Hyper-V Server 2012 R2環境でのUbuntu 14.04利用

Hyper-V Server 2012 R2はWindows Server 2012 R2付属のHyper-Vサーバ機能に特化した無償の仮想化ソフトウェアです。
(Hyper-V Server 2012 R2の導入・活用手順については「無償のHyper-V Server 2012 R2利用」をご参照下さい)

2014年4月にUbuntu 14.04がリリースされましたがUbuntu 14.04にはHyper-V Server(2012 R2)環境で動作するようにHyper-VのLIS(Linux Integration Services) ver 3.5のコンポーネントがビルトインされています。
(Hyper-VのLIS ver 3.5の正式リリースは2013年12月19日です)

ここではHyper-V Server 2012 R2環境での64ビット版Ubuntu 14.04 LTS版の環境構築を中心にその導入・利用方法について紹介致します。
今回使用したPCのハードウェア/ソフトウェア構成は以下の通りです。


  1. 64ビット版Ubuntu 14.04 LTS版の構成
    (1)ISOイメージファイル:ubuntu-ja-14.04-desktop-amd64.iso(約1.1GB)
    (2)標準デスクトップ環境:Unityデスクトップ環境
    (3)hyperv_fbカーネルドライバが使用される条件:仮想マシンの設定でRemoteFX 3D ビデオアダプタを追加していないこと。
    (4)Ubuntu 14.04 LTS版のデフォルト起動ではデスクトップの画面解像度は1152x864です。
    (5)64ビット版使用理由:
  2. 仮想マシンの定義
    (1)仮想マシンの名前:ここでは「HVSU1404x64」としました。
    (2)仮想マシンの世代:第1世代
    (3)仮想マシンのネットワークアダプタ:デフォルトのネットワークアダプタ(レガシーネットワークアダプタではありません)
    (4)仮想マシンのDVDドライブイメージ:ubuntu-ja-14.04-desktop-amd64.isoへのパスを指定。

  3. 仮想マシンへの64ビット版Ubuntu 14.04のインストール
    インストール手順の詳細説明は不要かと思いますのでここでは省略します。



  4. グラフィカルログイン画面とデスクトップ
    (1)Lightdmというディスプレイマネジャのデフォルト設定では特定ユーザ(インストールで定義したユーザとゲストユーザ)しかログインできない構成になっています。
    (任意のユーザ指定でのログインやセッション選択はできません)



    (2)インストールで定義したユーザでのログイン後のデスクトップ
    ネットワーク接続も問題なく使用できています。



  5. グラフィカルログイン画面でのrootログイン可能化
    Ubuntu本来の使い方としてはrootでログインせずにsudoを使用して管理者権限操作を行うのが普通ですがここではテスト利用ということでrootでのログインを許可する方法を説明します。
  6. 固定IPの設定
    Ubuntu 14.04のデフォルトでのIPアドレスはDHCPによる割り当てになっています。
    Ubuntu 14.04をサーバとして利用するには固定IP割り当てにしておくのが一般的です。
    以下の手順で固定IPにします。
    (1)デスクトップの上部にあるトップバーの右端にある歯車アイコンから[システム設定]を開き、[ハードウェア]-[ネットワーク]で[有線]を選択します。
    (2)「接続名: Wired connection 1」の「IPv4」タブを開きます
    (3)「方式:自動(DHCP)」になっている部分を[手動]に変更して固定IP情報やDNS情報を指定して保存すると固定IPがその場で有効になります。
    (ここで設定した情報は/etc/network/interfacesとは別のところに反映されます)

  7. 画面解像度の一時的変更

  8. グラフィカルログイン画面でのセッション選択可能化
    Ubuntu 14.04 LTSの標準はUnityデスクトップ環境ですがUnityランチャは不要とかアプリ選択をメニューで行いたいというユーザもいるかと思います。
    そこでグラフィカルログイン画面でMetacityやCompizのセッションも選択できるようにする手順を以下に示します。
  9. MATEセッションの導入
    Fedora 20にはMATEセッションのパッケージ(mate-session-manager)が標準で用意されていますがUbuntu 14.04のソフトウェアセンタにはそれに相当するパッケージは無いようです。
    Ubuntu 14.04をRDPサーバにした場合(xrdp使用)、MATEセッションとの相性もいいようですのでMATEセッションを導入してみます。
    MATEセッションの導入方法はhttp://c-nergy.be/blog/?p=5382を参考にしています。
    (1)以下のコマンドを実行してMATE関連パッケージを導入します。
    # apt-get install gnome-session
    # add-apt-repository "deb http://repo.mate-desktop.org/archive/1.8/ubuntu $(lsb_release -cs) main"
    # wget -q http://mirror1.mate-desktop.org/debian/mate-archive-keyring.gpg -O- | apt-key add -
    # apt-get update
    # apt-get install mate-core mate-desktop-environment
    (2)上記により/usr/bin/mate-sessionも追加されます。
    (3)またセッション選択画面にはMATEとTWMも表示されるようになります。


  10. xrdp(RDPサーバ)の導入・利用

  11. Remminaとfreerdp(RDPクライアント)の導入・利用
    Ubuntu 14.04には標準でRemminaというアプリが付属しています。
    RemminaはVNCクライアントだけでなくRDPクライアントやSFTPクライアント等としても利用できます。
    RemminiaをRDPクライアントとして使用した場合デスクトップ全体の操作が若干煩わしくなるという問題があるためPPA(Personal Package Archive)のRemminiaを導入するユーザもいるようです。
    PPAのRemminaによるRDP接続画面例
    PPAのfreerdpによるxfreerdpの実行例
    (PPAのfreerdpに含まれるxfreerdpコマンドは「xfreerdp /v:接続先マシン /u:ユーザ /p:パスワード」というような構文となります)

    ここではPPA版ではないオフィシャルなUbuntuのRemminaとfreerdpを使用してみます。
    RDPの接続先はHyper-V Server 2012 R2環境でのFedora 20 MATE-Compiz Spin Live利用(RDP接続)で紹介した仮想マシン(HVSFedora20mate)とします。
  12. QEMUの導入・利用
    Ubuntu 14.04ではQEMU 2.0.0が使用できます。
    (Fedora 20のQEMUは1.6.2で、Fedora 20のQEMUで使用できていた仮想ディスクの一部がUbuntu 14.04でのQEMU 2.0.0では使用できませんでした)
  13. Mozcの使用制限
    Hyper-V Server上のUbuntu 14.04は32ビット版、64ビット版共にMozcでの日本語入力ができません。
    具体的には「半角/全角」キーを押下すると「Mozc」マークが高速点滅を繰り返して半角英数字等しか入力できなくなります。
    (Hyper-V Server上のUbuntu 14.04はAnthyでも日本語入力ができません)

    尚、Virtual PC 2007上の32ビット版Ubuntu 14.04ではMozc利用が可能でした。