6.24-19-xen
root		(hd0,0)
kernel		/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen root=UUID=1652205d-0876-41e0-8b3f-f6c162afd7f3 ro quiet splash
initrd		/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen
quiet

KVMドメインゲストを終了させます。

次に、PVゲスト化したドメインをPYGRUBで起動させる構成ファイル(/etc/xen/pvubt804)を作成します。
# vi /etc/xen/pvubt8041
下記の内容で作成します。

name = "pvubt8041"
uuid = "1652205d-0876-41e0-8b3f-f6c162afd7f3" # GRUBでのUUIDに合わせます
memory = 768
vcpus = 1
bootloader = "/usr/bin/pygrub"
on_poweroff = "destroy"
on_reboot = "restart"
on_crash = "restart"
vfb = [ "type=vnc,vncunused=1" ]
disk = [ "tap:aio:/guest/kvmubt8041flat4gb.img,xvda,w" ]
vif = [ "mac=00:16:3e:07:bf:fb,bridge=eth0" ]
extra = '2 console=xvc0'

PVゲスト化したドメインは以下のコマンドで起動します。
# xm create -c pvubt8041
これによって下記のようなpyGRUBメニュー画面が表示されますがデフォルトでPVゲストがそのゲスト中のXenカーネルで起動されます。

起動したPVゲストには「Xnest -query PVゲストアドレス :1」でXDMCP接続できます(Windows環境のXサーバからも接続可)。
XDMCP接続後のGDM画面でログインしてデスクトップを操作します。

PVゲスト化したKVMドメインゲストのKVMドメインとしての起動
仮想マシンマネジャにあるKVMドメインゲストを起動すると仮想マシンコンソールの中でESCキーを押してGRUBメニューを表示できます。
そのGRUBメニューで通常カーネルを選択するとKVMドメインとして起動できます(Xenカーネルを選択してのブートはできません)。
PYGRUBの脆弱性とその対策
上記のようにXenカーネルを導入したKVMドメインゲストは本来のKVMドメインゲストとして起動したりPYGRUBでPVゲストとして起動することもできます。
しかしPYGRUBには大きな脆弱性もあります。
PYGRUBはPVゲストディスク内のGRUBメニューを表示して、そこで選択されたXenカーネルをroot権限でDomain0側にコピーして実行できるようにしています。
もしDomain0に危害を与えるようなXenカーネルがPVゲスト内に組み込まれている場合その危険なXenカーネルがDomain0で実行されることになります。
PVゲスト内のXenカーネルをDomain0にコピーせずに起動する対策はXen 3.3でのPV-GRUB機能としてサポートされることになります。

相異なるXenバージョン同士でのPVゲストの実行
Ubuntu 8.04.1を使用した上記のPVゲスト実行例は同じXen 3.2同士の同じXenカーネルを使用したものです。
しかしPYGRUBの仕組みを利用する場合は相異なるXenバージョン間でPVゲストを実行することが可能です。

Xen 3.2環境でのXen 3.3 PVゲストの実行例
CentOS 5.2に導入したXen 3.3環境のvirt-installで作成したXen 3.3 PVゲスト(CentOS 5.2)をUbuntu 8.04.1のXen 3.2環境上で実行してみました。
(1)PVゲスト用構成ファイル(/etc/xen/upvcent52.cfg)の内容は以下の通りです。

name = "upvcent52"
memory = 512
vcpus = 1
bootloader = "/usr/bin/pygrub"
disk = [ "tap:aio:/guest/x33pvcent52flat4gb.img,xvda,w" ]
vif = [ "mac=00:16:3e:4c:c4:43,bridge=eth0" ]
on_poweroff = "destroy"
on_reboot = "restart"
on_crash = "restart"
extra = "5 console=xvc0"

(2)CentOS 5.2(PVゲスト)の起動コマンド
# xm create -c upvcent52.cfg

(3)下記はそのUbuntu 8.04.1上でのCentOS 5.2(PVゲスト)実行の様子です。
※XnestでCentOS 5.2(PVゲスト)に接続しています。

Xen 3.1環境でのXen 3.2 PVゲストの実行例
Xen 3.1のXenServer 4.1環境でXen 3.2のPVゲスト(Ubuntu 8.04)を作成して実行してみました(Xサーバでのデスクトップ操作)。
※XenCenterでXenServer 4.1環境にHVMゲストとしてUbuntu 8.04をインストールし、そのUbuntu 8.04にXen 3.2カーネルを導入してPVゲスト化しました。

[追補]KVMドメインゲストの多種環境での実行方法
KVMドメインゲストはQEMU, HVM, PVドメインでも実行させることができます。
ご存じのようにKVMドメインゲストのインストール方法には以下の2種類あります。
(1)通常カーネル環境でのKVMドメインゲストのインストール
domain typeは「kvm」となり、ネットワークタイプはTAPとなります(IPアドレスは192.168.xx.yy形式)。
(2)Xenカーネル環境でのKVMドメインゲストのインストール
domain typeは「qemu」となり、ネットワークタイプはBridgeとなります(IPアドレスはホストOSの体系となります)。
※domain type等を記述したKVMドメインゲストの構成ファイルは/etc/libvirt/qemu/直下に自動作成されます。
共に仮想マシンマネジャのlocahost qemuの＜追加＞によって起動される「Create a new virtual system」ウィザードでインストールできます。

尚、domain typeやネットワークタイプの違いによって以下の制限が生じます。
・通常カーネル環境でのインストールしたKVMドメインゲストはXenカーネル環境では起動できません(domain typeのエラーとなります)。
・Xenカーネル環境でのインストールしたKVMドメインゲストは通常カーネル環境では起動できません(TAPインタフェースの追加エラーとなります)。

ここでは通常カーネル環境でのインストールしたKVMドメインゲストを多種環境で実行させる手順を紹介します。
※一部上述した記述と重複します。

基になるKVMドメインゲストのインストール
(1)通常カーネル環境で仮想マシンマネジャを起動して、localhost qemuに対する＜追加＞でKVMドメインゲストをインストールします。
・仮想マシンのインストール設定情報
(2)KVMドメインゲストを仮想マシンマネジャから起動して「apt-get install linux-image-xen」を実行します。
(3)KVMドメインゲストの中で/boot/grub/menu.lstにXenカーネル使用エントリを追加します(そのサンプルは下記参照)。

title		Ubuntu 8.04.1, kernel 2.6.24-19-xen
root		(hd0,0)
kernel		/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen root=UUID=906e293e-9e84-4f04-a559-908a75ac020d ro quiet splash
initrd		/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen
quiet

(4)ネットワークの設定はDHCPとします。
(5)必要に応じてXDMCPの許可設定、rootログイン許可設定をします。

通常カーネル環境のQEMUでの実行
以下のコマンドでQEMUによる仮想マシン起動を行います。
※IPアドレスは10.0.2.xxが割り当てられます。

/usr/bin/qemu -M pc -no-kqemu -m 512 \
-boot c -hda /guest/anyubt8041flat4gb.img -cdrom /dev/scd0 \
-net nic,macaddr=00:16:3e:6c:2e:95 \
-net user &

・通常カーネル環境のQEMUで起動した仮想マシンのデスクトップ例
Xenカーネル環境のQEMUでの実行
以下のコマンドでQEMUによる仮想マシン起動を行います。
※IPアドレスは10.0.2.xxが割り当てられます。

/usr/bin/qemu -M pc -no-kqemu -m 512 \
-boot c -hda /guest/anyubt8041flat4gb.img \
-net nic,macaddr=00:16:3e:6c:2e:95 \
-net user -name "on Xen" &

・Xenカーネル環境のQEMUで起動した仮想マシンのデスクトップ例

Xen HVMドメインでの実行
下記内容の構成ファイル(/etc/xen/xenanyu8041)を作成します。

name = "hvmanyu8041"
builder = "hvm"
memory = 768
disk=['tap:aio:/guest/anyubt8041flat4gb.img,hda,w','phy:/dev/cdrom,hdc:cdrom,r']
vif=['type=ioemu,mac=00:16:3e:6c:2e:95,bridge=eth0']
device_model = "/usr/lib/xen/bin/qemu-dm"
kernel = "/usr/lib/xen/boot/hvmloader"
sdl=1
pae=1

以下のコマンドでHVMドメインゲストを起動します。
# xm create xenanyu8041

・HVMドメインゲストとして起動した仮想マシンのデスクトップ例

PVドメインゲストとしての実行
下記内容の構成ファイル(/etc/xen/pvanyu8041)を作成します。

name = "pvany8041"
uuid = "906e293e-9e84-4f04-a559-908a75ac020d"
memory = 768
vcpus = 1
bootloader = "/usr/bin/pygrub"
on_poweroff = "destroy"
on_reboot = "restart"
on_crash = "restart"
vfb = [ "type=vnc,vncunused=1" ]
disk = [ "tap:aio:/guest/anyubt8041flat4gb.img,xvda,w" ]
vif = [ "mac=00:16:3e:6c:2e:95,bridge=eth0" ]
extra = '2 console=xvc0'

以下のコマンドでPVドメインゲストを起動します。
# xm create -c pvanyu8041
pyGRUBで「Ubuntu 8.04.1, kernel 2.6.24-19-xen 」を選択してブートします。
PVドメインゲストにはXnestで接続してみました。

・PVドメインゲストとして起動した仮想マシンのデスクトップ例(GNOMEパネルの再描画中で一部表示抜けあり)

PV-GRUBによるゲスト起動例
PV-GRUBはXen 3.3から使用できます。
今回はCentOS 5.2 x64にXen 3.3を導入してPV-GRUBによるUbuntu 8.04.1の起動を行ってみました。

下記内容の構成ファイル(/etc/xen/pvgrubanyu8041)を作成します。

kernel = "/usr/lib/xen/boot/pv-grub-x86_32.gz"
name = "pvgrubanyu8041"
memory = 512
disk = [ 'file:/guest/anyubt8041flat4gb.img,hda,w' ]
vif = [ "mac=00:16:3e:6c:2e:95,bridge=xenbr0" ]
extra = "(hd0,0)/boot/grub/menu.lst"

※「extra = "(hd0,0)/boot/grub/menu.lst"」はGRUB表示を可能とするための指定です。

以下のコマンドでPV-GRUBによるゲスト起動を行います。
# xm create -c pvgrubanyu8041
「Press `ESC' to enter the menu...」と表示されてEscキーを押すとPV-GRUBのGNU GRUBメニューが表示されます。
そのGRUBメニューで「Ubuntu 8.04.1, kernel 2.6.24-19-xen 」を選択してブートします。
PV-GRUBで起動したゲストにはXnestで接続して操作することができます。
(Xnestでの接続操作例の紹介はここでは省略します)

qemu-kvmによるゲスト起動例
Xenハイパバイザーが動作していない通常カーネル上のqemu-kvmでもこのゲスト起動ができます。
今回はFedora 9付属のqemu-kvmを使用してみました。
以下のqemu-kvmコマンドでゲスト起動を行います。
※ゲスト側のGRUBメニューでは通常カーネルを選択します。尚、IPアドレスは10.0.2.xxが割り当てられます。

/usr/bin/qemu-kvm -name "anyubt8041" -m 512 \
-smp 1 -monitor pty -no-acpi -boot c -hda /root/anyubt8041flat4gb.img \
-net nic,macaddr=00:16:3e:6c:2e:95,vlan=0 -net user,vlan=0

・Fedora 9のqemu-kvmで起動した仮想マシンのデスクトップ例

XennerによるPVゲストの実行
Xennerは通常カーネル上でXen準仮想化カーネルを実行させるXenエミュレータで使い方も簡単なツールです。
Xennerは通常カーネル環境のKVM上でXen準仮想化カーネルと共にKVMゲストとして動作します。
Fedora 9にはXenハイパバイザーが付属していますが動作しないものでありその代わりにXennerが付属しています。
(1)Xennerを実行するにはSELinux機能を無効にしておく必要があります。
※SELinux機能が無効でない場合xennerサービス起動時にvmcoreマウント不可エラーとなります。
(2)xennerサービスは手動起動もできますがsshdのように自動起動設定しておくと便利です。
(3)xennerコマンドはQEMUライクなオプション指定のコマンドです。
(4)ネットワークタイプはNAT型になります。
(5)Xennerによるゲストの実行

xennerコマンドの指定例
コマンド実行前に仮想ディスクからvmlinuz-2.6.24-19-xenとinitrd.img-2.6.24-19-xenを抜き出しておきます。
またNetworkManagerも無効にしておきます。
# mkdir anyubt8041
# mount -o loop,offset=32256 /root/anyubt8041flat4gb.img /mnt
# cp /mnt/boot/vmlinuz-2.6.24-19-xen /root/anyubt8041/
# cp /mnt/boot/initrd.img-2.6.24-19-xen /root/anyubt8041/
# mv /mnt/usr/sbin/NetworkManager /mnt/usr/sbin/NetworkManager.disabled
# umount /mnt
下記のコマンドを実行します。

/usr/bin/xenner -M xenner -m 512 -name anyubt8041 -boot c \
-kernel /root/anyubt8041/vmlinuz-2.6.24-19-xen \
-initrd /root/anyubt8041/initrd.img-2.6.24-19-xen\
-hda /root/anyubt8041flat4gb.img -xenconsole \
-append "root=UUID=906e293e-9e84-4f04-a559-908a75ac020d ro" \
-network 00:16:3e:6c:2e:95,virbr0

ゲストOSを起動しssh接続して操作している様子

(6)ゲストへのGUIログイン環境の構築(VNCサーバと仮想フレームバッファの導入)
VNCクライアントから実ビデオカードを持たないDomainU(Ubuntu 8.04)にXDMCP接続してGUI操作できるように仮想フレームバッファを導入します。
その詳細手順は「仮想フレームバッファ(Ubuntu 8.04編)」を参考にして下さい。
vncviewerを起動して「ゲストアドレス:1」指定でゲストOSのGDMログイン画面が表示されます。

Ubuntu 8.04.1のVMware VMI 3.0(paravirt-ops)対応確認
(1)従来はハイパバイザー上でゲストOSを準仮想化モードで実行する場合はそのゲストOS用のXenカーネルが必要でした。
(2)しかし通常のLinuxカーネルにparavirt-opsという準仮想化モード実行インタフェースを組み込むとそのLinuxカーネルをハイパバイザー上で実行できます。
(3)VMwareではこのparavirt-opsの実装をVMI(Virtual Machine Interface)と呼んでいます。
(4)ハイパーバイザー上でVMIを使用することで仮想マシンのパフォーマンスが向上します。
(5)Ubuntuの場合はその7.04(Feisty)以降、VMI(Virtual Machine Interface) 3.0対応カーネルになっています。
(6)今回はparavirt-ops確認用仮想マシン環境として2008年9月24日に正式リリースされたVMware Server 2.0(CentOS 5.2 x64上で実行)を使用してみました。
※VMware Server 2.0自体もx64版を使用しました。
(7)VMware Server 2.0ではRed Hat Enterprise Linux 5.x系とUbuntu 8.04系について準仮想化モードをサポートしています。
(8)VMI対応カーネルが準仮想化モードで実行されているかどうかは「dmesg|grep paravirt」で確認できます。
- VMware ServerのVMI Paravirtualizationオプションを有効にした場合の「dmesg|grep paravirt」結果(on vmi表示)
  (ゲストマシンのConfigure VMの「Advanced」タブで[Support VMI Paravirtualization]オプションをonにしておきます)
- VMware ServerのVMI Paravirtualizationオプションが無効(デフォルト)の場合の「dmesg|grep paravirt」結果(on bare hardware表示)
(9)Red Hat Enterprise Linux 5.x系とUbuntu 8.04系以外の扱い
Red Hat Enterprise Linux 5.x系とUbuntu 8.04系以外はVMI Paravirtualizationオプションを指定できないようになっています。
しかしparavirt-ops対応のものはゲストOS種別としてUbuntu Linuxを選択すればVMI Paravirtualizationオプションを指定できるようになります。
・VMI Paravirtualizationオプションを有効にしたFedora 9の「dmesg|grep paravirt」結果(on vmi表示)

(10)補足：VMware Server 2.0の主な特徴
・paravirt-ops(VMware VMI)動作モードサポート
・64ビット版ゲストOSの性能を引き出すための64ビット版VMware Serverのリリース
・Webベースの管理インタフェース(VMware Infrastructure Web Access)
・VMware PlayerベースのVMware Remote Console付属(Webブラウザ上にはゲストOSの画面は表示されません)
(Linux版Remote Consoleではアンダースコア入力不可ですがWindows版Remote ConsoleではOK)
・ゲストOSへの最大8GBメモリ割当サポート