Hyper-V Server 2012 R2環境でのWindows To Go ワークスペースの利用例(Windows 10 Technical Preview for Enterprise編)

Hyper-V Server 2012 R2はWindows Server 2012 R2付属のHyper-Vサーバ機能に特化した無償の仮想化ソフトウェアです。
(Hyper-V Server 2012 R2の導入・活用手順については「無償のHyper-V Server 2012 R2利用」をご参照下さい)

2014年10月1日にWindows 10 Technical Preview版(Build 9841)がリリースされました。
同時にWindows 10 TPE(Windows 10 Technical Preview for Enterprise)版もリリースされました。
Windows 10 TPEにはWindows 8 Enterprise Editionでサポートされた「Windows To Go機能」が継承されています。
Windows To Go機能というのは認定済みの(USB)ポータブルデバイスからWindows Enterpriseのプレインストール版を起動できるようにする機能のことです。
※Linuxの分野ではこれに相当する機能は以前からありましたが特に「Linux To Go」機能とは呼ばれていませんでした。

ここではWindows 10 TPEの「Windows To Go」機能で作成したWindows To Go ワークスペースのUSBディスクを仮想ディスク化してHyper-V Server 2012 R2環境で実行する手順について紹介します。

今回使用したPCのハードウェア/ソフトウェア構成は以下の通りです。


  1. Windows To Go ワークスペースを始める前に
    Windows 10 TPEのWindows To Go ワークスペースを始める前にWindows 10 TP(Windows 10 Technical Preview)版自体の主な新機能について少し触れてみたいと思います。

  2. Windows To Go ワークスペースの作成
    さて本題ですが、Windows To Go ワークスペースの作成手順は以下のようになります。
    (1)Windows 10 TPEを起動します。
    (2)Windows To Go ワークスペース格納用USBディスクを接続します。
    (3)Windows 10 TPEのマシンにWindows 10 TPEのインストールDVDをセットします。
    (4)Windows 10 TPEのコントロールパネルの「Windows To Go」を起動してWindows To Go ワークスペースをUSBディスクに書き込みます。
    これらの手順をWindows To Goの画面で示します。


  3. Windows To Go ワークスペース格納ポータブルデバイスの仮想ハードディスク化
    Hyper-V Serverの仮想マシンでWindows To Go ワークスペースからブートさせる方法は以下の二通りあります。

  4. 仮想マシンの定義

  5. 仮想マシンの初期起動(Windowsセットアップの扱いとなります)

  6. キーボードの日本語キーボードレイアウト化
    Device Managerで[Standard PS/2 Keyboard]を[Japanese PS/2 Keyboard (106/109 Key)]に変更して再起動すれば日本語キーボードレイアウトになります。




  7. Windows Activation
    Windows To Go ワークスペースのセットアップをしたままでは「Windows not activated」のままであり、そのうち「Activate Windows」メッセージが画面右下に薄く表示されます。
    Technet Evaluation CenterのWindows 10 Technical Preview for Enterpriseのダウンロードサイトに公開されている以下の固定のプロダクトキーを指定してアクティベーションを実行します。
    ・Windows 10 Technical Preview for Enterpriseの固定のプロダクトキー:PBHCJ-Q2NYD-2PX34-T2TD6-233PK


  8. Hyper-V機能とRSATの導入

  9. Windows To Go ワークスペースのMac OS Xでの実行
    Mac OS XでのBOOTCAMPパーティションは一つに制限されていますが、Windows To Go ワークスペースはMac OS Xの第2, 第3...のマルチBOOTCAMP環境を実現する機能と言えるかも知れません。
    ※元々Boot Camp アシスタントを使用せずに複数のバージョンのWindowsを同居させることはできましたが...。
    上記で利用したWindows To Go ワークスペースが実USBディスクであればそれをそのままMac OS Xマシンに接続してEFI Bootでブートして使えます。
    ※Windows 10 TPEを通常のインストールで格納した内臓HDDをUSB変換アダプタを介してMac OS Xに接続してもEFI Bootはできません(電源をオンにしてoptionキーを押した時に表示されるブート可能デバイス一覧にはそのUSB変換アダプタを介した内臓HDDは表示されません)。

    上記で利用したWindows To Go ワークスペースが仮想ディスクファイル(wtgworkspace.vhd)であれば以下のようにして実USBディスクを作成できます。
    (1)Windows To Go ワークスペースの仮想ディスクファイル(wtgworkspace.vhd)をLinux上に転送します。
    (2)Linux上で「qemu-img convert -f vpc -O raw wtgworkspace.vhd wtgworkspace-flat.vmdk」を実行します。
    (3)更に最初に作成したWindows To Go ワークスペース格納用USBディスクと同一仕様のUSBディスクをそのLinuxマシンに接続して以下のコマンドを実行します。
    ※下記のコマンドはWindows To Go ワークスペース格納ポータブルデバイスが/dev/sdbとなる場合の例です。
    # dd if=wtgworkspace-flat.vmdk of=/dev/sdb

    まずWindows To Go ワークスペースを格納したUSBディスクをMac OS Xのディスクユティリティで確認します。
    それからEFI Bootを選択してブートします。
    EFI Boot後はそのMacマシンのモデルに対応したBoot Camp Support SoftwareをAppleのサイトからダウンロードしてインストールすればMacマシンでサウンド再生等もできるようになります。
    WiFi等でインターネット接続できるようになればWindows Activationは自動実行されます。
    キーボードについてはDevice Managerで[HID Keyboad Device]にすれば日本語キーボードレイアウト化できます。


  10. Hyper-V仮想マシンでWindows To Go ワークスペースの実USBデバイスを使用した例
    Hyper-V仮想マシンでWindows To Go ワークスペースの実USBデバイスとしてTOSHIBAの500GB USBディスク(USB 3.0インターフェース)を使用した例を簡単に紹介致します。