Red Hat Linux 6.2

日本語版Red Hat Linux 6.2が2000年4月21日にリリースされました。
でも私が購入したのは「日本人への6.2J改訂版」というラベルが貼られた6.2J SE(Second Edition)スタンダード版というものです(一番の廉価版)。
カーネルは2.2.14-5でした。

日本語版Red Hat Linux 6.2の主な新機能と言えば4GBメモリサポート、パーティションレスインストール、クラスタリング等がありますが従来からのデスクトップユーザにとっての関心事はやはりパーティションレスインストールではないかと思います。

パーティションレスインストール機能を含めてRed Hat Linux 6.2の環境をちょっぴりみてみましょう。

(1)ハードウェア検出ユティリティの改善

Red Hat Linux 6.1において「ブート時のデバイス自動検出機能」が新たにサポートされましたが6.2ではその画面もちょっと改善されました(大した話ではありませんが罫線表示されるようになりました)。

改善されたハードウェア検出ユティリティの初期画面デバイス定義更新画面


(2)デスクトップ環境

正直言ってRed Hat 6.1との違いはよく分かりません。
NCは4.72版が標準インストールされます。
インストール時の「X の設定」において「グラフィカルログインの使用」オプションを指定しておくとグラフィカルログイン画面のセッションメニューでウィンドウマネジャを選択できます。


(3)Sawmillウィンドウマネジャ

Red Hat Linux 6.2になってSawmillというウィンドウマネジャが標準でインストールされるようになりました。
Sawmillウィンドウマネジャを起動する方法はいくつかありますが例えばグラフィカルログイン画面でFailsafeセッションを選択しデスクトップ画面が出てきたらデフォルト表示される端末ウィンドウから「sawmill」と打ち込めばOKです。

Sawmillウィンドウマネジャはかなりシンプルなウィンドウマネジャですがタイトルウィンドウのカスタマイズあたりがちょっとユニークという感じです。

(4)パーティションレスインストール

Red Hat 6.1から継続してGUIベースのインストーラになっていますが、6.2ではその「パーティション」画面においてパーティションレスインストールという機能が追加されています。
これはインストール中にLinux専用パーティションを作成しなくてもDOS/Windows用DOS(FAT)パーティション内に仮想的なLinux Native Partioin(redhat.imgファイル)やLinux Swap Partion(rh-swap.img)を作成してそこにLinuxをインストールするという機能です。
ちょっと怖そうな機能なので空っぽのHDにFAT16パーティションを作成してパーティションレスインストールを試してみました。

【手順】
【パーティションレスインストール時の留意事項】


愚問:パーティションレスインストールしたLinux上に更に「BeOS 5 PE for Linux」をインストールして利用することはできるのでしょうか...(親亀の背中に子亀を乗せてぇ、子亀の背中に孫亀乗せてぇ...)。


(5)日本語対応度

Red Hat 6.2付属の標準インストール用CD-ROMだけでは日本語対応度は十分ではないようです。

例えば標準インストールされるNC 4.72での日本語表示はかなりひどい状態です。

また標準インストールされるGnumericスプレッドシート(Ver 0.48)に至ってはいくらメニューが日本語化されていてもセル内の日本語表示は全くできません(カレントセルの値を表示する固定位置の入力バー部分にはちゃんとした日本語入力・表示はできるのですが...)。
したがって日本語対応エディタからGnumericスプレッドシートのセルに日本語データをコピー&ペーストして使うということも現実的には無理です。

この現象(下図参照)はRed Hat 6.1の時のGnumericスプレッドシート Ver 0.35でも同じであり改善されていません。




本来ならはこうなって欲しいのですが...(LASER5 Linux 6.0付属のGnumericスプレッドシート Ver 0.26での例)

そこで今回のRed Hat 6.2 SEには日本語環境を改善するためのアップグレードパッケージ群を収めた6.2JアップデートCD(6.2J Update with Vine Linux Technology CD:略してUpdate CDと言います)が付属しています(Vineでの日本語化対応テクノロジーをRed Hatに移植するアップデートが主体)。
このCD-ROMの/mnt/cdrom/vine/html/update_pkg-ja.html(Update CDの簡易説明書)を見ると驚く程のrpm群が入っていることが分かります。

このUpdate CDからgnumeric-0.56-1.i386.rpmを導入することによりRed Hat環境のGnumericスプレッドシートにおいて日本語の表示、保存、印刷が可能になるとのことです。
しかしその新しいgnumeric-0.56-1.i386.rpmパッケージをインストールするにはそのGnumeric 0.56の前提となる別のrpmパッケージ群(gtk+,gnome-libs,gnome-print,libglade等)もインストールしておく必要があります(Update CDから)。
しかもrpmパッケージ間での依存関係があるためインストールの順序を守る必要があります。
正直言って今回のような方法での日本語対応強化はユーザ負担がかなり大きくなるのではないかと思われます。

ところでLinuxディストリビューション間での競争激化のためか各ディストリビューションのリリースピッチがだんだん速くなってきているように思われます。
しかし新しい版を入れてよくがっかりするのは日本語対応化の不十分さです。
サーバ用途なら日本語対応度はあまり要求されませんがデスクトップ用途であれば高度な日本語対応度が要求されます。
各アプリケーションの日本語化はしこしこと手作業で行われているのが現状ではないかと思われますので新しい版で付属アプリケーションの数が毎回増えていくような状況では日本語化が不十分であったり、日本語化対応作業がユーザ負担増になったりするのも仕方がないのかなぁという感じです。
結局ディストリビューションの提供側が日本語化対応を維持し続けていくのはコスト的にも非常に大変なんでしょうね。


(6)パッチによる日本語対応強化の実施

rpmパッケージを一つずつインストールするのは煩わしいので「手軽にインストールできるスクリプト」なるもの(update_scripts.tar.gz)をダウンロードして日本語環境の改善のためのパッチ群をまとめて当てました。
インストールエラーになったものもありましたがそれについては「rpm -ivh --replacepkgs hogehoge.rpm」で後から強制的な上書きインストールを行いました。

(7)Enlightenment/GNOMEのアップグレード

上記Update CDにはEnlightenment 0.16.4へのアップグレードパッケージやGNOME 1.2.3へのアップグレードパッケージも入っています。
(8)ftpとドラッグ&ドロップ

KアプリのKFMはWebブラウザになったりftpクライアントにもなったりできる便利なソフトです。
さてそのKFMとKview(イメージビューア)間でftpファイルをドラッグ&ドロップしてKviewでリモートにある画像を簡単に表示できます。
(あまり目新しいことではありませんが)

まずKFMでftpサーバと接続します。
ここではWindows98をftpサーバとしています。
次にKFMでファイル一覧を表示しその中の画像をKviewにドラッグします。


(9)Oracle8 for Linux アクセス

Red Hat 6.2にOracle8 for Linux(O4L)を導入した訳ではありませんがRed Hat 6.2側からTurboLinux 4.0にtelnetで入ってOracle8を起動してDBアクセスしてみました(Update CD適用前)。