Vine Linux 4.2/ppc

2007年12月25日にIntel版とPowerPC版Vine Linux 4.2がリリースされました。
ここではPowerPC版Vine Linux 4.2(Vine Linux 4.2/ppc)について簡単に紹介します。

今回はMac OS X 10.3(Panther)の入ったPowerPC G4(NewWorld)マシンの空きにVine Linux 4.2/ppcをインストールしました。
ROMがオンボードにない(いわゆるNewWorld)マシンへのVine Linux 4.2/ppcのインストールは極めて容易です。


（１）インストールの流れ

Vine Linux 4.2/ppcのインストールの流れ自体はIntel版と基本的に同じです。
但し、PowerPC版ではルートパーティションとは別に1MBのApple Bootstrapパーティション(領域)が必要となります。
※Apple BootstrapパーティションにはNewWorldマシン用のLinuxブートローダ(yaboot)が格納されます。
このApple Bootstrap領域はインストール中のパーティション設定箇所で「Apple Bootstrapファイルシステム」として定義します。

• CD-ROMからのブート
  まずVine42-ppc.isoをダウンロードしてVine Linux 4.2/ppcのインストールCD-ROMを作成します。
  次にそのインストールCD-ROMをセットしてCキーを押しながらMacマシンをブートします。
  
  
• Vine Linuxへようこそ
  
• 言語の選択
  日本語を選択します。
  
• キーボードの選択
  jp106を選択します。
  
  
• インストールの種類
  「すべて」を選択します。
  
• ディスクパーティションの設定
  (1)まず1MBのApple Bootstrapパーティションを定義します。
  (2)続いてルートファイルシステム用パーティションを定義します。
  (3)swapパーティションは実メモリサイズに応じて設定します(任意)。
  
  
• ブートローダの設定：なし
  PowerPC版ではGRUBという仕掛けは使用されないためGRUBブートローダの設定はありません。
  しかしyabootというブートローダが自動インストールされます。
  yabootの設定ファイルは/etc/yaboot.confです。
  
• ネットワークの設定
  
• ファイアウォールの設定
  
• 言語パッケージの選択
  
• タイムゾーンの選択
  
• rootユーザパスワード設定
  
• インストールパッケージのカスタマイズ
  
• パッケージの実際のインストール
  
• インストール後のシステム設定(自動設定)
  
• インストール完了
  ここでCD-ROMが自動排出されて再起動します。
  
• Bootstrapメニュー
  マシンをブートすると以下のようなBootstrapメニューが表示されます。
  このBootstrapメニューでマルチブート環境が利用可能となります。
  

  First Stage GNU/Linux Bootstrap Press l for GNU/Linux, x for MacOSX, c for cdrom, n for network, o for OpenFirmware. Stage 1 Boot:

  
  Stage 1 Boot: の部分にxを指定すると通常通りのMac OS Xがブートされます。
  Stage 1 Boot: の部分にlを指定するか何も指定しなければ下記yaboot Second stage画面に遷移します。
  (Second stageブートローダオプション画面です)
  

  Welcome to Vine Linux! <<途中略>> boot:

  boot: の部分に指定する値は/etc/yaboot.confで定義されています。
  例えばランレベル3で起動したい場合は「linux 3」を指定します。
  通常はそのままEnterキー押下で構いません。
  
  尚、optionキーを押したままマシンブートした場合、
  システム環境設定の起動ディスクにあるディスクアイコンの他にペンギンアイコンも表示されます。
  
  
  
  ペンギンアイコンを選択して右矢印ボタンを押すとBootstrapメニューを表示できます。
  
  
• Kudzu画面
  インストール時に無視されたハードウェアの追加に対する設定画面(Kudzu)が表示されます。
  例えば、「IEEE1394 controller」が表示されて、＜Configure＞を応答してドライバを組み込みます。
  
  
• GDMログイン
  GDM画面でログインして操作します。
  
  
• フルインストールされたパッケージ一覧
  

• デスクトップ
  
  PowerPC版Vine LinuxのデスクトップはIntel版と同じです。
  
  
  
  尚、dmesgや/proc/cpuinfo等にはPowerPC固有情報が多く含まれています。
  
  
  
• Vine LinuxからMac OS X側のボリュームアクセス
  Vine LinuxからMac OS X側のボリュームをマウントして利用できます。
  # mount -t hfsplus /dev/hda3 /mnt ※Mac OS X側のボリュームが/dev/hda3にある場合。
  
  
  
  
• telnetサーバの導入
  telnetサーバの導入手順もIntel版と全く同じです。
  inetd経由接続用telnetサーバは以下の手順で導入できます。
  # apt-get update
  # apt-get install telnet-server
  (Vine Linux 4.2ではこのapt-getでinetdも同時にインストールされます)
  # chkconfig --list inet による自動起動設定の確認
  # vi /etc/inetd.confの編集
  「#telnet stream tcp nowait root /usr/sbin/tcpd in.telnetd」の先頭#を削除します。
  # /etc/rc.d/init.d/inet restart
  
  これで別マシンからVine Linux 4.2/ppcにtelnet接続できます。
  尚、一般ユーザアカウントは次のコマンドで簡単に追加できます。
  # adduser username
  # passwd username
  (ここでパスワードを指定します)
  
  
• QEMU環境でのWindows 3.1実行
  PowerPC上のQEMUでのWindows 3.1実行はまさにQEMUの本領発揮と言える部分です。
  (このQEMUでNetBSD/macppcを利用できればそのOS保存が楽ですが現状ではQEMU環境での保存は不可)
  
  まずQEMUを導入します。
  # apt-get install qemu
  Windows 3.1の仮想ディスクを用意して次のコマンドでWindows 3.1を起動します。
  

  qemu -m 48 -hda qemuw31-flat.vmdk -net nic,model=ne2k_isa -net user -std-vga

  ここで使用した仮想ディスクはエミュレータ環境でのWindows 3.1で紹介したものです。
  尚、ネットワークはユーザモードネットワークとしますのでネットワーク設定ファイルをユーザモード用に変更しています。
  
  まずはQEMUゲストのWindows 3.1からWebアクセスしてみました。
  
  
  
  次にWindows 3.1からVine Linux 4.2/ppcにtelnet接続してみました。