オープンギャラリー：Hyper-V Server 2012 R2環境でのWindows 10 Pro利用

Hyper-V Server 2012 R2環境でのWindows 10 Pro利用

Hyper-V Server 2012 R2はWindows Server 2012 R2付属のHyper-Vサーバ機能に特化した無償の仮想化ソフトウェアです。
(Hyper-V Server 2012 R2の導入・活用手順については「無償のHyper-V Server 2012 R2利用」をご参照下さい)

2015年7月29日からWindows 7/8.1ユーザ向けのWindows 10への無償アップグレードが始まりました(無償アップグレード期間は1年間)。
Windows 10への無償アップグレードの方法はhttp://www.microsoft.com/ja-jp/windows/Windows-10-faq(Windows 10 FAQ)に詳しく記載されています。
・Windows 10 FAQのページ(その1)
・Windows 10 FAQのページ(その2)

今回はWindows 10 ProのDSP版(64ビット版)等の様々なDVDメディア(イメージ)を利用してHyper-V Server 2012 R2環境の仮想マシンにWindows 10 Proを導入してみました。
Windows 10 ProのDSP版でのWindows 10 Proのインストール方法には以下の2種類あります。
・クリーンインストール(新規インストール)
・既存のWindows 8.1からのアップグレードインストール

Windows 10の日本語版パッケージ製品は2015年9月4日頃からの発売でそれまでは予約受付中扱いとなっています。
※パッケージ製品には32ビット版と64ビット版を収録したUSBメディアが同梱されるようです。
しかし2015年8月に入ってからすぐにWindows 10のDVDメディアを収録したDSP版パッケージが各ショップで発売されるようになりました。
※DSP版では32ビット版と64ビット版は別々のパッケージ扱いです。

ここではHyper-V Server 2012 R2環境での64ビット版Windows 10 Proの環境構築を中心にその導入・利用方法について紹介致します。
今回使用したPCのハードウェア/ソフトウェア構成は以下の通りです。

Hyper-V Server 2012 R2用PC
・CPU：Intel Core i7 2.67GHz
・メモリ：12GB
・VGAカード：ATI Radeon HD 4600
・HDD：S-ATA 2TB
・ネットワークインタフェース：Intel PRO/1000 GT Desktop Adapter, ASIX AX88772(USBインタフェース)
※Intel PRO/1000 GT Desktop AdapterはHyper-V環境の専用仮想スイッチ用に使用します。
・OS：Hyper-V Server 2012 R2
Hyper-V Server 2012 R2のリモート管理・兼仮想マシンへのRDP接続クライアント用PC
・CPU：Intel Core 2 Duo 2.40GHz
・メモリ：3GB
・OS：32ビット版Windows 8.1 Pro

■ まずは、「Windows 10 を入手する」アプリによるWindows 10への無償アップグレード手順について
「Windows 10 を入手する」アプリによるWindows 10への無償アップグレードの操作の流れは以下の通りです。
※「Windows 10 を入手する」アプリによるWindows 10への無償アップグレード対象にはWindows 8.1系 Enterpriseは含まれていません。

Windows 8.1を使用している場合はWindows 8.1 Update版にしておく必要があります。
Windows 8.1 Update版にするには通常のWindows Updateで行う方法とKB2919355関連の更新プログラム群をまとめてダウンロードしてインストールする方法があります。
ここではKB2919355関連の更新プログラム群をまとめてダウンロードしてインストールすることでUpdate版にする方法を紹介します。
(Windows 8.1がラインセンス認証される前であってもそれをUpdate版にすることは可能のようです)
- x64 ベースシステム用 Windows 8.1 Update (KB2919355)のダウンロードサイトから以下のファイルをダウンロードします。
  ・clearcompressionflag.exe
  ・Windows8.1-KB2919355-x64.msu
  ・Windows8.1-KB2932046-x64.msu
  ・Windows8.1-KB2934018-x64.msu
  ・Windows8.1-KB2937592-x64.msu
  ・Windows8.1-KB2938439-x64.msu
  ・Windows8.1-KB2959977-x64.msu
- ダウンロードした上記のファイルを以下の順序でインストールします。
  (1)clearcompressionflag.exe ※本ファイルを起動してもインストールの開始・終了画面は表示されません
  (2)Windows8.1-KB2919355-x64.msu ※インストール後は必ず再起動させます
  このWindows8.1-KB2919355-x64.msuを起動した際に「この更新プログラムはお使いのコンピュータには適用できません。」エラーとなった場合は、Windows8.1-KB2919442-x64.msu(サービススタック更新プログラム)をインストールしてから(再起動不要)、再度Windows8.1-KB2919355-x64.msuを起動し直して下さい。
  尚、Windows8.1-KB2919442-x64.msuはhttp://www.microsoft.com/ja-jp/download/details.aspx?id=42162からダウンロードできます。
  (3)Windows8.1-KB2932046-x64.msu ※インストール後は必ず再起動させます
  (4)Windows8.1-KB2959977-x64.msu ※インストール後は必ず再起動させます
  (5)Windows8.1-KB2937592-x64.msu ※インストール後は必ず再起動させます
  (6)Windows8.1-KB2938439-x64.msu ※インストール後は必ず再起動させます
  (7)Windows8.1-KB2934018-x64.msu ※インストール後は必ず再起動させます
- Windows 8.1 Update版であることの確認
  Windows Updateの[更新履歴の表示]で上記のKBxxxxxxx全てが「成功しました」表示になっていればOKです。
  ※スタート画面の右上アカウントの横に虫メガネの検索アイコンが表示されていればWindows 8.1 Update版であると判断してもOKです。
更に、Windows Updateを起動して自動選択されている重要な更新全てをインストールします。
※「Windows 10 を入手する」アプリは実際にはWindows Updateでの更新プログラム(KB3035583)の適用によりインストールされますがKB3035583だけ単独でWindows Updateでインストールしても「Windows 10 を入手する」アイコンは表示されません。
このWindows Updateにより再起動後は「Windows 10 を入手する」アプリのアイコンがタスクバーに表示されるようになります。
下記はWindows 10への無償アップグレード用の「Windows 10 を入手する」アプリのアイコンと右クリックメニューです。
「Windows 10 を入手する」アプリを起動
「Windows 10 を入手する」アプリを起動すると「Windows 10を無償で入手する手順」ページが表示されます。
そのページの左下に[無償アップグレードの予約]が表示されます。

尚、実機でWindows 10を実行できないPCの場合は「申し訳ございませんが、このPCではWindows 10を実行できません」エラーが表示されて次に示す「無償アップグレードの予約」操作を行うことができません。
この「申し訳ございませんが、このPCではWindows 10を実行できません」エラーが表示されたページの右側にある[レポートの表示]をクリックするか、またはそのページの左上の横三本線アイコンをクリックして[PCのチェック]をクリックするとPCの状態(互換性の問題のレポート)が表示されます。
[無償アップグレードの予約]を実行
[無償アップグレードの予約]をクリックすると「読み込んでいます」という表示が一瞬出てから「完了しました」ページが表示されますのでそのページを閉じます。
一旦予約が完了して再度「Windows 10 を入手する」アプリを起動すると「無償アップグレードを利用できます」ページが表示されますので[準備ができたら通知する]をクリックします。
「無償アップグレードを利用できます」ページの右側にある「＞」マークを次々にクリックしていくと順次Windows 10の紹介ページを見ることができます。
画面下の「●○○○○」の「●」の位置は紹介ページの位置を示しています。
予約後にバックグラウンドでのダウンロードが実施されます。
ダウンロードが実施されていることは「Windows 10 を入手する」アプリでも確認できます。

そのダウンロードが完了するとアップグレードが可能となった旨の大きな吹き出し通知が表示されます。
今回は予約した日から15日目に「無償アップグレードが利用可能になりました」通知を受け取りました。

[この時点でのWindows Update画面確認とWindows Updateによるアップグレード開始手順]
(1)この時点でコントロールパネルの[Windows Update]を開くと「Windows 10へのアップグレードを利用できます」という表示が出てきます。
※このWindows Update画面を見るとWindows 10への無償アップグレードというのは適用期間限定のWindows Updateの特殊な更新プログラム扱いになっていることが分かります。

(2)その表示の下にある＜今すぐ再起動＞をクリックすると「Windows 10の更新を構成しています」表示となります。
(3)しばらくするとPC(ここでは仮想マシン)が自動再起動されます。
(4)自動再起動後は、ライセンス条項等は表示されず、いきなり「Windowsをアップグレードしています」表示となり既に実際のアップグレードが始まっています。
「Windows 10 を入手する」アプリからのアップグレードの開始
(1)「無償アップグレードが利用可能になりました」通知の中の[無償アップグレードを設定しましょう]をクリックするか「Windows 10を入手する」アプリを起動します。
それによって「Windows 10を入手する」アプリの「Windows 10への無償アップグレードが可能となりました」ページが表示されます。

PCのチェック結果の確認は本ページ左上の横三本線アイコンをクリックして[PCのチェック]で行えます。
※「Windows 10を入手する」アプリのページに「アップグレードに進む準備ができています」と表示されます。

尚、この時点で「Windows 10を入手する」アプリのページを閉じてしまうとWindows Updateの[更新履歴の表示]には「Windows 10 Proにアップグレード失敗」という表示がなされます。

(2)「Windows 10を入手する」アプリのページで[続行]をクリックします。
(3)「それでは、アップグレードを開始します」ページが表示されます(ページタイトルは「Windows Update」に変わります)。
本ページにはライセンス条項が表示されますので[同意する]をクリックします。
(4)「アップグレードをインストールできます」ページが表示されます。
ここでは[アップグレードをスケジュール]と[今すぐアップグレードを開始]のどちらかのオプションを選択します。
[アップグレードをスケジュール]をクリックすると「アップグレードをスケジュール」ページ(ページタイトルは「Windows Update」)が表示され、その日時から72時間以内にアップグレードを開始する日時を設定することができます。
[今すぐアップグレードを開始]をクリックすると「Windows 10の更新を構成しています」表示の後に自動再起動されて、いきなり「Windowsをアップグレードしています」表示となります。
それが完了すると、「ようこそ、こんにちは」、「すぐに使い始めることができます」...「さあ、始めましょう」と続き、最終的にWindows 10のデスクトップが表示されます。
補足
(1)予約するとアップグレードの予約リストに登録されます。
(2)アップグレード用にバックグラウンドで自動ダウンロードされるファイルの総容量は約3GBです。
※バックグラウンドで自動ダウンロードされているかどうかは「Windows 10を入手する」アプリを起動して確認することができます。
(3)アップグレードが可能となったことを示す通知は予約してから数日後または数週間後となります。
※アップグレード用のダウンロードが完了してからアップグレードが可能となったことを示す通知が表示されます。
(4)一旦予約してそれを解除するには、まず「無償アップグレードを利用できます」ページの左上にある横3本線のアイコンをクリックしてその中のメニューから[確認の表示]をクリックして「アップグレードを予約しました」ページを表示します。
「アップグレードを予約しました」ページの左下にある[予約の取り消し]をクリックします。
(5)Windows 10にアップグレードしてから1ケ月以内であればスタートメニューの[設定]-[更新とセキュリティ]-[回復]にある「Windows 8.1に戻す」オプション欄で[開始する]をクリックすればWindows 8.1に戻すことが可能です。

以上が「Windows 10 を入手する」アプリの利用によるWindows 10への無償アップグレードの方法です(最終期限：2016年7月28日)。

■ Windows 10 Proのクリーンインストール編

前提条件
(1)Windows 10 Proのクリーンインストールは容量3TBのGPT形式の仮想ディスクを丸ごと使用するようにします。
(2)3TBの仮想ディスクにWindows 10 ProをインストールするにはUEFIモードでインストールする必要があるため第2世代としての仮想マシンを定義して使用します。
(3)インストール用DVDは実際のDVDメディアをISOファイル化したISOイメージファイル(win10prox64.iso)を利用します。
仮想マシンの定義
(1)仮想マシンの名前：ここでは「HVSW10Pro-G2」としました。
(2)仮想マシンの世代：第2世代
(3)起動メモリ：2048MB
(4)仮想マシンのネットワークアダプタ：デフォルトのネットワークアダプタ用「仮想スイッチ1」
(5)仮想ディスク：容量可変の3TBのHVSW10Pro-G2.vhdx(3000GB指定)
(6)ファームウェアでの[セキュアブートを有効にする]オプションはoffにします。
(7)仮想マシンのDVDドライブイメージファイル：win10prox64.isoへのパスを指定。
[補足]
仮想マシンの新規作成ウィザードで第2世代を選択しても仮想DVDドライブは定義されません。
第2世代仮想マシンのOSインストールでDVDを使用する場合はSCSI接続の仮想DVDドライブを定義する必要があります。
仮想マシンの「設定」画面の[ハードウェアの追加]でSCSIコントローラ下に仮想DVDドライブを追加してブート順序を変更するのが一般的です。
尚、仮想DVDドライブにはHyper-V Server側の物理DVDドライブを割り当てることができないためDVDイメージファイルの割り当てを行います。
Windows 10 Proのクリーンインストール手順
- 仮想マシン(HVSW10Pro-G2)のDVDイメージからのブート
- 「Windowsセットアップ画面」はデフォルトのまま＜次へ＞
- [今すぐインストール]をクリックでセットアップが始まります。
- Windowsのライセンス認証を行うためのプロダクトキー入力(プロダクトキーはDSP版パッケージの内部シールに記載されています)
- ライセンス条項に対する[同意します]をonにして＜次へ＞
- インストールの種類として[カスタム(新規インストール)]をクリック
- Windowsのインストールの場所として3TBの[ドライブ0の割り当てられていない領域](空き領域3000.0GB)を選択した状態で＜次へ＞
  パーティションスタイルのGPT化やパーティション作成はインストーラが自動的に行ってくれます。
- 「Windowsをインストールしています」という画面で進捗状況が表示されます。
- 仮想マシンの自動再起動
- 「デバイスを準備してます」や「準備しています」が表示されます。
- 仮想マシンの自動再起動
- 「すぐに使い始めることができます」画面で右下にある[簡単設定を使う]をクリックします。
- こんにちは
- PCのセットアップをしています
- 重要な更新プログラムを取得しています
- これには時間がかかることがあります
- お待ちください
- 「このPCはだれが所有していますか?」画面で[私が所有しています]を選択して＜次へ＞
- 「自分用にセットアップする」画面でMicrosoftアカウントを指定して＜サインイン＞クリック。
- 「パスワードは時代遅れです」画面ではこの時点でのPIN(数字4桁の番号)の設定は行わず左下の[この手順をスキップする]をクリック。
  PINの設定はインストール後に別途行うことにします。
- 更新が完了しました
- 次に、アプリをセットアップします
- しばらくお待ちください
- 最後の処理をしています
- さあ始めましょう
- デスクトップが表示されます。
- スタートメニューの確認
- 画面解像度を1024x768から1280x1024に変更
- 新しいWebブラウザEdgeの起動
  
  [補足]
  (1)Edgeで表示しているサイトはEdgeの[他の操作(・・・)]-[Internet Explorerで開く]でIE(バージョン11のまま)で開くこともできます。
  尚、Internet Expolrerはスタートメニューの[すべてのアプリ]の[Windowsアクセサリ]中にあります。
  (2)Edgeで表示した画面にWebノートを書き足すことができます。
  (3)Webサイトによっては本が開いたようなアイコン(読み取りビューアイコン)が有効になり、シンプルな表示形式の読み取りビューに切り替えることができます。
  読み取りビューのレイアウトは崩れることがあります。
  尚、読み取りビューのページについてはフォントサイズを変更したり、読み取りビューにWebノートを書き足すこともできます。
  (4)Acrobat Reader DCをインストールしてもEdgeではpdfファイルの操作をほとんどすることができません(IEでは多様な操作が可能)。
  (5)IE11でできていることがEdgeの初期リリース版ではできないという制約事項がたくさんあります(例：フォントを変更できない、日本語エンコードに失敗することがある等)。
  (6)Administrator等のビルトインユーザではEdgeを起動できません。
- 必要に応じてネットワーク探索とファイル共有の有効化を実施し、かつネットワークをプライベートネットワークにします。
- コンピュータ名はDESKTOP-XXXXXXXという形式の名称に自動設定されるため必要に応じてコンピュータの説明、コンピュータ名を変更して再起動します。
- システム情報、BIOSモード、ディスク情報等の確認
  
  ・実寸画像はこちらです。
- OneDrive利用
  OneDriveの[画像]-[カメラロール]を開いてOneDriveの画像ファイルを閲覧してみました。
PINの作成
サインインする際にMicrosoftアカントの長いパスワード入力の代わりに数字4桁のPIN(PCにくくりついた暗証番号)が使えるようにするためにMicrosoftアカントに対するPINを以下の手順で作成します。
- [設定]-[アカウント]-[サインインオプション]
- 暗証番号(PIN)に対する＜追加＞クリック
- Microsoftアカウントのパスワードを入力して＜サインイン＞クリック
- 「PINのセットアップ」画面でPIN(4桁の数字)を入力して＜OK＞
  「この暗証番号(PIN)を使って、Windows、アプリ、サービスにサインインできます」と表示されます。
  尚、サインイン画面には「暗証番号(PIN)」と「Microsoftアカウント(パスワード)」の入力切り替えを行うサインインオプションも表示されるようになります。
  
  ※拡張セッションモードにする際のサインイン画面やリモートデスクトップ接続でのサインイン画面ではPIN入力はできません。
音楽・映画鑑賞
- MP3ファイル再生
  拡張セッションモードでリモートオーディオを有効にするとMP3ファイルを再生できます。
  (1)MP3ファイルをダブルクリックすると標準でGROOVEミュージックで再生できます。
  (2)iTunesを導入してiTunesでMP3再生できます。
  (3)Windows 10標準添付のWindows Media PlayerでもMP3再生ができます。
- 映画鑑賞
  ストアの[アプリ]-[写真&ビデオ]カテゴリから無料の1boxをインストールすることで無料の映画鑑賞ができます。
拡張セッションモードでのRemoteFX USB デバイス
(1)拡張セッションモードにする際の「HVSW10Pro-G2」ダイアログで[その他のサポートされているRemoteFX USB デバイス]をonにしてiPhone用Apple Mobile Device Driverを選択しておいても仮想マシン内のWindows 10 ProはiPhoneを認識しません。
つまりWindows 10 Proの初期リリース時点ではiPhone用デバイスドライバが存在しないということになります。
仮想デスクトップ
Windows 10 Technical Previewの紹介のところで触れていますのでここでの説明は省略します。
仮想デスクトップ構成のデスクトップへのiPhoneからのリモートデスクトップ接続
仮想デスクトップ構成のデスクトップにiPhoneの「RD Client」アプリを使用してRDP接続してみました。
特に問題なくRDP接続できました。
RSATについて
Hyper-V Serverなどのサーバをサーバマネジャでリモート管理するための日本語版Windows 10 Pro対応のRSATはWindows 10 Proの初期リリース段階ではまだ存在しません。
2015年1月28日公開のWindowsTH-KB2693643-x64.msuを日本語版Windows 10 Proにインストールしてもservermanager.mscがインストールされずスタートメニューにもServer Managerは表示されません。

尚、Windows 10正式版がリリースされた後の2015年8月25日にリリースされた「英語版限定のRSAT for Windows 10 ver 1.1」は日本語版Windows 10でも使用可能です。
※但し、「英語版限定のRSAT for Windows 10 ver 1.1」のインストールだけはWindows 10を一時的に英語環境にして行なう必要があります(インストール後は日本語環境で利用可能)。

Hyper-Vマネジャについて
Windows 10 Proの初期リリース段階ではHyper-V Server用のRSATが存在しないためサーバマネジャ経由でHyper-Vマネジャを起動してHyper-V Server(ここではHVS12R2)に接続するということはできません。
しかし、以下の手順でWindows 10 ProのHyper-Vマネジャを直接起動してHyper-V Serverに接続することは可能です。

Hyper-Vマネジャのインストール
コントロールパネルの[プログラムと機能]-[Windowsの機能の有効化または無効化]で[Hyper-V]を選択してインストールします。
※「Hyper-Vサービス」の選択は必須ではありません。

Hyper-Vマネジャはスタートメニューの[すべてのアプリ]-[Windows管理ツール]-[Hyper-Vマネジャ]として登録されます。
更にコントロールパネルの[管理ツール]-[Hyper-Vマネジャ]としても登録されます。
Windows 8系のHyper-V GUI 管理ツールには「Hyper-V仮想マシン接続」ツールが含まれていましたがWindows 10では「Hyper-V仮想マシン接続」ツールは明示的には存在しません(但し、vmconnect.exe自体は存在します)。
Hyper-Vマネジャのインストール後の再起動
Hyper-Vマネジャのインストール後は必ず仮想マシンを再起動します。
Administratorユーザの有効化
Microsoftアカウントでサインインした状態で[コンピュータの管理]-[ローカルユーザとグループ]でAdministratorアカウント無効化を解除して有効にし、Administrator用パスワードを設定します。
Microsoftアカウントのサインアウト
Administratorでサインイン
Administratorで初めてサインインするとAdministrator用のセットアップが自動で行われます。
hostsファイルへのHyper-V Serverアドレスの追加
メモ帳でC:\Windows\System32\Drivers\etc\hostsファイルを開き「Hyper-V ServerのIPアドレス Hyper-V Serverマシン名」という行を追加します。
尚、ここではHyper-V Serverマシン名は「HVS12R2」とします。

Hyper-V ServerをTrustedHosts構成設定に追加
(1)コントロールパネルの[管理ツール]-[サービス]で[Windows Remote Management (WS-Management)]サービスのスタートアップの種類を[手動]から[自動]に変更して＜開始＞ボタンをクリックします。
(2)コマンドプロンプトで以下のwinrmコマンド(朱書き太字部分)を実行します。
winrmコマンドの実行結果表示も示しておきます。

C:\Windows\system32>winrm set winrm/config/client @{TrustedHosts="HVS12R2"}

【実行結果表示】
Client
    NetworkDelayms = 5000
    URLPrefix = wsman
    AllowUnencrypted = false
    Auth
        Basic = true
        Digest = true
        Kerberos = true
        Negotiate = true
        Certificate = true
        CredSSP = false
    DefaultPorts
        HTTP = 5985
        HTTPS = 5986
    TrustedHosts = HVS12R2

Hyper-V Serverとその管理マシンとの間の通信を確立できるようにする設定
(1)dcomcnfgの起動(コントロールパネルの[管理ツール]-[コンポーネントサービス]の起動でもOK)。
(2)起動された「コンポーネントサービス」画面で、[コンポーネントサービス]-[コンピュータ]-[マイコンピュータ]のプロパティを開きます。
(3)[マイコンピュータ]のプロパティの「COMセキュリティ」タブを開きます。
(4)「アクセス許可」項目の＜制限の編集＞ボタンをクリックします。
(5)[ANONYMOUS LOGON]を選択してリモートアクセスの[許可]チェックボックスにチェックを入れて＜OK＞＜OK＞で「コンポーネントサービス」画面を閉じます。
※これはcscriptコマンドで「/anondcom:grant」オプションを指定することに相当します。

AdministratorユーザでのHyper-VマネジャからHyper-V Serverに接続するための資格情報の登録
この資格情報登録は「Hyper-V Serverに接続する権限」をHyper-V Serverの管理マシン側のAdministratorユーザに与えるためのものです。
コマンドプロンプトで以下のcmdkeyコマンド(朱書き太字部分)を実行します。
cmdkeyコマンドの実行結果表示も示しておきます。

C:\Windows\system32>cmdkey /add:HVS12R2 /user:Administrator /pass
'Administrator'のパスワードを入力してください。'HVS12R2'に接続します：ここでHVS12R2側のAdministratorのパスワードを指定してEnterキー押下

【実行結果表示】
CMDKEY : 資格情報を正しく追加しました

Hyper-VマネジャへのHyper-V Serverの登録と他の仮想マシン操作
(1)Hyper-Vマネジャの起動
(2)Hyper-Vマネジャの[Hyper-Vマネジャの]の右クリックメニューの[サーバに接続]
(3)接続先として[別のコンピュータ]をonにして「HVS12R2」を指定して＜OK＞ボタンをクリックします。
(4)Hyper-VマネジャにHyper-V Server(HVS12R2)に登録されている仮想マシン名一覧が表示されます。
(5)仮想マシン名一覧から実行したい仮想マシンを起動します。
下記はHVSW81Prox64-G2(64ビット版Windows 8.1 Proの第2世代仮想マシン)を起動して実行操作している様子です。

・実寸画像はこちらです。

MicrosoftアカウントだけでのHyper-V Serverへの接続手順について
Administratorユーザのアカウントを有効にすることなくMicrosoftアカウントだけ使用してHyper-V管理ツールを導入してHyper-V Serverに接続することも可能です。
その基本的な流れは上記の「Hyper-Vマネジャについて」で示した手順通りですが実際には管理者として実行しなければならない部分が以下の2ケ所あります。
- hostsファイルへのHyper-V Serverアドレスの追加
  Microsoftアカウントでメモ帳を通常起動してhostsファイルを編集しても上書き保存することはできません。
  Microsoftアカウントでhostsファイルを編集して上書き保存するためにはスタートメニュー中の「メモ帳」の右クリックメニューから[管理者として実行]を選択してメモ帳を起動してhostsファイルを編集・上書き保存します。
- Hyper-V ServerをTrustedHosts構成設定に追加するためのwinrmコマンドの実行
  Microsoftアカウントでコマンドプロンプトを通常起動してwinrmコマンドを実行すると「アクセスが拒否されました」というエラーとなります。
  Microsoftアカウントでwinrmコマンドを実行するためには「コマンドプロンプト(管理者)」を起動してwinrmコマンドを実行します。
  尚、cmdkeyはそのcmdkey実行ユーザのアカウント毎に「Hyper-V Serverに接続する権限」を与えるためのものなのでMicrosoftアカウントでコマンドプロンプトを通常起動してcmdkeyを実行します。
下記は別の仮想マシン(第1世代のHVSW10Pro)でAdministratorユーザのアカウントを一切使用することなくMicrosoftアカウントだけ使用してHyper-V管理ツールを導入してHyper-V Serverに接続した様子です。

・実寸画像はこちらです。

タスクビューの仮想デスクトップを使用すればHyper-Vマネジャや仮想マシンをWindows 10 Pro側の任意の仮想デスクトップに表示できるようになります。
例えば、仮想デスクトップ2でHyper-Vマネジャを起動してそこで仮想マシンを起動するとHyper-Vマネジャと同じデスクトップ2に仮想マシンが表示されます。
そのHyper-Vマネジャをデスクトップ1に移動させるには仮想デスクトップ2のウィンドウをサムネイル表示した画面でHyper-Vマネジャウィンドウの右クリックメニューの[移動]-[デスクトップ1]で移動できます。
また[移動]メニューを使用しなくてもサムネイル表示した画面のHyper-Vマネジャウィンドウを移動先仮想デスクトップにドラッグすることでも行えます。

仮想デスクトップの切り替えはWindows + Ctrl + 横矢印キーでも行えます。
Windows + Ctrl + 横矢印キーを押すとスマホで画像をフリックしたように隣接する仮想デスクトップが横から流れてくるようにアニメーション表示されます。

コントロールパネルの[プログラムと機能]-[Windowsの機能の有効化または無効化]で[Hyper-V]にチェックを入れる際に後から[Hyper-Vサービス]にチェックを入れて再起動するとHyper-Vマネジャに自分自身(ここではHVSW10Pro)も自動表示されるようになります。
当然ながら仮想マシン環境の中では「Hyper-V Hypervisor」コンポーネントは組み込まれないため仮想マシンを定義しても起動はできません。
※Hyper-Vサービスとは「Hyper-V仮想マシン管理(Hyper-V Virtual Machine Management)」サービスのことを指しており[Hyper-Vサービス]をインストールして再起動するとHyper-V Virtual Machine Managementサービスが自動起動されるようになっています。
MicrosoftアカウントだけでのHyper-V Serverへの接続手順についての続編(英語版RSAT ver 1.1の導入)
- 英語版RSAT ver 1.1の概要
  (1)英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1は2015年8月25日に公開されました。
  (2)英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1はWindows Server/Hyper-V Server Technical Preview対応版ですが既存のHyper-V Server 2012 R2のリモート管理も行えます。
  (3)英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1は日本語環境のWindows 10にインストールしてもServerManager.exeはインストールされませんのでServerManagerの利用はできません。
  (4)英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1を日本語環境のWindows 10で利用するには一旦英語環境のWindows 10にして英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1をインストールします。
  (5)英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1を英語環境のWindows 10にインストールした後で日本語環境のWindows 10に戻せば日本語環境のWindows 10で英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1を利用できます。
  (6)英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1のインストールと利用はMicrosoftアカウントだけで行えます。
- 英語版RSAT ver 1.1の取得と制限事項
  以下では英語版RSAT for Windows 10 ver 1.1を単に英語版RSAT ver 1.1と略します。
  (1)英語版RSAT ver 1.1はhttp://www.microsoft.com/en-us/download/details.aspx?id=45520&WT.mc_id=rss_alldownloads_allにてダウンロードできます。
  ダウンロードファイルはWindowsTH-KB2693643-x64.msuです。
  ・英語版RSAT ver 1.1のダウンロードサイトに記載されている概要
  ・英語版RSAT ver 1.1のダウンロードサイトに記載されているサポートOSの制限
  サポートOS(Supported Operating System)欄には「Remote Server Administration Tools for Windows 10 is available only in English (United States) for this release.」と明記されています。
  (2)English (United States)以外の言語環境の場合のインストール手順についても簡単に紹介されています。
  English (United States)以外の言語環境の場合のインストール手順を日本語環境のWindows 10に当てはめると以下のようになります。
  - 英語版RSAT ver 1.1をインストールするMicrosoftアカウントでサインインします。
  - コントロールパネルの[言語]を開いて[言語の追加]をクリックします。
  - 追加する言語の一覧から[英語]の[英語 (米国)]を選択して追加します。
  - [言語]の中に追加された[English (United States)]のオプションで[言語パックをダウンロードしてインストールします]をクリックします。
    ・言語パックのインストールの様子
  - 言語パックのインストール完了後、[詳細設定]でWindowsの表示言語を[English (United States)]に変更して一旦サインアウトします。
  - 同じMicrosoftアカウントでサインインし直すと英語環境のWindows 10のデスクトップになります。
    ※言語設定変更したMicrosoftアカウントとは別のアカウントでサインインした場合は元の言語環境のままのデスクトップ表示となります。
  - ダウンロードしたWindowsTH-KB2693643-x64.msuを起動して英語版RSAT ver 1.1をインストールします。
    ・英語版RSAT ver 1.1のインストールの様子
  - インストール完了後、再起動します(更新プログラムが構成されます)。
  - ロック画面やサインイン画面は日本語モードのままです。
  - 同じMicrosoftアカウントでサインインするとControl Panelの[Administrative Tools]の中に[Server Manager]があることが確認できます。
    ※Start MenuのAll appsの中のWindows Administrative ToolsにはServer Managerは登録されません。
  - 言語を日本語に戻します。
    具体的にはControl Panelの[Language]の[Advanced settings]で「Override for Windows dispaly language」として[日本語(日本)]を選択して＜Save＞をクリックします。
  - 一旦サインアウトして同じMicrosoftアカウントでサインインし直すと日本語環境のデスクトップが表示されます。
    日本語以外の言語パックがインストールされているためタスクバーの通知領域の右端には入力方法を示すアイコン(入力方式アイコン)が表示されます。
    入力方式アイコンが表示されている最中にWindows + Spaceキーを押すと英語キーボード配列と日本語キーボード配列が交互に切り替わります。
    尚、コントロールパネルの[言語]で[English (United States)]を削除するとその言語パックもアンインストールされて入力方式アイコンは表示されなくなります。
  - コントロールパネルの[管理ツール]に[Server Manager]が表示されます。
  - 英語版RSAT ver 1.1をインストールするとコントロールパネルの[プログラムと機能]-[Windowsの機能の有効化または無効化]でRemote Server Administration Toolsの構成コンポーネントを確認できます。
- Server Managerの利用例
  ここではServer ManagerでHyper-V Server 2012 R2(マシン名：HVS12R2)をリモート管理する例を紹介します。
  (1)コントロールパネルの[管理ツール]にある[Server Manager]を起動します。
  起動されたServer Managerの[Help]-[About Server Manager]では「Build Number: 10.0.10514.4」「Build Date: 2015/08/20」と表示されます。
  (2)Server Managerの[Add other servers to manage]をクリックします。
  (3)「Add Servers」画面の「DNS」タブでHVS12R2を入力して検索アイコンをクリックします。
  (4)HVS12R2とそのIPアドレスが表示されるのでその行を選択して右向き三角アイコンをクリックして＜OK＞。
  (5)Server Manager画面の左側にHyper-Vが表示されます。
  (6)左側のHyper-Vをクリックすると右側のサーバ一覧に「HVS12R2 IPアドレス Online」と表示されます。
  (7)「HVS12R2 IPアドレス Online」の行の右クリックメニューから[Hyper-Vマネジャ]を選択します。
  (8)Hyper-Vマネジャが自動起動されて仮想マシン一覧が表示されます。
  (9)そのHyper-Vマネジャから仮想マシンを操作することができます。
  
  ・[タスクビュー]による仮想デスクトップでのServer Manager利用例
  
  仮想デスクトップの便利な使い方はいろいろありますが下記のように仮想デスクトップごとに別々の仮想マシンを表示させて操作するのも便利かと思います。
  ※下記は「デスクトップ2：Windows 8.1 Pro, デスクトップ3：Windows 7 Ultimate, デスクトップ3：Ubuntu 14.04 LTS」という割り当てをした様子です。
  
  (10)「HVS12R2 IPアドレス Online」の行の右クリックメニューから[Computer Management]を選択するとサーバ側の「コンピュータの管理」が開きます。
  [デバイスマネジャ]を開けるようにするためにはサーバ側でローカルグループポリシー(gpedit.msc)の設定変更が必要ですがHyper-V Serverにはgpedit.mscが存在しないためサーバの[デバイスマネジャ]は開けません。
  尚、サーバの[ディスクの管理]を開けるようにするためには事前にWindows 10側で以下のコマンドを実行しておきます。
  
  >netsh
  >advfirewall
  >firewall
  >set rule group="リモートボリューム管理" new enable=yes
  
  ・サーバの[ディスクの管理]を開いた様子

Windows 10 Pro付属のHyper-V 管理ツールからHyper-V Server 2012 R2への接続性について
Windows 10 ProではHyper-V 管理ツールとして「Hyper-V GUI 管理ツール」と「Windows PowerShell用Hyper-Vモジュール」をインストールできます。
(1)Hyper-V GUI 管理ツールはHyper-Vマネジャ(virtmgmt.msc)とHyper-V仮想マシン接続(vmconnect.exe)から構成されています。
(2)Hyper-Vマネジャはスタートメニューに登録されますがHyper-Vマネジャから独立しているHyper-V仮想マシン接続はスタートメニューには登録されません。
(3)Hyper-VマネジャはHyper-V Server 2012 R2に問題なく接続できます。
(4)Hyper-V仮想マシン接続はWindows Server/Hyper-V Server 2012系以前のバージョンのサーバ(Hyper-Vホスト)には接続できないようです。
※Windows 10 ProのHyper-V仮想マシン接続は次期Windows Server/Hyper-V Server 2016接続を前提に前倒しで組み込まれているようです。
(5)Windows PowerShell用Hyper-VモジュールはPowerShell用のget-VMやstart-VMなどのコマンドレットを含みますがWindows 10 Proのget-VMやstart-VMなどのコマンドレットはPowerShellのリモート処理形態でサーバと接続する方式に変更されているようです。

以下に、主だった接続性についてもう少し詳細に紹介致します。

Hyper-V仮想マシン接続はWindows Server/Hyper-V Server 2012系以前のバージョンのサーバ(Hyper-Vホスト)に接続できない
(1)Hyper-V仮想マシン接続の起動はC:\Windows\System32\vmconnect.exeを直接することで行います。
(2)Hyper-V仮想マシン接続ダイアログのサーバ欄にHVS12R2(これはHyper-V Server 2012 R2のホスト名)を入力して仮想マシンの欄にカーソルを移動させるとサーバのバージョンをチェックして「このバージョンの仮想マシン接続では、Windows Server 2012 以前のHyper-Vを実行しているサーバは管理できません。」というエラーを表示します。

本エラーのために仮想マシンの欄にはHVS12R2にある仮想マシン名一覧は表示されません。
しかしWindows 8.1 ProのHyper-V仮想マシン接続ではHVS12R2側の仮想マシン名一覧が表示できていました。
(3)仮想マシンの欄に直接仮想マシン名を手入力して接続しようとすると仮想マシンへの接続(実際には仮想マシンの検索)が失敗し、やはり「このバージョンの仮想マシン接続では、Windows Server 2012 以前のHyper-Vを実行しているサーバは管理できません。」というエラーが表示されます。
ダメ元で[別のユーザとして接続する]という資格情報の委任を許可するCredSSP認証を使用してみました。

資格情報の委任を許可する設定は以下のように実施しました。

サーバ側
サーバにリモートデスクトップ接続して以下のコマンドを実行します。
>powershell
PS ...>Enable-WSManCredSSP -Role Server
クライアント側(Hyper-V仮想マシン接続の実行側)
(1)ローカルグループポリシーエディタ(gpedit.msc)を起動します。
(2)ローカルグループポリシーエディタの[コンピュータの構成]-[管理用テンプレート]-[システム]-[資格情報の委任]を開きます。
(3)[資格情報の委任]の中の[新しい資格情報の委任を許可する]を開きます。
「新しい資格情報の委任を許可する」画面で[未構成]を[有効]に変更し、サーバを一覧に追加の＜表示＞をクリックして値欄に「WSMAN/*」(WSMANは小文字でも可)を入力して＜OK＞更に＜OK＞。
※特定のサーバのみに対してだけ資格情報の委任を許可する場合は「WSMAN/server01」というように対象サーバ名を個別に指定します(複数行での指定もできます)。
(4)同様に[資格情報の委任]の中の[NTLMのみのサーバー認証で新しい資格情報の委任を許可する]を開きます。
「NTLMのみのサーバー認証で新しい資格情報の委任を許可する」画面で[未構成]を[有効]に変更し、サーバを一覧に追加の＜表示＞をクリックして値欄に「WSMAN/*」を入力して＜OK＞更に＜OK＞。

仮想マシン接続で[別のユーザとして接続する]をonにして＜ユーザの設定＞をクリックして以下の資格情報を指定しました。
・ユーザ：HVS12R2\Administrator
・パスワード：HVS12R2側のAdministratorのパスワード
上記の資格情報を設定して接続を試みましたがCredSSP認証を使用しない場合と同じ接続エラーとなりました。
サーバがWindows Server/Hyper-V Server 2012系以前のバージョンの場合はCredSSP認証を使用しても仮想マシン接続はできないようです。
結局Windows 10 ProではHyper-Vマネジャの[接続]で仮想マシン接続を利用することになります。

PowerShell用Hyper-Vモジュール(get-VMやstart-VMなどのコマンドレット)のリモート処理形態での実行
Windows 8.1 ProのPowerShell用Hyper-VモジュールではPowerShellのリモート処理形態を使用しなくても以下のコマンドでサーバ側の仮想マシンの状態を直接確認できます。

>powershell
PS ...>get-vm HVSW81x64U -computer HVS12R2

Windows 10 Proで上記のコマンドを実行するとPowerShellのリモート処理を使用することを促すメッセージ(PowerShellリモート処理を使用してリモートサーバに直接接続してください)が赤文字で表示されます。

そこでWindows 10 Proでは以下のようにPowerShellのリモート処理を使用することになります。

サーバ側
サーバ側(ここではHyper-V Server 2012 R2)では初めからPowerShellのリモート接続を許可されているために以下のコマンドを入力する必要はありません。
>powershell
PS ...>enable-psremoting
クライアント側
>powershell
PS ...>enter-pssession -computername HVS12R2
[HVS12R2]: PS ...>get-vm HVSW81x64U

・Windows 10 ProデスクトップでのPowerShellのリモート処理形態でのHyper-V関連のコマンドレット(get-vm, start-vm)使用例

Windows 10 Pro付属のHyper-V 管理ツールからHyper-V Server 2016 Technical Preview 3への接続性について
2015年8月19日にWindows Server 2016 Technical Preview 3と同時にHyper-V Server 2016 Technical Preview 3も公開されました(2016年7月15日に有効期限が切れます)。
Hyper-V Server 2016で機能追加される主な項目は以下の通りです。
・仮想マシン稼働中のネットワークアダプタ/メモリの追加・削除
・Windows Updateによる統合サービスの更新配布
・Linuxセキュリティブート
・Windows PowerShell Directサポート(Enter-PSSession -VMName 仮想マシン名指定のサポート)
※仮想マシンで実行中のWindows 10/Windows Server 2016/Hyper-V Server 2016に入ってその仮想マシンのOSをPowerShellで直接操作できる機能です。
・仮想マシンの構成バージョンの手動アップグレード機能(PowerShellのUpdate-VMVersionコマンドレットによるアップグレード)
※Hyper-V Server 2012 R2の構成バージョンは「5.0」でHyper-V Server 2016 Technical Preview 3の構成バージョンは「6.2」です。
・チェックポイントの従来の標準チェックポイントに加えて運用チェックポイントの追加サポート
・仮想マシンのSCSIコントローラに対するハードディスクの追加に加えて共有ドライブ(仮想ハードディスクのみ)の追加サポート
・Alternate credentials support：Windows 10 ProのCredSSP認証(ユーザの交替資格情報の委任による認証)対応サポート
※Windows 10 ProのHyper-Vマネジャ及びHyper-V仮想マシン接続(vmconnect)からCredSSP認証を使用して(Cmdkeyで設定していないユーザ資格情報で)Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3サーバに接続できます。

ここでは主にWindows 10 ProのCredSSP認証(ユーザの交替資格情報の委任による認証)対応サポートについて紹介します。
尚、Windows 10 ProのHyper-Vマネジャ及びHyper-V仮想マシン接続(vmconnect)からCredSSP認証を使用して(Cmdkeyで設定していないユーザ資格情報で)接続するHyper-V Server 2016 Technical Preview 3サーバはHyper-V Server 2012 R2の仮想マシンとして作成してCredSSP認証の検証をしてみました。

Hyper-V Server 2012 R2環境へのHyper-V Server 2016 Technical Preview 3のインストールと設定

Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3のインストール用DVDイメージファイルの取得
Hyper-V Server Technical Preview 3 の試用版ソフトウェアのサイトから10514.0.150808-1529.TH2_RELEASE_SERVERHYPERCORE_OEM_X64FRE_EN-US.ISO(約2.6GB)をダウンロードします。
Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3は英語版しかありませんが日本語キーボードレイアウトを設定しての使用ができますのでキー入力の不自由さはありません。
Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3の仮想マシン定義
(1)仮想マシンの名前：ここでは「HVSHVS16TP3」としました(Hyper-V Server 2012 R2環境におけるHyper-V Server 2016 Technical Preview 3仮想マシンという意味を持たせた仮想マシン名です)。
(2)仮想マシンの世代：第1世代
(3)起動メモリ：4096MB
(4)仮想マシンのネットワークアダプタ：デフォルトのネットワークアダプタ用「仮想スイッチ1」
(5)仮想ディスク：容量可変の1024GBのHVSHVS16TP3.vhdx
(6)ハードウェアの追加でネットワークアダプタを追加してその接続も「仮想スイッチ1」を選択
(7)仮想マシンのDVDドライブイメージファイル：10514.0.150808-1529.TH2_RELEASE_SERVERHYPERCORE_OEM_X64FRE_EN-US.ISOへのパスを指定。
仮想マシンへのHyper-V Server 2016 Technical Preview 3のインストール
- 仮想マシン(HVSHVS16TP3)の起動
- 「Microsoft Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3」の画面表示
  ここでは「Time and currency format：」の値をデフォルトの[English (United State)]から[Japanese (Japan)]に変更します。
  この変更で「Keyboard or input method：」欄が[US]から[Microsoft IME]に自動変更されます。
  「Time and currency format：」の値を[Japanese (Japan)]に変更すると「Keyboard Type:Japanese Keyboard (106/109 Key)」行が自動追加されます。
  ここで＜Next＞をクリックします。
- [Install now]クリック
  「Setup is starting...」と表示されます。
- 「License terms」画面(EULAID:T1S_S3_1_ED_HV_R_en-us)
  [A accept the license terms]をonにして＜Next＞。
- 「Which type of installation do you want?」画面
  [Custom: Install the newer version of Hyper-V Server only (advanced)]をクリックします。
- 「Where do you want to install Hyper-V Server?」画面
  1024GBの[Drive 0 Unallocated Space]が自動選択されているのでそのまま＜Next＞。
- 「Installing Hyper-V Server」のStatus表示
- 自動再起動
- 「Getting devices ready xx%」表示
- 再度自動再起動
- Administratorのパスワード変更要求メッセージ表示
  「The user's password must be changed before signing in.」に対して[Ok]を応答します([Ok]を選択してEnterキー押下)。
- 「Enter new credentials for Administrator or hit ESC to cancel」画面
  この新しいパスワードの指定画面で新しいパスワードと確認パスワードを指定してEnterキーを押下します。
  
  尚、「Keyboard Type:Japanese Keyboard (106/109 Key)」としているためハイフン等の記号も日本語キーボードレイアウトのまま入力できます。
  New password : ************ ※ここでtabキー押下。
  Confirm password : ************ ※ここでEnterキーを押下すると「Changing password」と表示されます。
- パスワード変更完了画面
  「Changing password」と表示された後でパスワード変更完了画面が表示されます。
  
  [Ok]を応答します。
- 「Server Configuration」画面(sconfig画面)
  今回は実機のHyper-V Server 2012 R2環境同様にActive Directoryベースのドメイン環境ではなくワークグループ環境としてサーバ構成を設定しました。
  デフォルトから設定変更した主な項目は以下の通りです。
  ※「Server Configuration」画面の最下行にある「Enter number to select an option:」のところに変更したい項目の番号を入力してEnterキーを押下すればその項目の設定変更画面が表示されます。
  (1)Computer Nameを「HVSHVS16TP3」に変更。
  尚、Computer Nameの値変更直後に再起動しますが再起動後はロック画面(「Press Ctrl-Alt-Del to unlock」表示)になります。
  その場合、その仮想マシン接続の[操作]-[Ctrl+Alt+Del]でロック解除後Administratorのサインインパスワード入力画面でパスワードを入力します。
  パスワード入力後は再度「Server Configuration」画面が表示されます。
  (2)Remote Desktopの[Enabled (all clients)]化。
  (3)Network Settingsにおける2個のネットワークアダプタに対する静的IPアドレスの割り当てとDNSサーバの設定変更。
  ※1番目のネットワークアダプタは仮想スイッチ専用として使用するネットワークアダプタです。
  設定変更後はオプション番号「14(Exit to Command Line)」でsconfigから抜けます。

ファイアウォール設定

> netsh
> advfirewall
> firewall
> set rule group="Remote Desktop" new enable=yes
> set rule group="File and Printer Sharing" new enable=yes
> set rule group="Windows Firewall Remote Management" new enable=yes
> set rule group="Remote Event Log Management" new enable=yes
> set rule group="Remote Volume Management" new enable=yes
> exit

一時ディレクトリの作成と共用設定

>mkdir C:\Temp
>net share Temp=C:\Temp /grant:Administrator,full

HVSHVS16TP3をリモート管理するWindows 10 Pro用仮想マシン(HVSW10Pro)の設定

Microsoftアカウントでサインイン
当該MicrosoftアカウントユーザのホームディレクトリはC:\Users\amberです。
またスタートメニューを展開すると最上位に「Amber OpenGallery」と表示されます。
hostsファイルの編集
C:\Windows\System32\drivers\hostsファイルに「HVSHVS16TP3のIPアドレス HVSHVS16TP3」という行を追加して保存。
HVSHVS16TP3は2個のネットワークアダプタを持っていますがここでのIPアドレスは2個目のネットワークアダプタに割り当てたIPアドレスです。
Hyper-V 管理ツールの導入は上記で実施・説明済み
「Windows Remote Manager」サービスの自動起動化設定と起動は上記で実施・説明済み
英語版Server Managerの導入は上記で実施・説明済み
信頼できるホストとしてHVSHVS16TP3の追加

> winrm set winrm/config/client @{TrustedHosts="HVS12R2,HVSHVS16TP3"}
dcomcnfgによるANONYMOUS LOGONについてのリモートアクセスの許可設定は上記で実施・説明済み

cmdkeyによるHVSHVS16TP3接続用デフォルト資格情報の設定(HVS12R2接続用については上記で実施・説明済み)

C:\Windows\system32>cmdkey /add:HVSHVS16TP3 /user:Administrator /pass
'Administrator'のパスワードを入力してください。'HVSHVS16TP3'に接続します：ここでHVSHVS16TP3側のAdministratorのパスワードを指定してEnterキー押下

【実行結果表示】
CMDKEY : 資格情報を正しく追加しました

Server ManagerへのHVSHVS16TP3の追加登録
Server ManagerへのHVS12R2を登録した手順(上記で実施・説明済み)と同様の手順でHVSHVS16TP3を追加登録します。
Server Manager画面の左側のHyper-Vをクリックして「HVSHVS16TP3のIPアドレス Online - Performance counters not started」と表示された場合はその行の右クリックメニューの[Start Performance Counters]を開始します。
これによってHVSHVS16TP3のIPアドレス Online」と表示されるようになります。
HVSHVS16TP3への[Remote Desktop Virtualization Host]役割サービスの追加
HVSHVS16TP3へのRemote Desktop関連の役割追加をせずにHyper-VマネジャでHVSHVS16TP3の[Hyper-Vの設定]を開くと物理GPUの説明欄には「リモートデスクトップ仮想化ホストの役割サービスがインストールされていません。役割サービスをインストールして、RemoteFXとGPUの管理を有効にしてください」と表示されます。
そのため[Remote Desktop Virtualization Host]という役割サービスを追加します。
[Remote Desktop Virtualization Host]という役割サービスを追加して[Hyper-Vの設定]を開くと物理GPUの説明欄には「このコンピュータ上には、RemoteFXをサポートする物理GPU(グラフィック処理装置)はありません。」と表示されるようになります。
(1)Server ManagerのHyper-Vサーバ一覧の中の「HVSHVS16TP3のIPアドレス Online」行の右クリックメニューのAdd Roles and Features]を選択して「Add Roles and Features Wizard」を起動。
(2)「Select Server Roles」では[Remote Desktop Services]をonにします。
(3)「Select features」では何も変更しません。
(4)「Select role services」では[Remote Desktop Virtualization Host]をonにします。
(5)「Confirm installation selections」で＜Install＞をクリックしてインストールを完了させます。
HVSHVS16TP3のHyper-V設定
(1)Server ManagerのHyper-Vサーバ一覧の中の「HVSHVS16TP3のIPアドレス Online」行の右クリックメニューの[Hyper-Vマネジャ]を選択してHyper-Vマネジャを起動。
「このサーバに仮想マシンは見つかりませんでした」と表示されます(仮想マシン定義を一つもしていないので当然ですが...)。
(2)仮想スイッチの定義
HVSHVS16TP3の仮想スイッチマネジャを起動して、仮想スイッチの種類として[外部]を選択して＜仮想スイッチの作成＞をクリックします。
次に仮想スイッチの名前を「仮想スイッチ1」とし、外部ネットワークとして[Microsoft Hyper-V Network Adapter](1個目のネットワークアダプタ)を選択します。
更に[管理オペレーティングシステムにこのネットワークアダプタの共有を許可する]をoffにします(「ネットワークの変更を適用」ダイアログに表示される警告「保留中の...続行しますか?」に対しては＜はい＞を応答します)。
HVSHVS16TP3への「HVSHVSW81x64U」という仮想マシンの定義(HVSHVS16TP3自体が仮想マシンのためHVSHVSW81x64Uの起動は不可)
(1)仮想マシンの名前：HVSHVSW81x64U
(2)仮想マシンの世代：第1世代
(3)起動メモリ：1024MB
(4)仮想マシンのネットワークアダプタ：「仮想スイッチ1」を選択
(5)仮想ディスク：容量可変の127GBのHVSHVSW81x64U.vhdx
ここで作成したHVSHVSW81x64U仮想マシンの構成バージョンは「6.2」となります。

HVS12R2から仮想マシン(HVSWin7Ult)のHVSHVS16TP3へのインポートと構成バージョンのアップグレード
仮想マシンの構成バージョン確認と構成バージョンのアップグレードのためにHVS12R2から仮想マシン(HVSWin7Ult)のHVSHVS16TP3へのインポートを実施してみました。
構成バージョンをアップグレードしないと基本的にHyper-V Server 2016 Technical Preview 3の新機能は適用不可となります。
(1)HVSW10Pro上のHyper-VマネジャでHVS12R2の仮想マシン(HVSWin7Ult)をエクスポート。
必要に応じてエクスポートで作成されたフォルダをHVSHVS16TP3側からアクセスできる場所に移動させます。
(2)HVSW10Pro上のHyper-VマネジャでHVSHVS16TP3側に仮想マシン(HVSWin7Ult)をインポート(インポートの種類は[仮想マシンをインプレースで登録する(既存の一意なIDを使用する)]を適用)。
※インポートを実行しても仮想マシン一覧にHVSWin7Ultが表示されない場合はHyper-Vマネジャの[操作]-[最新の情報に更新]を実行します。
(3)HVSHVS16TP3側へのインポート後の構成バージョンはインポート前と同じ「5.0」となります。
(4)HVSHVS16TP3側にインポートした仮想マシン(HVSWin7Ult)の構成バージョンのアップグレードは以下の手順で実行します。

HVSW10Pro上のServer ManagerのHyper-Vサーバ一覧の中の「HVSHVS16TP3のIPアドレス Online」行の右クリックメニューの[Remote Desktop Connection]を選択してリモートデスクトップ画面を表示
HVSHVS16TP3のTask Managerの起動
リモートデスクトップ画面の中のコマンドラインで以下を実行してTask Managerを起動します。

> taskmgr
Task Managerの[File]-[Run new task]でpowershellを指定して＜OK＞

PowerShellウィンドウで以下のコマンドレットを実行します。

> get-vm ※ HVSWin7UltのVersionは5.0と表示されます。
> update-vmversion HVSWin7Ult ※ HVSWin7Ultの構成バージョンをアップグレードするコマンドレットです。
一度アップグレードすると元のバージョンに戻せないため「Are you sure you want to perform this action ?」という質問が表示されますが「Y」(Yes)を応答します。
> get-vm ※ HVSWin7Ultの構成バージョンをアップグレードした後のバージョン確認です。
上記の各コマンドレットの実行結果はこちらです(HVSWin7Ultの構成バージョンは「5.0」から「6.2」に変更されました)。

HVS12R2から仮想マシンのHVSHVS16TP3への追加インポート
HVS12R2からHVSHVS16TP3にエクスポート＆インポートした仮想マシン(HVSW10Pro-G2)のチェックポイント設定がどうなるかを確認するために追加インポートを実施してみました。
(1)HVSW10Pro上のHyper-VマネジャでHVS12R2の仮想マシン(HVSW10Pro-G2)をエクスポート。
必要に応じてエクスポートで作成されたフォルダをHVSHVS16TP3側からアクセスできる場所に移動させます。
(2)HVSW10Pro上のHyper-VマネジャでHVSHVS16TP3側に仮想マシン(HVSW10Pro-G2)をインポート(インポートの種類は[仮想マシンをインプレースで登録する(既存の一意なIDを使用する)]を適用)。
※インポートを実行しても仮想マシン一覧にHVSW10Pro-G2が表示されない場合はHyper-Vマネジャの[操作]-[最新の情報に更新]を実行します。
(3)HVS12R2上の仮想マシン(HVSW10Pro-G2:構成バージョン5.0)の「設定」での[チェックポイント]設定内容(デフォルトのまま)。
(4)HVSHVS16TP3上の仮想マシン(HVSW10Pro-G2:構成バージョン5.0のまま)の「設定」での[チェックポイント]設定内容(デフォルトのままで)。
HVSHVS16TP3側にインポートされた仮想マシン(HVSW10Pro-G2)では構成バージョンをアップグレードしなくてもチェックポイントオプションが適用できるようになっています。
Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3の「Alternate credentials support」の簡易検証
ここではHyper-V Server 2016 Technical Preview 3の「Alternate credentials support」(別ユーザの資格情報の委任を許可するCredSSP認証)の簡易検証について紹介します。
- Hyper-VホストになるHVSHVS16TP3側でのAdministrator以外のローカルユーザ追加
  Administrator以外の資格情報でHVSHVS16TP3と接続するためのユーザとしてここでは「amber」というユーザを追加します。
  (1)Server ManagerのHyper-Vサーバ一覧の中の「HVSHVS16TP3のIPアドレス Online」行の右クリックメニューの[Computer Management]を選択して「コンピュータの管理」画面を表示。
  (2)[ローカルユーザとグループ]の[ユーザ]でユーザ「amber」を新規作成し(所属グループはUsersになります)、amberの所属するグループにAdministratorsを追加。
  尚、HVSHVS16TP3側でのユーザ「amber」のパスワードはHVSW10Proのamberのパスワードとは違うものにします。
- Hyper-VホストになるHVSHVS16TP3側でのCredSSP認証関連設定
  (1)Server ManagerのHyper-Vサーバ一覧の中の「HVSHVS16TP3のIPアドレス Online」行の右クリックメニューの[Remote Desktop Connection]を選択してリモートデスクトップ画面を表示。
  (2)リモートデスクトップ画面内のコマンドラインで以下のコマンドを実行します。
  
  > PowerShell
  > Enable-WSManCredSSP -Role Server
  > exit
- Hyper-Vホストに接続するHVSW10Pro側でのローカルグループポリシーエディタによる資格情報の委任設定
  HVSHVS16TP3に対する「cmdkey /add:HVSHVS16TP3 /user:/amber /pass」実行はせずにローカルグループポリシーエディタで資格情報関連設定を実行します。
  これについては既に記載した通りですが念のため再掲しておきます。
  (1)ローカルグループポリシーエディタ(gpedit.msc)を起動します。
  (2)ローカルグループポリシーエディタの[コンピュータの構成]-[管理用テンプレート]-[システム]-[資格情報の委任]を開きます。
  (3)[資格情報の委任]の中の[新しい資格情報の委任を許可する]を開きます。
  「新しい資格情報の委任を許可する」画面で[未構成]を[有効]に変更し、サーバを一覧に追加の＜表示＞をクリックして値欄に「WSMAN/*」を入力して＜OK＞更に＜OK＞。
  (4)同様に[資格情報の委任]の中の[NTLMのみのサーバー認証で新しい資格情報の委任を許可する]を開きます。
  「NTLMのみのサーバー認証で新しい資格情報の委任を許可する」画面で[未構成]を[有効]に変更し、サーバを一覧に追加の＜表示＞をクリックして値欄に「WSMAN/*」を入力して＜OK＞更に＜OK＞。
- Hyper-Vマネジャでの別ユーザの資格情報委任検証
  (1)Hyper-Vマネジャ画面からサーバ「HVSHVS16TP3」を一旦削除します。
  (2)Hyper-Vマネジャ画面のHyper-Vマネジャの右クリックメニューの-[サーバに接続]でHyper-vマネジャ用の「コンピュータの選択」画面を開きます。
  (3)「別のコンピュータ：」欄にHVSHVS16TP3を指定します。
  (4)[別のユーザとして接続する]をonにして＜ユーザの設定＞をクリックします。
  ちなみにWindows 8.1付属のHyper-Vマネジャの「コンピュータの選択」画面には[別のユーザとして接続する]オプションは存在しません。
  (5)「Windowsセキュリティ」ダイアログでHVSHVS16TP3側のamberユーザの資格情報を指定します。
  
  (6)「Windowsセキュリティ」ダイアログで＜OK＞。
  「コンピュータの選択」画面に戻った際に別のユーザ情報が表示されます(ここでは「HVSHVS16TP3\amber」で文字切れ発生)。
  
  (7)「コンピュータの選択」画面で＜OK＞。
  (8)Hyper-VマネジャにHVSHVS16TP3が表示されて仮想マシン一覧も表示されます。
  これでHyper-Vマネジャでの別ユーザの資格情報委任検証は完了です。
- Hyper-V仮想マシン接続(vmconnect.exe)での別ユーザの資格情報委任検証
  (1)スタートボタンの右クリックメニューの[ファイルを指定して実行]でvmconnectを指定して仮想マシン接続を起動。
  (2)「仮想マシン接続」画面での「サーバ:」欄にHVSHVS16TP3を指定します。
  「サーバ:」欄にHVSHVS16TP3を指定して「仮想マシン:」欄にカーソルを移動させるとHVSHVS16TP3での仮想マシン一覧が表示されます。
  ここではHVSHVSW81x64Uを選択します。
  
  (3)[別のユーザとして接続する]をonにして＜ユーザの設定＞をクリックします。
  (4)仮想マシン接続用の「Windowsセキュリティ」ダイアログでHVSHVS16TP3側のamberユーザの資格情報を指定します。
  (5)「Windowsセキュリティ」ダイアログで＜OK＞。
  「コンピュータの選択」画面に戻った際に別のユーザ情報が表示されます(ここでは「HVSHVS16TP3\amber」で文字切れ発生)。
  
  (6)「仮想マシン接続」画面で＜OK＞。
  (7)Hyper-VマネジャからHVSHVSW81x64Uに[接続]した画面と同じ「HVSHVS16TP3上のHVSHVSW81x64U - 仮想マシン接続」画面が表示されます(HVSHVS16TP3自体が仮想マシンのためHVSHVSW81x64Uの起動は不可)。
Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3へのGUIポータブルアプリの導入
Hyper-V Serverは基本的にWindows PEと同様にGUIタイプのtelnet/ssh接続アプリやWebブラウザなどは含んでいません。
(但し、Hyper-V Server 2016 Technical Preview 3にTelnetクライアントを導入すればTelnetは使用可能となります)
ここではyper-V Server 2016 Technical Preview 3にポータビリティの高いGUIアプリとして64ビット版のPuTTYやWaterfox Portable等の導入例を紹介します。
- PuTTYの導入例
  64ビット用のPuTTYは解凍フォルダをHVSHVS16TP3仮想マシンのC:\myappフォルダ(手動作成)にコピーするだけで使用可能となります。
  コマンドプロンプトで以下のようにコマンドを入力してPuTTYを起動します。
  
  >cd c:\myapp\Puttyx64
  >putty.exe
  
  下記はPuTTYを使用してFedora 21 alpha版のHVSFwks21a仮想マシンにssh接続してみた様子です(画面右下のウィンドウがPuTTYです)。
- Waterfox Portableの導入例
  64ビット専用のWebブラウザとしてWaterfoxというものがあります。
  そのWaterfoxをPortable化したWaterfox Portableというものがhttp://www.softpedia.com/get/PORTABLE-SOFTWARE/Internet/Browsers/Waterfox-Portable.shtmlで公開されています。
  Waterfox PortableのHVSHVS16TP3仮想マシンへの組み込み手順は以下の通りです。
  - 64ビット版Windows 8.1またはWindows 10環境でWaterfox Portableの公開サイトから「Waterfox x.y.z Portable.7z」という7z圧縮ファイルをダウンロードします(x.y.zはバージョン番号)。
  - 「Waterfox x.y.z Portable.7z」を7-Zip等のソフトで解凍します。
  - 解凍先フォルダ(例：Waterfoxx.y.zPortable)の中のcoreフォルダにC:\Windows\System32\pdh.dllをコピーします。
  - pdh.dllを追加した解凍先フォルダ(例：Waterfoxx.y.zPortable)をHVSHVS16TP3仮想マシンのC:\myappフォルダにコピーします。
  - HVSHVS16TP3仮想マシンでのWindows Portableの起動手順
    コマンドプロンプトで以下のようにコマンドを入力してWaterfox Portableを起動します。
    
    >cd c:\myapp\Waterfoxx.y.zPortable
    >"Run Waterfox.exe"
    
    当然ですがWaterfox Portableではブックマークや設定変更を保存するとHVSHVS16TP3仮想マシンに残ります。
    
    下記はWaterfox Portableを使用してWebサイトを閲覧している様子です。
- GIMPの導入例
  HVSHVS16TP3仮想マシンに64ビット版GIMPを導入してみました。
  64ビット版GIMPの導入手順は以下の通りです。
  - 64ビット版Windows 8.1環境またはWindows 10環境でhttp://sourceforge.jp/projects/sfnet_gimp-win/downloadsからGTK+ランタイム込みのgimp-x.y.z-x64-setup.exeをダウンロードします（x.y.zはバージョン番号)。
    今回は安定版のgimp-2.6.8-x64-setup.exeをダウンロードして利用しました。
  - gimp-x.y.z-x64-setup.exeを起動してインストールします。
    インストール先フォルダはWindows 8.1環境またはWindows 10環境のC:\GIMPx64とします。
  - C:\GIMPx64フォルダをHVSHVS16TP3仮想マシンのc:\myapp\GIMPx64にコピーします。
  - HVSHVS16TP3仮想マシンでのGIMPの起動
    コマンドプロンプトで以下のようにコマンドを入力してGIMPを起動します。
    
    >cd c:\myapp\GIMPx64
    >cd bin
    >gimp-x.y.exe ※日本語化されたGIMPが起動されます
  - GIMPの実行例
    下記はJPEG画像の表示例です。
    
    ・HVSHVS16TP3仮想マシンのデスクトップキャプチャ例はこちらです。
    ※キャプチャはGIMPの[ファイル]-[画像の生成]-[スクリーンショット]で行います。

■ Windows 10 Proのアップグレードインストール編

前提条件
(1)既存の第1世代仮想マシン(HVSWin81x64)内の64ビット版Windows 8.1 Proに対してWindows 10 ProのDSP版(64ビット版)のDVDイメージ(win10prox64.iso)でアップグレードインストールします。
(2)仮想マシン(HVSWin81x64)内の64ビット版Windows 8.1 ProはUpdate版(KB2919355適用版：詳細略)でも非Update版でも構いません。
(3)仮想マシン(HVSWin81x64)内の64ビット版Windows 8.1 ProはWindowsライセンス認証済みとします。
(4)仮想マシン(HVSWin81x64)の仮想ディスクは127GBの容量可変の仮想ディスクです。
仮想マシンの構成
(1)仮想マシンの名前：HVSWin81x64
(2)仮想マシンの世代：第1世代
(3)起動メモリ：2048MB
(4)仮想マシンのネットワークアダプタ：デフォルトのネットワークアダプタ用「仮想スイッチ1」
(5)仮想ディスク：容量可変の127GBのHVSWin81x64.vhdx(空き容量：110GB)
(6)仮想マシンのDVDドライブイメージファイル：win10prox64.isoへのパスを指定。
Windows 10 Proのアップグレードインストール手順
- 仮想マシン(HVSWin81x64)を仮想ディスクからブート
  ※DVDからブートするとWindowsセットアップでインストールの種類として[アップグレード]を選択した直後に「互換性のレポート」でエラー表示されてアップグレードはできなくなります。
- Microsoftアカウントでサインイン
- DVDドライブ中のsetup.exeの手動起動
- 「重要な更新プログラムインストールします」画面でデフォルトのまま＜次へ＞
- 更新プログラムをチェックしています
- Windows 10セットアップを再起動しています
  
  仮想マシンが再起動するのではなくWindows 10 Proのセットアップだけが自動再起動されます。
- PCをチェックしています
- 準備をしています
- プロダクトキーの入力要求はなく、ライセンス条項に対する[同意します]をonにして＜次へ＞
  Windows 8系へのアップグレードインストールではプロダクトキー入力は必須でしたがWindows 10へのアップグレードではプロダクトキー入力は不要となりました。
- 「引き継ぐ項目を選んでください」画面が出てすぐに消えます。
  この時点の「引き継ぐ項目を選んでください」画面には何のオプション表示もありません。
- 更新プログラムをダウンロードしています
- インストールに必要な作業を確認しています
- PCに十分な容量があるかどうかを確かめています
- 「インストールする準備ができました」画面
  
  [Windows 10 Proのインストール]と[個人用ファイルとアプリを引き継ぐ]が共にonになっていることを確認して右下の＜インストール＞クリック
- 更新プログラムをダウンロードしています
- インストールに必要な作業を確認しています
- PCに十分な容量があるかどうか確かめています
- 再度の「インストールする準備ができました」画面でそのまま＜インストール＞クリック
- ここでフルスクリーンモードに切り替わって「Windows 10をインストールしています」画面に進捗が表示されます。
- 間もなくPCが再起動されます
  このメッセージが消えた後にデスクトップ表示となりますがデスクトップ操作はしないで放置しておきます。
- 再起動しています
- 仮想マシンが再起動されます
- Windowsをアップグレードしています
  
  「ファイルのコピー」、「機能とドライバをインストールしています」、「設定を構成しています」の各処理の区切りごとに仮想マシンが自動再起動します。
- ようこそ、こんにちは
  Microsoftアカウントの名称が表示されるので＜次へ＞
- 「すぐに使い始めることができます」画面で[簡単設定を使う]をクリック
- 「新しいWindows用の新しいアプリ」の表示画面で＜次へ＞
- もう少しで完了します
- ロック画面が表示されます
  ロック画面をクリックしてサインイン画面を表示させます。
- Microsoftアカウントでサインインします。
- しばらくお待ちください
- 最後の処理をしています
- デスクトップが表示されます。
- [システム]や[デバイスマネジャ]の確認
  Windowsのライセンス認証は自動的に行われています。
尚、アップグレードした場合にはC:\Windows.oldフォルダが自動作成されて残っており、アップグレード全体では約11GB使用量が増えました。
3D Builderアプリ
Windows 10 Proを導入するとスタートメニューの[すべてのアプリ]の中に「3D Builder」が表示されます。
その3D Builderで3Dのサンプルファイル(ブルドーザ用3Dファイル)を開いてブルドーザを回転させる等の操作を試すことができます。
ロック画面での状態の詳細表示
[パーソナル設定]での[ロック画面]での状態の詳細を表示するアプリとしてカレンダを選択し、[スクリーンセーバ]設定での[再開時にログオン画面に戻る]をonにしておくと当日のカレンダに登録済みの予定(イベント情報)がロック画面に表示されます。
※Windows 10での「状態の詳細」はWindows 8.1では「詳細ステータス」と呼ばれていました。

■ メディア作成ツールで作成したWindows 10 Proのインストール用ISOファイルを使用したアップグレードインストール編

上記のWindows 8.1 ProからWindows 10 ProへのアップグレードインストールではDSP版(64ビット版)のDVDイメージを使用しました。
しかしMicrosoftが正式に公開しているメディア作成ツールで作成したWindows 10 Proのインストール用ISOファイルを用いても同様なアップグレードが可能です。
尚、メディア作成ツールで作成したWindows 10 Proのインストール用ISOファイルを使用したアップグレードの対象となるWindows 8.1はUpdate版でも非Update版でも構いません。

メディア作成ツール(Media Creation Tool)の入手
64ビット版Windows 10 Proのインストール用ISOファイルを作成するメディア作成ツールは以下の「Windows 10 のダウンロード」というサイトにあります。
・http://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10：Windows 10 のダウンロードというサイト
このサイトにアクセスして[ツールを今すぐダウンロード (64 ビットバージョン)]というリンクをクリックするとMediaCreationToolx64.exe(18.7MB)というファイルをダウンロードできます。
このMediaCreationToolx64.exeが今回使用するメディア作成ツールです。
・IE 11でアクセスしたメディア作成ツールのダウンロードサイトページ画像

尚、2015年8月22日時点でGoogle Chromeブラウザでhttp://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10をアクセスするとhttp://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10ISO：Windows 10 のディスクイメージ (ISO ファイル) のダウンロードというサイトにリダイレクトされて、エディションとして[Windows 10]を選択して、製品の言語として[日本語]を選択して[64-bit のダウンロード]リンクをクリックするとWin10_Japanese_x64.iso(3.9GB：HomeとProの両方に有効)を直接ダウンロードできるようになっているようです。
但し、「リンクの有効期間は、作成した時刻から 24 時間です。」と記載されています。
以降Windows 10 HomeとProの両方に有効なWin10_Japanese_x64.isoを便宜的に「Windows 10 Home/Pro 共用DVDイメージ」と呼ぶことにします。

・Google ChromeでアクセスしたWindows 10の直接ダウンロードサイトページ画像

上記とは逆にIE 11でhttp://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10ISO：Windows 10 のディスクイメージ (ISO ファイル) のダウンロードをアクセスするとhttp://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows10：Windows 10 のダウンロードというサイトにリダイレクトされてしまいます。
メディア作成ツールによる64ビット版Windows 10 Proのインストール用ISOファイルの作成手順
- 既存の第1世代仮想マシン(HVSWin81x64)内の64ビット版Windows 8.1 Proの起動
- MediaCreationToolx64.exeを起動
  メディア作成ツールの実行環境によってはメディア作成ツールを起動した際に「問題が発生しました」というダイアログに「0x80072EE7 - 0x20000」というエラー表示がされる場合があります(メディア作成ツールの実行が不可となります)。
  
  また、メディアを作成するファイルのダウンロード中にブルー画面に「問題が発生したため...」というメッセージが出てPC(ここでは仮想マシン)が再起動されることもあります。
  これらの問題の対策方法の一つとしてMediaCreationToolx64.exeをWindows 7互換モードで起動してみるという方法があります。
  (実は今回はMediaCreationToolx64.exeをWindows 7互換モードで起動してWindows.isoを取得しました)
  - MediaCreationToolx64.exeの右クリックで[互換性のトラブルシュート]-[問題のトラブルシューティング]
  - 「気付いた問題」画面で[以前のバージョンのWindowsで動作していたプログラムがインストールできない、または実行できない]にチェックを入れて＜次へ＞
  - 「このプログラムが以前動作していたWindowsのバージョン」画面で[Windows 7]にチェックを入れて＜次へ＞
  - ＜プログラムのテスト...＞ボタンをクリック
    これで「実行する操作を選んでください」というメディア作成ツールの最初の画面が表示されるようになりました。
- 「実行する操作を選んでください」画面操作
  [他のPC用にインストールメディアを作る]をonにして＜次へ＞クリック。
- 「言語、アーキテクチャ、エディションの選択」画面操作
  以下の設定をして＜次へ＞クリック。
  ・言語：日本語
  ・エディション：Windows 10 Pro ※デフォルトはWindows 10 Home
  ・ア－キテクチャ：64 ビット (x64) ※[両方]という項目もあり64ビット版と32ビット版の両方のメディアも作成できるようです
- 「使用するメディアを選んでください」画面操作
  [ISO ファイル]をonにして＜次へ＞クリック。
- 「パスの選択」画面操作
  メディアのファイル(デフォルト名：Windows.iso)を保存するパスを指定して＜保存＞クリック。
- 「Windows 10をダウンロードしています」画面でのダウンロード状況表示
- ダウンロードが完了するとダウンロードの検証、メディアの作成が行われてメディア作成ツールの処理は終了します。
- Windows.isoのマウント確認
  Windows.iso(3.14GB)の右クリックメニューの[マウント]を実行します。
  例えばFドライブとしてマウントされたとするとF:\sources中のws.dat(0バイトファイル), install.wim, boot.wimのタイムスタンプがダウンロード日時になっていることを確認します。
- 他のPCでWindows.isoやそれから作成するDVDメディアを使用することを想定してWindows.iso(名称変更可)をどこかの共用フォルダにコピーしておきます。
メディア作成ツールで取得したISOファイルによるWindows 10 Proのアップグレードインストール手順
- Windows 8.1 Proの仮想マシンをWindows.isoを持つ仮想ディスクからブート(Windows 8.1はUpdate版でなくてもOKです)
- Microsoftアカウントでサインイン
- Windows.isoの右クリックメニューの[マウント]を実行
- マウントされたドライブ(例：Fドライブ)中のsetup.exeの手動起動
- あとはDSP版DVDドライブイメージファイルを使用したWindows 10 Proのアップグレードインストール手順と同じです。
  - 「重要な更新プログラムをインストールします」画面例
  - プロダクトキーの扱いについて
    Windowsのライセンス認証がまだなされていないWindows 8.1 Proに対してWindows 10 Proへのアップグレードを行おうとすると「プロダクトキーを入力てください」という画面が表示されます。
    その場合は別途入手済みのWindows 10 Proのプロダクトキーを入力するか、もしくはWindows 8.1 Proのライセンス認証を済ませてから再度Windows 10 Proへのアップグレードを再開する必要があります(Windows 8.1 Proのライセンス認証を済ませている場合にはWindows 10 Proのプロダクトキー入力は求められません)。
  - アップグレード完了後のデスクトップ例
補足
- メディア作成ツールで取得したISOファイルによるWindows 10 Proの新規インストールの場合は既にプロダクトキーを所有している必要があります(DSP版のプロダクトキーも使用可能)。
- Windows 10 Proへのアップグレードエラー時の以前のバージョン復元について
  Windows 10 Proへのアップグレード時にエラーが発生して仮想マシンが停止した場合は以下のように自動的に以前のバージョンに復元されます。
  ※下記の例は「Windowsをアップグレードしています」画面で「設定を構成しています」部分の処理でエラーが発生した場合の復元例です。
  (1)アップグレード時にエラーが発生してマシンが停止した後、手動で仮想マシンを起動します。
  (2)ロック画面やサインイン画面は表示されずに「インストールの修復を試みています」メッセージが表示されます。
  (3)「以前のバージョンのWindowsを復元しています...」メッセージが表示されて復元が行われます。
  
  (4)復元完了後自動的に再起動されます。
  (5)ロック画面が表示されます。
  (6)サインイン画面でMicrosoftアカウントでサインインします。
  (7)「Windows10をインストールできませんでした」画面が表示されますので＜閉じる＞ボタンをクリックします。
  
  (8)スタート画面が表示されるのでデスクトップを表示して以前のバージョンを使用します(通常はアップグレードの再実行)。
アップグレード前のバージョンへの手動復元
マシン環境によってはWindows 10 Proへのアップグレードを行った後、システムが不安定になったり(例：CRITICAL_PROCESS_DIEDブルースクリーン等の発生による自動再起動)、以前のバージョンで使用していたソフトが使用できなくなったりすることもあるかと思います。
※Windows 8.1 Update版でもマシン環境によってはKERNEL_DATA_INPAGE_ERRORブルースクリーンが頻繁に発生することがありましたが...。

Windows 10 Proには「アップグレード前の以前のバージョンに戻す機能」が含まれています。
但し、以前のバージョンに戻せるのはアップグレードしてから一ケ月以内という期間制約があります。
「アップグレード前の以前のバージョンに戻す機能」の使用例を以下に紹介します。
- Microsoftアカウントでサインイン
- スタートメニューの[設定]-[更新とセキュリティ]-[回復]
  ここで表示される画面の中に「Windows 8.1に戻す」というオプションが現れますが、「このオプションは、Windows 10にアップグレードしてから１か月間のみ使うことができます。」という注意事項も明記されています。
  ここで＜開始する＞ボタンをクリックします。
  ※＜開始する＞ボタンをクリックしてもすぐに以前のバージョンに戻す処理が実際に始まる訳ではありません(いくつかの説明/質問を経た後に戻し処理が始まります)。
- 準備しています
- 「以前のバージョンに戻す理由をお聞かせください」画面
  「以前のバージョンに戻す理由をお聞かせください」画面では以前のバージョンに戻す理由として必ず何かを選ばないと＜次へ＞ボタンが有効になりません。
  理由を選択後＜次へ＞ボタンをクリックします。
- 「知っておくべきこと」画面
  「知っておくべきこと」画面の内容を確認して＜次へ＞ボタンをクリックします。
- 「ロックアウトされないようにご注意ください」画面
  「ロックアウトされないようにご注意ください」画面の内容を確認して＜次へ＞ボタンをクリックします。
- 「Windows 10をお試しいただきありがとうございます」画面
  「Windows 10をお試しいただきありがとうございます」画面で＜Windows 8.1に戻す＞ボタンをクリックしてはじめて以前のバージョンへの戻しが開始されます。
  ※Windows 8.1に戻すことを断念する場合は＜キャンセル＞ボタンをクリックします。
  今回は＜Windows 8.1に戻す＞ボタンをクリックします。
- 再起動しています
  この表示後にマシン(ここでは仮想マシン)の再起動が自動で行われます。
- 「インストールの修復を試みています」メッセージが表示されます。
- 「以前のバージョンのWindowsを復元しています...」メッセージが表示されて復元が行われます。
  この復元処理は今回の実行環境では10分程度で完了しました。
- ロック画面表示
  ロック画面をクリックしてサインイン画面に遷移させます。
- Microsoftアカウントでサインイン
- Windows 8.1 Proのスタート画面表示
- デスクトップ操作
- 再アップグレードテストのためのアプリ導入(Administratorユーザにて実施)
  今回は再アップグレードテストのためにWindows 8.1用RSATとHyper-Vマネジャを導入してみました。
  Windows 8.1用RSATはWindows8.1-KB2693643-x64.msuというWindows Update スタンドアローンインストーラをダウンロードして実行することでインストールできます。
  Windows 8.1用RSATのサーバマネジャにHyper-V Server(HVS12R2)を追加してそれをリモート管理するための設定やHyper-Vマネジャの導入手順詳細はここでは省略します。
  尚、Microsoftアカウントでもサーバマネジャを起動して管理するHyper-V Server(HVS12R2)を追加して管理に使用する資格情報として以下の項目を指定すればサーバマネジャ経由でのHyper-Vマネジャで仮想マシンを実行できます。
  ・ユーザ：サーバ名(ここではHVS12R2)\Administrator
  ・パスワード：サーバのAdministratorのパスワード
  ・[資格情報を記憶する]：on
  
  尚、この時点でタスクバーの[サーバマネジャ]アイコンの右クリックメニューで[タスクバーにピン留めする]をクリックしておきました。
Windows 10 Proへの再アップグレード
前述したメディア作成ツールで取得したISOファイルによるWindows 10 Proのアップグレードインストール手順で紹介した手順と同じ操作でWindows 10 Proへの再アップグレードを実施してみました。
再アップグレードは75分程度で完了しました。
再アップグレード後のRSAT/Hyper-Vマネジャについては以下の通りです。
(1)再アップグレード後はサーバマネジャの起動メニューがすべて消えていました。
(2)Hyper-VマネジャはWindows 10用のバージョン(10.0.10240.16384)に自動アップグレードされました。
(3)Administratorアカウントは無効化されたため再度有効化しました。
(4)AdministratorアカウントでHyper-Vマネジャを直接起動して[サーバに接続]でHVS12R2を指定するだけで仮想マシン一覧が表示されて仮想マシン(HVSW10Pro-G2)の起動確認もできました(winrmの再実行は不要)。
※この時コントロールパネルの[管理ツール]-[サービス]で[Windows Remote Management (WS-Management)]サービスのスタートアップの種類は[手動]となっていて自動で開始されていました。
尚、Windows 8.1 Proに戻した時にタスクバーにピン留めしたサーバマネジャのアイコンは再アップグレード後は白紙アイコン(アイコン名：Server Manager)として表示されました。

■ Windows 10 Home/Pro 共用DVDイメージを使用したアップグレードインストール編

上記で紹介したWindows 10 Home/Pro 共用DVDイメージ(Win10_Japanese_x64.iso)を使用しても既存のWindows 8.1 Proを無償でWindows 10 Proにアップグレードすることが可能です。
Windows 10 Home/Pro 共用DVDイメージを使用してアップグレードする過程において、ユーザはWindows 10 HomeかWindows 10 Proかの違いは一切意識する必要はありません。
またアップグレード対象となるWindows 8.1はUpdate版でも非Update版でも構いません。

Windows 8.1 Proの仮想マシンを仮想ディスクからブート
Microsoftアカウントでサインイン
仮想マシン接続の[メディア]メニューの[DVDドライブ]-[ディスクの挿入]でWindows 10 Home/Pro 共用DVDイメージ(Win10_Japanese_x64.iso)を指定
仮想マシン内でDVDドライブ中のsetup.exeの手動起動
あとはDSP版DVDドライブイメージファイルを使用したWindows 10 Proのアップグレードインストール手順と同じです(プロダクトキー入力も不要)。
・「重要な更新プログラムをインストールします」画面例

・アップグレード完了後のデスクトップ例