オープンギャラリー：VMware Virtual Desktop Infrastructure 3.5 Update 1

VMware Virtual Desktop Infrastructure 3.5 Update 1

2008年4月30日にVMware Virtual Desktop Infrastructure 3.5 Update 1 日本語版がリリースされました。
VMware Virtual Desktop Infrastructure(VDI)はVMware ESX Server上にデスクトップOSをホスティングする仮想化製品です。
VDI 3.5 Update 1日本語版は以下のコンポーネントから構成されています。
・VMware ESX Server 3.5 Update 1(英語版) ※以下ESXサーバと略します
・Virtual Infrastructure Client 2.5(日本語版) ※以下VIクライアントと略します
ESXサーバ自体はRed Hat Enterprise Linux 3をベースにVMware独自の機能(仮想マシン管理、Webアクセス等)を大幅に追加したハイパーバイザ型OSです。
※ESXサーバのカーネルは64ビット版で、ESXサーバ自体はVMware Virtual Infrastructure 3.5 Update 1用と同じものです。
※またVIクライアントはWindows版専用です。VMware VirtualCenter Server 2.5にもVIクライアントは含まれています。
VDIはVMware Infrastructure 3.5 Update 1のサブセットでありVirtualCenterサーバを介さずにVIクライアントからESXサーバに直接接続します。

ここではVDIの導入、ゲストOS(Fedora 8)のインストール、ESXサーバ自体のデスクトップ化を中心に紹介します。
尚、今回使用したESXサーバマシンは実メモリ8GB、Core 2 Quad[Q6600]搭載マシンです。
(HDDは10000rpmのものを使用)

１．VDIの導入(ESXサーバのインストール)

ESXサーバ本体のインストール
ESXサーバをインストールできるマシンにはネットワークカード等に制限があります。
このためサポートするハードウェアリストでの事前確認が必要です。
またここでは他のOSの入っていないHDD(または完全にデータ抹消されても構わないHDD)にESXサーバ本体をインストールします。
尚、後述するようにESXサーバに日本語GNOME環境を導入してESXサーバマシンで直接GUI操作をするにはUSB接続のマウスが必要となります。
- ESXサーバ本体のブータブルCDからのブート
  インストーラは終始英語です。
- 「CD Found」画面
- 「Welcome to the ESX Server 3.5 Installer for the Enterprise」画面
  ここからGUIベースの画面になります。
- 「Select Keyboard」画面
  Japaneseを選択します。
- 「Mouse Configuration」画面
- 「End User License Agreement」画面
- 「Partioning Options」画面
  ここではESXサーバをインストールするディスクの選択とパーティション設定方法を指定します。
  今回は約70GBのSATAハードディスクをデフォルトの以下のパーティション構成で設定しました。
  (1)/dev/sda1：/bootパーティション)[約0.1GB]
  (2)/dev/sda2：/パーティション)[約5GB]
  (3)/dev/sda3：vmfs3形式のパーティション(仮想ディスクの格納パーティション)[約63GB]
  (4)/dev/sda4：以下を含む拡張領域
  (4-1)/dev/sda5：swapパーティション[約0.5GB]
  (4-2)/dev/sda6：/var/logパーティション)[約2GB]
  (4-3)/dev/sda7：vmkcore[約0.1GB]
- 「Advanced Options」画面
  ブートローダの設定画面ですがデフォルト(sdaのMBRへのブートローダ作成)のままで構いません。
- 「Network Configuration」画面
  ネットワークデバイスの選択、ネットワーク構成、ホスト名指定の画面です。
  VLAN IDを指定することも可能です。
  ＜Create a default network for virtual machines＞オプションは有効のままにしておきます。
  尚、ESXサーバではネットワークインタフェースはeth0ではなくvswif0が使用されます。
- 「Time Zone Selection」画面
  Asia/Tokyoを選択します。
- 「Account Configuration」画面
  rootユーザのパスワード設定と一般ユーザのアカウント作成画面です。
- 「About to Install」画面
  インストール設定内容の確認画面です。
- 「Installing Packages」画面
  rpmパッケージのインストール進捗を表示する画面です。
  パッケージの選択はできません。
  パッケージのインストールは5分程度で完了します。
- 「ESX Server 3.5 Installer Complete」画面
  ここで＜Finish＞を押すと自動再起動されます。
- インストールされたパッケージ一覧

GRUBメニュー
GRUBメニューでは通常「VMware ESX Server」(デフォルト)を選択します。

/boot/grub/grub.confにおける「VMware ESX Server」エントリ定義は以下のようになっています。
※ESXサーバマシンには8GBのメモリを搭載していますがESXサーバ本体には272MBのメモリしか割り当てられていません(残りはゲストOS用)。

title VMware ESX Server
        #vmware:autogenerated esx
        root (hd0,0)
        uppermem 277504
        kernel --no-mem-option /vmlinuz-2.4.21-47.0.1.ELvmnix ro root=UUID=xxxxxxxx-xxxx-xxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx mem=272M
        initrd /initrd-2.4.21-47.0.1.ELvmnix.img

ブート確認
デフォルトのVMware ESX Serverが起動することを確認します。
VMware ESX Server 3 Sevice Console(コンソール画面)にブート中の各種メッセージが表示されます。
起動完了画面
VMware ESX Serverの起動が完了するとWebアクセス(構成はApache+Tomcat)のためのURL情報がコンソール画面に表示されます。
Alt+F1キーでテキストログイン画面に切り替えることができます。
その逆はAlt+F11キーです。
テキストログインプロンプト
rootユーザでログインします。
通常はここですることは特にはありません。
VMware ESX Serverの独自のファイアウォール設定によりESXサーバから他のマシンに接続(ftp等)することはほとんどできません。
尚、ESXサーバへのssh接続はできるようになっています。
※通常はここではログインせずにWindowsマシンにインストールするVIクライアントからESXサーバに接続/インベントリロードして利用します。

２．VDIの導入(VIクライアントのインストール)

Windows環境(ここではWindows XP)へのVIクライアントのインストールとESXサーバへの接続手順は以下の通りです。

VIクライアントのインストール手順
- VIクライアントインストーラの起動
  まずLocalized language pack for ESX Server(VMware-ESXlangpack-2.5.0-85586.zip)を適当なディレクトリに解凍します。
  解凍されたesx\docroot\client\VMware-viclient-global.exe(VIクライアントインストーラ)を起動します。
- セットアップ言語の選択
  日本語（デフォルト）を選択します。
- 警告表示
  VIクライアント(VMware Infrastructure Client 2.5)はMicrosoft .Net Framework 2.0を必要とします。
  Windows環境にMicrosoft .Net Framework 2.0がインストールされていなければそれも自動インストールする旨の警告メッセージが表示されます。
- VMware Infrastrucuture Client 2.5のインストールウィザードへようこそ
- 使用許諾契約書
  同意します。
- ユーザー情報
  ユーザー名と組織名(必須)を指定します。
- インストール先フォルダ
  デフォルトのまま＜次へ＞。
- プログラムのインストール準備完了
  ＜インストール＞ボタンをクリックします。
- ファイルコピー
  最初にMicrosoft .NET Framework 2.0がインストールされます。
  その後VIクライアントの新規ファイルがコピーされます。
  そのコピー後にupdate分がインストールされます。
- インストールの完了
デスクトップ上のVMware Infrastrucure Clientアイコン起動
VMware Infrastructure Clientのログイン画面
ログイン画面で下記を指定します。
IPアドレス/名前：ESXサーバのアドレス(例：esx35)
ユーザー名：root
パスワード：rootユーザのパスワード

＜ログイン＞ボタンをクリックします。
セキュリティ警告ダイアログ
ESXサーバに署名されたCAルート証明書が無ければ信頼できないSSL証明書に関するセキュリティ警告が表示されます。
＜無視＞ボタンで先に進みます。
接続
ESXサーバに接続されてインベントリがロードされます。
ESXサーバ概要情報表示
VIクライアント画面でESXサーバホスト名(例：esx35.mydomain.net)を選択するとESXサーバ情報を表示できます。
※評価版使用期間中は残り日数が表示されます。
下記はESXサーバホストの概要(サマリ)表示例です。

３．仮想マシンの定義例(Fedora 8用)

VDIでは仮想マシンのゲストOSとして64ビット版デスクトップOSもサポートしています。
但しここでは32ビット版Fedora 8の仮想マシン定義例を紹介します。

新規仮想マシン作成の開始
VIクライアント画面のESXサーバホストの右クリックメニューから[新規仮想マシン]を選択します。
「新規仮想マシンウィザード」の開始
仮想マシンの名前と場所
(1)仮想マシンの名前：vifedora8
(2)仮想マシンフォルダの場所：ESXサーバホストに直接接続するVIクライアントでは指定できません。
仮想マシンのデータストアの選択
ここでは仮想マシンのデータストア(仮想ディスクの格納先)をデフォルトの「esx35:storage1」のままとします。
ゲストOSの選択
(1)ゲストOS：Linuxを選択
(2)バージョン：Other Linux (32-bit)を選択
仮想CPU数：1(デフォルト)
メモリ：512MB指定
ネットワークの選択
(1)NIC数：1を選択(なし、1、2、3、4から選択可能)
(2)NIC 1：VM Network(アダプタはフレキシブル)を選択(ブリッジ型のネットワークとなります)
I/Oアダプタの選択：SCSI LSI Logic(デフォルト)
ディスクの選択
＜新規仮想ディスクの作成＞を選択します。
ディスク容量及び場所
(1)ディスクサイズ：8GB(デフォルト)
※最初から8GBサイズの容量固定の仮想ディスクファイル(vifedora8-flat.vmdk)が作成されます。
(2)ロケーション：仮想マシンで保存(デフォルト)
ディスク詳細オプション
仮想デバイスノードとして「SCSI(0:0)」を選択します。
新規仮想マシンの設定完了
設定内容の確認画面が表示されます。

４．仮想マシンへのゲストOS(Fedora 8)のインストール例

ここでは32ビット版Fedora 8のインストールDVDをESXサーバマシンにセットしてインストールする例を紹介します。

仮想マシン設定の編集(CD/DVDドライブ設定)
VIクライアント画面の仮想マシン(vifedora8)の「概要」タブの[設定の編集]を開きます。
「vifedora8 - 仮想マシンのプロパティ」ウィンドウで下記を指定します。
(1)CD/DVD Drive1：ホストデバイス(/dev/scd0)
(2)＜パワーオン時に接続＞を有効にします。
仮想マシンのパワーオン
VIクライアント画面の仮想マシン(vifedora8)を選択して[パワーオン]を実行します。
仮想マシンコンソールの表示
VIクライアント画面の仮想マシン(vifedora8)を選択して「コンソール」タブを選択します。
この「コンソール」タブにゲストOSのインストーラ画面が表示されます。
ゲストOSのインストール実行を開始します。
通常のインストールと同じ要領で実施します。
「Disc Found」
「What language」～ブートローダ設定
通常のインストールと同様。
ネットワークの設定
ブリッジ型ネットワークの設定で構いません。
タイムゾーンの設定以降
通常のインストールと同様。
パッケージのインストール
インストール完了
ゲストOSの自動再起動
「ようこそ」画面以降
通常のインストールと同様。
ゲストOSの自動再起動
GDM画面
rootでログインします。
ゲストOS(Fedora 8)のデスクトップ

ゲストOS(Fedora 8)のデスクトップ解像度変更は[システム]－[管理]－[ディスプレイ]メニューから行うことができます。
尚、ゲストOSからESXサーバにVMware Webアクセスした様子はこちらです。

５．ESXサーバ自体への日本語GNOME環境の導入

ESXサーバにインストールしたゲストOSについてはVIクライアントのコンソール画面から操作できます。
またゲストOSにXDMCPの設定を行うことで他のマシンからもそのゲストOSを操作することもできます。
しかしESXサーバをGUI操作し、かつESXサーバのデスクトップからゲストOSを起動できるようにしたいというニーズもあるかもしれません。
そのようなニーズに応えるためにESXサーバ自体にyumコマンドで日本語GNOME環境を導入する手順を以下に紹介します。
(yumコマンドでインストールするrpmパッケージはCentOS用のミラーサーバから取得する前提にしています)
尚、ESXサーバに日本語GNOME環境を導入してESXサーバマシンで直接GUI操作をするにはUSB接続のマウスが必要となります。

wgetパッケージのインストール
ESXサーバにはwgetパッケージが含まれていません。
そこで今後の操作のためにwgetパッケージをまずインストールします。
ESXサーバとは別マシンで以下のサイトからwget-1.10.2-0.30E.i386.rpmをダウンロードしてftp公開できる場所に格納します。
ダウンロードサイト例：http://ftp.iij.ad.jp/pub/linux/centos/3.6/os/i386/RedHat/RPMS/

ESXサーバ側で以下の操作をしてwgetをインストールします。
# esxcfg-firewall -U ※ファイアウォールの一時的解除(ESXサーバでftpクライアントを使用するためにも必要)
# 別マシンでダウンロードしたwget-1.10.2-0.30E.i386.rpmをftpでgetします。
# rpm -ivh wget-1.10.2-0.30E.i386.rpm
yum実行環境の構築
ESXサーバ自体にもyumコマンドはありますがここではCentOS用のミラーサーバからパッケージを取得・インストールする環境を構築します。
# cp /etc/redhat-release /etc/redhat-release.org
# wget http://ftp.iij.ad.jp/pub/linux/centos/3.6/os/i386/RedHat/RPMS/centos-release-3-9.1.i386.rpm
# wget http://ftp.iij.ad.jp/pub/linux/centos/3.6/os/i386/RedHat/RPMS/yum-2.0.8-2.centos3.noarch.rpm
# rpm -ivh --force centos-release-3-9.1.i386.rpm
※これによって/etc/redhat-releaseの内容が「Red Hat Enterprise Linux ES release 3 (Taroon)」から「CentOS release 3.9 (Final)」に変化します。
# rpm -ivh --force yum-2.0.8-2.centos3.noarch.rpm
# rpm --import /usr/share/doc/centos-release-3/RPM-GPG-KEY-CentOS-3
インストールされているパッケージ全ての一括アップデート
# yum update
日本語GNOME環境の導入
パッケージの依存関係の制約を考慮して以下の手順で日本語GNOME環境を導入します。
# wget http://ftp.iij.ad.jp/pub/linux/centos/3.6/os/i386/RedHat/RPMS/openssh-3.6.1p2-33.30.14.i386.rpm
# rpm -ivh --force openssh-3.6.1p2-33.30.14.i386.rpm
# yum groupinstall "X Window System" ※firstbootやgimp-printも含みます

# wget http://ftp.iij.ad.jp/pub/linux/centos/3.6/os/i386/RedHat/RPMS/gnome-python2-applet-1.99.14-5.i386.rpm
# rpm -ivh --nodeps --force gnome-python2-applet-1.99.14-5.i386.rpm
# yum groupinstall "GNOME Desktop Environment"

# yum install fonts* ※fonts-jaを含みます
# yum install ttfonts-ja

# yum install man-pages-ja

# yum install Canna
# yum install kinput2-canna-wnn6

# yum install seamonkey ※mozillaブラウザ

# yum install gimp gimp-data-extras
/etc/sysconfig/i18nの変更
# vi /etc/sysconfig/i18n
[変更前]
LANG="en_US.UTF-8"
SYSFONT="latarcyrheb-sun16"
[変更後]
LANG="ja_JP.UTF-8"
SYSFONT="latarcyrheb-sun16"
SUPPORTED="ja_JP.UTF-8:ja_JP:ja"
/etc/inittabの変更
再起動後に「ようこそ」画面がGUIモードで表示されるように/etc/inittabを変更します。
# vi /etc/inittab
id:3:initdefault:の「3」を「5」に変更します(ランレベルの変更)。
ランレベル5用のサービス設定
ESXサーバのサービスの多くはランレベル5での自動起動設定にはなっていません(ネットワーク起動含む)。
そこでランレベル5でも自動起動されるように以下のコマンドでサービスの自動起動設定をしておきます。

# chkconfig --level 5 mgmt-vmware on
# chkconfig --level 5 vmware on
# chkconfig --level 5 vmware-autostart on
# chkconfig --level 5 vmware-late on
# chkconfig --level 5 vmware-vmkauthd on
# chkconfig --level 5 vmware-webAccess on
再起動
この再起動でのStarting firstboot:でXの解像度設定画面が表示されます。
800x600の解像度のまま＜OK＞で/etc/X11/XF86Configが自動保存されます。
「ようこそ」画面
X設定画面の直後に日本語で「ようこそ」画面が表示されます。
ここは通常のインストールと同様の操作で構いません。
「セットアップを終了」画面で＜次へ＞をクリックするとGDM画面が表示されます。
但し、GDM画面ではマウス操作はできますが環境によってはキーボード入力ができないことがあります。
※通常はESXサーバマシンに直接触れてGUI操作するのではなく他のマシンのXサーバからESXサーバにXDMCP接続して利用します。
/etc/redhat-releaseの戻し
# cp /etc/redhat-release.org /etc/redhat-release
XDMCPの有効化
他のマシンのXサーバ等からESXサーバのデスクトップ操作ができるようにESXサーバについてXDMCPの有効化設定を行います。
# vi /etc/X11/gdm/gdm.conf
[xdmcp]セクション
Enable=falseをtrueに変更します。

[daemon]セクション
RemoteGreeter=/usr/bin/gdmloginを/usr/bin/gdmgreeterに変更します。

[security]セクション
AllowRemoteRoot=trueになっていることを確認します(falseの場合はtrueに変更します)。
再起動
ESXサーバを再起動します。
XDMCP接続準備
ランレベル5では自動で「gdm-binary -nodaemon」が起動されますがESXサーバのファイアウォールによってXDMCP接続が拒否されます。
そこでsshでESXサーバに接続して下記のコマンドを実行しておきます。
# esxcfg-firewall -U ※ESXサーバ再起動の都度必要です
これでESXサーバへのXDMCP接続ができる環境が整いました。
ESXサーバ実機のローカル利用
- ESXサーバ実機のデスクトップ上での仮想マシン起動
  ESXサーバのWebブラウザ(seamonkey)でhttp://localhostを開いて仮想マシンを起動できます。
  
  実寸画像はこちらです。
- ESXサーバ実機のXnestによる仮想マシンデスクトップ表示
  CentOS 3.x付属のWebブラウザではMKSプラグイン(vmware-mks.xpi)を組み込んでも仮想マシン画面を表示できません。
  そこで「Xnest -geometry 800x600 -query vifedora8 :1」コマンドで仮想マシン画面を表示します。

６．ESXサーバへのXDMCP接続操作

ESXサーバへのXDMCP接続
Windows側のXサーバでESXサーバにXDMCP接続して操作します。

Cannaによる日本語変換も問題なく行えます。
XnestによるゲストOS接続・操作
ESXサーバにXDMCP接続してMozilla(seamonkey)でhttp://localhostを開いてログインすることでESXサーバへのローカルWebアクセスが行えます。
(http://localhostページ内の＜Browse datastore in this host's inventory＞からリンクされたdatastoreページにゲストOS毎のvmx, vmdx, log等があります)

尚、Mozilla標準ではWebアクセスにおいてゲストOS画面を表示することはできません。
そこでESXサーバのデスクトップ上でXnestコマンドを使用することでゲストOSをGUI操作することが可能となります。

Xnestコマンドは例えば「Xnest -geometry 800x600 -query vifedora8 :1」のように使用します。

７．Windows側からESXサーバへのWebアクセス(ブラウザによる仮想マシン操作)

ESXサーバのWebアクセス機能はESXサーバのVMware-webCenter-esxパッケージで提供されます。
※VMware-webCenter-esxパッケージはApache, Tomcat, Javaプログラム等を含みます。
Webアクセスサービス(vmware-webAccess)はESXサーバブート時に自動起動されます。
ここではWindows XP側(IE6使用)からESXサーバにWeb接続して仮想マシン操作する手順を紹介します。

ブラウザからのESXサーバ接続
ブラウザ(IE6)から「http://ESXサーバアドレス」を指定すると「https://ESXサーバアドレス」ページが表示されます。
この「https://ESXサーバアドレス」ページはVMware ESX Server 3 Welcomeというページです。
ESXサーバへのWebログイン
VMware ESX Server 3 Welcomeというページの右側にある[Log in to Web Access]リンクをクリックしてログインページを表示します。
rootでログインします。
仮想マシンの起動
仮想マシン(vifedora8)を選択して画面右下にあるCommandsの中の[Power On]をクリックします。
MKSプラグインの導入
Webブラウザで仮想マシンの画面操作を行うにはMKS(vmware-mks)プラグインが必要となります。
※Linux用のMKSプラグイン(vmware-mks.xpi)もありますがそれを使用できるブラウザには制限があります。
「Console」タブに切り替えてMKSプラグインを導入します。
vmware-mks.cabをインストールするかどうかのダイアログで＜インストールする＞をクリックします。

これでMKSプラグインが導入されます。
※MKSプラグイン導入後に「Cannot connect to the virtual machine.」となった場合は[Try Again]クリックで仮想マシンに接続できます。
仮想マシン操作
MKSプラグイン導入後は「Console」タブで仮想マシンを表示・操作できます(まずGDMでログインします)。

Windows版Firefoxでも仮想マシンを操作できます(Firefoxでの操作の様子)。
仮想マシン操作時のサマリ情報
(1)ESXサーバでのサマリ情報表示例 ※VIクライアントとは異なりCPUとメモリの使用状況だけが表示されます
(2)仮想マシン自体のサマリ情報表示例
仮想マシンのシャットダウン
仮想マシンをシャットダウンすると「Console」タブにはPowered Offと表示されます。

８．64ビット版ゲストOS(CentOS 5)の利用

VDIでは64ビット版ゲストOSも使用できます。
ここでは64ビット版CentOS 5の仮想マシンを定義してそのOSをインストール/利用するポイントを紹介します。

64ビット版仮想マシン定義
(1)仮想マシンの名前：vicentos5x64
(2)ゲストOSのバージョン：Red Hat Enterprise Linux 5(64 ビット)を選択
(3)仮想プロセッサ数：2(デフォルトは1)
(4)メモリ：1536MB(デフォルトは256)
(5)ネットワークアダプタ：デフォルトのE1000を選択(拡張vmxnetはここでは選択しません)
64ビット版ゲスト用の標準ネットワークアダプタはE1000(Intel PRO/1000)となります。
※32ビット版ゲストではPCnet/PCI II 79C970Aを利用できます。
64ビット版ゲストOSのインストール
(1)32ビット版ゲストOSの場合と同様の手順でインストールできます。
(2)インストールするソフトウェアのセットでは「仮想化」は選択しないでおきます。
ESXサーバの中でXenのドメイン0カーネルは動作しますがネットワーク利用ができないようです。
・64ビット版ゲストOSインストールの様子
64ビット版ゲストOSの利用
64ビット版ゲストOS(CentOS 5)をデフォルトのランレベル5でブートしてもGDM画面は自動表示されません。
テキストログインプロンプトでrootでログインして「gdm-restart」コマンドを実行するとGDM画面が表示されます。
※本件はVMware Server 1.0.3に64ビット版ゲストOS(CentOS 5)をインストールした場合でも同じです。
再度そのGDM画面からrootでログインします。
ネットワークは問題なく利用できます。
・64ビット版ゲストOS(CentOS 5)のデスクトップ例
・64ビット版ゲストOS(CentOS 5)のサマリ情報表示
・ゲストOSを複数起動した状態での仮想マシン状態表示
VMware Toolsの導入(必須ではありません)
64ビット版ゲストOS(CentOS 5)へのVMware Toolsの導入手順は以下の通りです。
- 64ビット版ゲストOS(CentOS 5)の起動
- コンソールへのrootログイン
- VIクライアントの右クリックメニューの[VMware Toolsのインストール/アップグレード]実行
- コンソールでの下記コマンド実行
  # mount /dev/cdrom /mnt
  # rpm -ivh /mnt/VMwareTools-3.5.0-82663.i386.rpm
  # umount /mnt
  # vmware-config-tools.pl
  ・vmware-config-tools.pl実行で表示されるメッセージ
  ※VMware Toolsを導入しても元のネットワークアダプタ(E1000)はそのまま使用できます。
  尚、/etc/X11/xorg.confの内容は自動変更されます。
  # reboot
  ※VMware Toolsを導入しても「gdm-restart」コマンドでGDM画面を表示させる必要があります。
64ビット版CentOS 5のXenについて
64ビット版ゲストOS(CentOS 5)をインストールするソフトウェアのセットで「仮想化」を選択してドメイン0を起動するとネットワークが使用できません。
しかしVMware Server 1.0.3に64ビット版ゲストOS(CentOS 5)をインストールした場合にはそのドメイン0でネットワークが使用できます。
(VMware Server 1.0.3に64ビット版ゲストOS(CentOS 5)をインストールする場合のゲストOSのバージョンは「Red Hat Enterprise Linux 4 64-bit」を選択します)
・64ビット版CentOS 5のXen(ドメイン0)実行の様子※ネットワークアダプタはE1000(Intel PRO/1000)が使用されます
32ビット版CentOS 5のXenについて
32ビット版ゲストOS(CentOS 5)定義でのネットワークアダプタのデフォルトは「フレキシブル」(PCnet32 LANCE)です。
32ビット版ゲストOS(CentOS 5)をインストールするソフトウェアのセットで「仮想化」を選択してドメイン0を起動しても64ビット版同様にネットワークは使用できません。
ネットワークアダプタとして「拡張 vmxnet」を割り当て、kernel-xen-devel(ヘッダファイル含む)をインストールし、VMware-Toolsでvmxnet用ドライバを作成しても
Xen環境ではvmxnetでのネットワークは使用できません。

また32ビット版ゲストOS(CentOS 5)をデフォルトのランレベル5でブートしてもGDM画面は自動表示されません。
まずテキストログインプロンプトでrootでログインします(仮想プロセッサ数：4, メモリ：4GB指定のVM例)。
その後「gdm-restart」コマンドを実行するとGDM画面が表示されます。
仮想マシンの削除方法
仮想マシンの削除はVIクライアントで該当仮想マシンの右クリックメニューから[ディスクから削除]を実行すればOKです。

９．VMmark 1.1付属DBアプライアンスでのOLTP性能測定

2008年5月30日にVMware VMmark v1.1(VMmark 1.1)がリリースされました。
VMmarkはVMmark Kitと呼ばれるベンチマークパッケージ(VMmark-1.1-20080520.zip)とESX環境向け各種仮想サーバテンプレートから構成されています。
今回は仮想サーバテンプレートの中のDBアプライアンス(VMmark-DatabaseServerTemplate-1.1-20080520.tgz)を仮想マシンとして実行し、
MySQLのSysBenchを測定してみました。

DBアプライアンス(DBサーバ用仮想マシン)について
DBアプライアンスは10GBの固定サイズの仮想ディスクで、その中に64ビット版のSUSE Linux Enterprise Server 10 SP1が入っており、
MySQLはすぐに使用できる設定になっています。
この仮想マシン自体のリソース設定は以下のようになっています。
(1)仮想プロセッサ数：2個
(2)メモリ:2048MB
DBサーバ用仮想マシンの実行
まずESX3.5サーバの中で以下のように仮想マシンファイルを展開します。
# cd /vmfs/volumes/esx35\:storage1/
# tar zxvf VMmark-DatabaseServerTemplate-1.1-20080520.tgz
下記が展開されます。
database-template-1.1/
database-template-1.1/database-template-1.1.vmdk
database-template-1.1/database-template-1.1.nvram
database-template-1.1/database-template-1.1-flat.vmdk
database-template-1.1/database-template-1.1.vmx
database-template-1.1/database-template-1.1.vmxf
database-template-1.1/database-template-1.1.vmsd
database-template-1.1/readme.txt ※rooパスワードが「vmmark」である旨の記載もあります

VIクライアントでESXサーバの「構成」タブを開きesx35\:storage1をダブルクリックしてdatabase-template-1.1.vmxをインベントリに追加します。
※インベントリへの追加ウィザードで仮想マシン名を「database0」にします。
database0を起動し、必要に応じてネットワーク構成を変更(IPv6の無効化やIPv4ネットワークアドレス等の設定変更)します。
このDBサーバ用仮想マシンにはMySQLのtestというデータベースが存在しその中のsbtestテーブル(sysbench testの意味)は1000万件のレコードを持っています。

・DBサーバ用仮想マシンのデスクトップ上でのsbtestテーブルアクセス
・Windows(Cygwin)からの当該sbtestテーブルのリモートアクセス
SysBenchの導入
http://sysbench.sourceforge.net/からsysbenchファイル(sysbench-0.4.8.tar.gz：2006年10月10日版)を取得して以下のようにインストールします。
# tar zxvf sysbench-0.4.8.tar.gz
# ./configure ※mysql-develパッケージに含まれるmysql_configが必要となります
# make
# make install
SysBenchの実行結果
SysBenchで検索系OLTP性能を測定してみました。
仮想プロセッサ数が2個のため性能が最もよくなるスレッド=2のケースで測定してみました(下記コマンド参照：実際には改行せずに1行指定)。

# sysbench --num-threads=2 --max-requests=100000 --test=oltp --oltp-read-only \
--mysql-host=localhost --mysql-user=mysql --mysql-db=test --myisam-max-rows=10000000 run

・SysBenchによる検索系OLTP性能測定結果(1069トランザクション/秒)

ちなみにVMware Server 1.0.3上の32ビット版SUSE Linux Enterprise Server 10 SP1でもESX環境との比較のためにSysBenchを実行してみました。
(仮想プロセサは1個でメモリは2048MB)
1000万件のレコードはSysBenchを使用して以下のコマンドで作成できます。

# sysbench --test=oltp --mysql-db='test' --mysql-user=mysql --mysql-host=localhost --oltp-table-size=10000000 prepare

この場合の検索系OLTP性能測定結果はこちらです(412トランザクション/秒)。

１０．補足情報

ESXサーバ固有の設定ファイル群
ESXサーバ固有の設定ファイル群は/etc/vmwareに格納されています。
その中核となる設定ファイルは/etc/vmware/esx.confです。
またsimple.mapやvmware-devices.mapも本ディレクトリに存在します。
ESXサーバ側Webアクセスページの日本語化
VDIではESX言語パック(VMware-ESXlangpack-2.5.0-85586.zip)が利用できます。
ESXサーバ側Webアクセスページの日本語化は以下の手順で行えます。
# unzip VMware-ESXlangpack-2.5.0-85586.zip ※esxディレクトリが生成されます
# cp -Ra esx/docroot/ja /usr/lib/vmware/hostd/docroot
# cp -Ra esx/hostd/locale/ja /usr/lib/vmware/hostd/locale
# cp -Ra esx/webAccess/webapps/ui/help/ja /usr/lib/vmware/webAccess/tomcat/apache-tomcat-5.5.25/webapps/ui/help
# cp -Ra esx/webAccess/webapps/ui/html/ja /usr/lib/vmware/webAccess/tomcat/apache-tomcat-5.5.25/webapps/ui/html
# cp esx/webAccess/webapps/ui/scriptedInstall/EULA-ja.htm /usr/lib/vmware/webAccess/tomcat/apache-tomcat-5.5.25/webapps/ui/scriptedInstall
# cp esx/docroot/client/VMware-viclient-global.exe /usr/lib/vmware/hostd/docroot/client ※日本語版VIクライアントのダウンロード用ファイル
これによって日本語版WebブラウザでESXサーバをWebアクセスすると日本語ページが表示されるようになります。
・仮想マシンの日本語サマリ情報表示例(表示項目すべてが日本語表示になるわけではありません)
データストア
データストアは仮想マシンファイル群を格納する場所です。
デフォルトでは/dev/sda3がvmfs3形式でフォーマットされて、そこがデータストアとなります。
ESXサーバを起動すると/dev/sda3は/vmfsとして見ることができます。

データストアを手動で/mntにマウントして内容確認するにはまず以下のコマンドを実行します。
# mount -t vmfs /dev/sda3 /mnt

/mnt/volumesの中にはuuid形式のディレクトリと「esx35:storage1」というディレクトリがあります。
「esx35:storage1」は/mnt/volumes/xxxxxxxx-xxxxxxxx-xxxx-xxxxxxxxxxxx(uuid形式)へのシンボリックリンクになっています。
/mnt/volumes/esx35\:storage1/vifedora8にはvifedora8.vmx, vifedora8.vmdk, vifedora8-flat.vmdk等の仮想マシンファイルが格納されています。

尚、データストアの中はWebアクセス機能で簡単に確認することもできます(Webでのデータストア表示例)。
SSL関連ファイル
ESXサーバの/etc/vmware/sslには以下のファイルがあります。
(1)rui.key ※サーバの秘密鍵
(2)rui.crt ※サーバのSSL証明書(デフォルトファイル)
ESXサーバ接続でSSL証明書に関する警告メッセージを抑止させるには署名されたSSL証明書をベリサイン等から取得してそれに置き換える必要があります。
VirtualCenterの利用
VMware Virtual Desktop Infrastructure(VDI)のESXサーバはVMware Virtual Infrastructure付属のVirtualCenterからも利用できます。
今回はVMware Virtual Infrastructure 3.5の評価版に含まれるVirtualCenter 2.5を使用してみました。
- VirtualCenterの導入
  VirtualCenterはVMware Infrastructure Management(VIM)セットアップCDからインストールします。
  インストールタイプは＜VMware VirtualCenter Server＞を選択します。
  ＜VMware VirtualCenter Server＞を選択すると、Microsoft SQL Server 2005 Express, Virtual Infrastructure Clientもインストールされます。
  更に、VirtualCenter Web Access(Apache+Tomcatベース)やLicenseサーバも自動インストールされます。
  
  またVirtualCenterへのログイン情報も指定します。
  
  VirtualCenterインストール後、そのWindows側におけるVMware VirtualCenter Serverサービスが自動起動される設定になっていることを確認しておきます。
- VIクライアントからのローカルVirtualCenter接続
  VirtualCenterインストール時に同時にインストールされたVIクライアントを起動してローカルVirtualCenterに接続します。
  接続先はlocalhostで、VirtualCenterインストール時に指定したログインアカウントでログインします。
  
  ローカルVirtualCenterへの接続後は、まずデータセンタを定義します。
  具体的にはVIクライアントに表示されるHosts & Clustersの右クリックメニューの[New Datacenter]を選択してデータセンタの名称を指定します。
  ここではデータセンタ名を「Datacenter1」としました。
  次にそのDatacenter1の右クリックメニューの[Add Host]を選択してESXサーバをデータセンタに登録します。
  ESXサーバにある仮想マシンの場所もそのデータセンタに登録します。
  VIクライアントからデータセンタ内の仮想マシンを起動してデスクトップ操作できます。
- ブラウザからのVirtualCenter接続
  ブラウザ(IE6)から「http://VirtualCenterサーバアドレス」を指定すると「https://VirtualCenterサーバアドレス」ページが表示されます。
  この「https://VirtualCenterサーバアドレス」ページはVMware VirtualCenter 2 Welcomeというページです。
  VMware VirtualCenter 2 Welcomeというページの右側にある[Log in to Web Access]リンクをクリックしてログインページを表示します。
  VirtualCenterインストール時に指定したログインアカウントでログインします。
  ブラウザで仮想マシンのデスクトップ操作ができます(操作の様子)。
  
  尚、VMware VirtualCenter 2 Welcomeページからデータストアにある仮想マシンファイルをブラウズすることもできます。
- VDI付属のVIクライアント(日本語版)からのVirtualCenter接続
  VMware Virtual Desktop Infrastructure(VDI)付属のVirtual Infrastructure Client 2.5(日本語版)からもVirtualCenter接続が可能です。
  接続先はVirtualCenterサーバで、VirtualCenterインストール時に指定したログインアカウントでログインします。
  
  VIクライアント(日本語版)からデータセンタ内の仮想マシンを起動してデスクトップ操作できます。
- VirtualCenter管理データベース
  VirtualCenter管理データベースはSQL Serverによって実現されています。
  VirtualCenterの導入時にはSQL Native Clientドライバを使用したVMware VirtualCenterというODBCデータソースも自動定義されます。
  そのVMware VirtualCenterというODBCデータソースをMS Accessから参照してみました(テーブルのリンク機能を使用)。
  ・VPXV_ENTITYテーブルの参照例
類似ソフトウェアについて
VMware Virtual Infrastructure以外の代表的仮想化ソフトとして以下のものがあります。
(1)Virtuozzo(独自方式)
(2)XenServer(Xenベース)
(3)Virtual Iron(途中からXenベース)
(4)Oracle VM(Xenベース)
上記の代表的仮想化ソフトはいずれも仮想化サーバと管理クライアントが分離されているという特徴があります。
そのような構成的特徴から見るとVMware Virtual Infrastructureと類似のソフトウェアと言えるかと思います。